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菅総理が大変革をしてしまうかもしれない N130

 菅総理大臣に対して海外では中継ぎ投手と呼ばれ安倍路線と大きな変化のない(言い換えると何もしない)内閣になるだろうと下馬評が飛んでいる。私の同僚が勝手に新聞を読んで批評しているだけかもしれないが。確かに尖った主張や大義もないし、どちらかというと切った張ったや貸し借りで上り詰めた人なのでビジョンを求めることすら罪かもしれない。しかし変革の方向性が正しいかどうか、良い成果が生まれるかどうかは置いておいて、菅内閣みたいな内閣が大変革をしてしまうのでは?と感じてならない。  

 一つ目の理由としてはやはり中継ぎなので、もし来年の選挙まで(あるいは解散まで)に大きな成果を出さなければ次の総理総裁候補に交代となる。もし菅総理が野心家で緻密に計算をする人であれば大きな勝負に、しかも非常に短期間で出てくるだろう。ここまで上り詰めた実力と残すところのご年齢を考えても、短期決戦をするのではないか?と私は思ってしまう。 

 二つ目は日本の組織の恐ろしいところではあるが、日本の組織は基本的に人のつながりでしかない。いわゆるタテ社会なのである(*1)。したがって安倍元総理につながっていた人たちの権力あるいは権威は一掃され、菅総理と直接つながっている人たちが急に力を持つようになるのだ。  

 デービットアトキンソンさんとつながっているらしく、特に地銀再編を中心に中小企業をなくす方向に動きはじめた。私もデービットアトキンソンさんはマクロで事実を分析しているので好きだし、海外のアカデミックなアプローチをかじっている人は彼の主張の正当性も理解できると思う。しかし素人ながら感じるのは事実と政策実行は別の話で気温が低いから暖房を入れれば過ごしやすくなるかと言えば別の話になることもある。特に短期決戦でやる話なので。  

 そして携帯電話の値上げと政府のデジタル化。これについてはデジタル業に関わるものはむしろ日本を成長どころかさらにドン底に落とすとしか思えない。日本でデジタル分野が遅れているのは絶対的な投資額が少ないからだ。唯一の投資の源泉はNTTでこの収益を減らすことは日本のイノベーションを失うことになる。海外でもNTTみたいなのが存在して同じく国からいじめられながらもイノベーションのために保護をされている。そもそも日本の携帯料金は高くはないのだ。海外と同レベルである。  idekunさんのいい記事があります。

 また政府のデジタル化はデジタルにできない理由だったり、デジタル化できないような仕組みにしてしまった政治家や役人がそもそもの問題なのだ。今はソフトウェアがあるので簡単にできるはずなのだが、日本の業務は人依存のルールが多いので単純なルール化ができない。すぐに使えるはずのソフトなのに個別カスタマイズの開発が必要となる。しかし本来的にはそれをやめることが本当のデジタル化で生産性が上がるのだが、その特殊な仕事を続けるのでデジタル化の恩恵を一向に受けない。  

 それでも尚私は菅総理に期待しているのはこういった人間関係の利権で日本がおかしくなっているのを最も理解しているに違いない人だから(だって、それで上り詰めたはずだから)、改革をやる時はそこに目をつけてやるんじゃないかと。だから今後の改革が良くなるか悪くなるかはわからないけど大変革をしてしまうかもしれない可能性がある。そして利権の人間関係をリセットすることこそ構造改革になるんじゃないかと。

*1) 中根千枝、「タテ社会の人間関係 単一社会の理論」 

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