見出し画像

【Visions #02】サステナブル介護の実現を目指す、ドクターメイトのVision

グローバル・ブレインの投資先企業が目指すVisionについて、そこに込めた想いや背景、言語化に至るまでのプロセスなどを聞くシリーズ。第2回は、高齢者介護施設向けに24時間365日 医療相談サービスを提供する「ドクターメイト」です。COOの宮崎さんにドクターメイト社のVisionに込めた想いや背景などを伺いました。

ドクターメイト株式会社
介護施設の職員向けにチャットで専任の看護師や医師に相談できるオンライン医療相談と、介護施設の看護師に代わってドクターメイトの看護師が夜間オンコールの対応を行う夜間オンコール代行™を組み合わせた介護施設スタッフ専用サービス「24時間医療アクセス『ドクターメイト』」を提供。介護施設における業務負荷拡大の課題解決に取り組んでいる。

「持続可能な介護の仕組みを創る」会社

ドクターメイトCOO 宮崎共生さん

──ドクターメイトのVisionは「持続可能な介護の仕組みを創る」とありますが、ここに込めた思いからお伺いできますか?

高齢化の進む現代において、介護や医療の領域は業務過多で逼迫した状況にあり、「現場の方の努力で成り立っている」と言っても過言ではありません。そんな状況を変え、これからも無理なく成り立つ介護の仕組みを作りたい。そんな思いが込められています。

私たちがサービス提供している介護業界には、解決させなければいけない課題が多くあります。課題を解決できずに今のまま進んでしまうと、日本の介護業界は維持できなくなると言われています。これは遠い未来の話ではなく、2025年という近未来の話なのです。

具体的に、介護業界が抱える2つの課題について説明させてください。1つ目の課題は、慢性的な介護人材の不足です。

2025年に、戦後すぐの第一次ベビーブーム(1947年~1949年)の時に生まれた、いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者となります。

介護サービスの需要増加に合わせて、介護サービス提供施設も、介護現場で働く介護人材も年々増加してはいるものの、「2025年には約32万人の介護人材が不足する」と予測されており、全く介護人材が足りていない状況です。

2つ目の課題は、介護現場の病院化です。

自力で歩けない「要介護3」以上の人が、この10年で40万人以上も増加しており、介護現場には医療依存度の高い高齢者(※1)が増えています。しかし、医師や看護師が24時間体制で常駐している介護施設はまだまだ少なく、介護現場を支えるだけの万全の医療体制を整備できていません。そのため、一部の専門職への身体的・心理的な負担は大きくなっていく一方です。(※1:毎日の生活に医療的なケアが必要不可欠である状態の方のこと)

こうした解決すべき課題に対し、介護業界は強い危機感を持っています。一方で「今は何とかなっているが、現場対応が属人化していることもあり、今後どうにもならなくなる」という認識があるのに、業務が忙しくて解決策を打てていない方々がほとんど。そうした現場の課題解決のためには、外部からの支援にこそ価値があるのではと考え、私たちは創業しています。

こうした背景と理念から、「持続可能な介護の仕組みを創る」というVisionが生まれました。

創業メンバー全員で鍛え上げたVision

Vision策定には多くのメンバーが関わったという

──Visionを最終化するまでに、どのようなプロセスを踏まれたんでしょうか。

Visionの策定プロセスとしては、Mission設定のあとでMission実現方法としてのVision検討をした、というのが大まかな流れです。

まず代表青柳の思いを言語化し、重要な要素だけを抽出する形で「すべての人生を右肩上がりにする」というMissionを設定しました。

このMissionを土台に、私と取締役CPOの永妻で、事業とビジネスの観点で言語化を進め、法的観点としてCLOで弁護士の川崎の意見を求めました。Mission実現を考えたとき、介護業界の課題解決を図るためには「人が人を支える業界だからこそ、人に依存しない持続可能な仕組み」が必要不可欠だという結論に至りました。

結論は出たものの、Visionを言語化するための適切なキーワード選定には非常に頭を悩ませました。社内のメンバーはもちろん、業界の方々やステークホルダーにも私たちの目的をわかりやすく伝える必要がありますから。そこで専門職観点として医療グループのグループオーナーで看護師の根廻と、教育グループCS担当で介護福祉士の菅沼の意見を取り入れながら、より現場に寄り添った言葉になるようブラッシュアップしたんです。

策定の途中で「デジタルの力を活用し、持続可能な介護モデルを作る」という案が出たのですが、「デジタルの力」をメインに押し出すと、現状を否定しているようなニュアンスが強くなり、現場に受け入れられないのではと考えて見送りました。こうした工夫を重ねた結果、現在の「持続可能な介護の仕組みを創る」という言葉選びに落ち着きました。

──なるほど。それぞれの担当目線で言葉を鍛え上げていくプロセスは、強く響く言葉にするためにも重要だと感じます。策定されたあとの変化などはありましたでしょうか?

いろいろあります。介護現場の方には、ドクターメイトが介護に対してのスタンスをVisionから伝えることができるようになったことから信頼感を醸成しやすくなり、受注率が上がりました。

社内では会社が目指す先についての意識統一ができるようになり、コミュニケーションコストが下がりましたし、Visionに共感してエントリーしてくれる方が増えました。

そして資金調達の時にも、ドクターメイトが今の事業モデルになっている理由を伝えやすくなりましたし、理解もされやすくなりました。医療アドバイスやオンコール代行という限定的なイメージを払拭できたことも大きいです。

Vision浸透のために取り組んでいること

──新メンバーが増えてくると、VisionやValueを社内に定着させていくことも課題だと思いますが、そのために取り組んでいることなどはありますでしょうか。

当社のVisionは明快で分かりやすいので、みんな口に出して言えるんです。日頃から仕事をする上で「なんのために働いているのか?」「持続可能な介護の仕組みを創るためだ!」と立ち返ることができるので、意思決定にも影響を与えていると思います。

また、行動指針でもあるValueについては「体現している人を探す文化」が定着しています。「Valueセレクター」に任命されたメンバーに、毎週の全社定例会議の場で「いちばんValueを体現していたメンバー」を紹介してもらっています。選ぶ側にとってValueを意識する機会になることはもちろん、選ばれる側はマインド面や細かい配慮などを評価してもらえるので良いことだらけ。発表を聞く他のメンバーにとっても熱意の高まる、有意義な時間になっています。

また、ValueMVPという表彰制度を設け、月間/半期で称賛する機会を作ったりしています。

こうした日々のフィードバックによって、メンバーの意識が自然とValueに向かっていくのを実感しています。

ValueMVP表彰時の1コマ

一方で、最近では言葉への理解がずれてきていると感じる瞬間もあるため、新たにValueBookを作成しました。それぞれのValueの説明に加え、Do/Don’tで、あるべき姿を定義することで、より深い理解をさせつつ、認識一致を進めています。

新入社員メンバーのOJTにも活用していますし、改めて言語化できたことで既存メンバーにとっても役立つ資料になりました。引き続きイラストを入れて分かりやすくするなどの工夫をしていこうと思っています。

ValueBookの一部

──素晴らしいですね。この取り組みは他の会社にも非常に参考になると思いました。今後はどんな人と一緒に働きたいですか?

当社はVisionをとても大切にしている会社です。Visionに共感し、同じ世界を目指して切磋琢磨できるような方と一緒に働いていきたいと思っています。また、社会課題解決に興味がある、レガシー業界の商慣習を変えたい、能動的に課題を解決していきたいなどと思えるような人も、当社の考え方とフィットするのではないかと思います。

スキル的には介護業界の経験者はもちろん、業界未経験の人もどんどん活躍いただいています。それぞれの経験やスキルを武器にすることで、より多様性ある、柔軟で強い組織になってきているなと感じています。業界未経験だと難しいのではないかと不安に思われる方もいるのですが、ご興味を持っていただけたら、ぜひぜひご連絡いただきたいです。

──では最後に、未来のメンバーとなるかもしれない方へのメッセージをお願いします。

多くの仲間に恵まれて事業基盤も整ってきた今、ドクターメイトは「新しいチャレンジをしていこう!」というフェーズに入っています。

私たちは現在提供している日中医療相談と夜間オンコール代行という「医療アクセス事業」に加え、これからは新規事業として「現場スタッフの教育事業」や「業務管理事業」など、複数のソリューションを提供していく予定です。

これらの新規事業もすべて、「持続可能な介護の仕組みを創る」ために必要なこと。Visionに沿って、どうすればより楽に、より長く、より高品質な介護を実現できるかを日々考えています。これからも、私たちは現場のリアルな声を聞きながら、持続可能な介護の仕組み創りに取り組んでいきます。

この記事を読んで、私たちの考え方や目指す世界に共感してくださった方がいたら、ぜひお話しさせていただきたいです。当社は第二創業期であり、介護領域は数少ない「国内成長産業」。面白い仕事とチャンスがたくさんあります!ぜひ一緒に、大きなチャレンジをしませんか?

ドクターメイトの採用情報