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[解説と設問を発表]組織の危機と女性リーダー:「ガラスの崖」再考 (2)【英語で学ぶ大人の社会科】第79回 6/30(日)20時@オンライン

組織の危機と女性(マイノリティ)リーダーの誕生。それが生じる背景と課題について英語で議論。


2024年6月後半の「英語で学ぶ大人の社会科:世界の知性が語る現代社会」のワークショップのお知らせです。2024年6月30日(日)夜20時@オンラインで開催するワークショップは、BBCの記事「"ガラスの崖"に潜む見えない危険」を使い、女性(マイノリティ)リーダーとマネジメントの課題について議論します。

教材の記事が長いため、このテーマのセッションを2回に分割しました。前回は「ガラスの崖」の実態についての議論でした、第2回のワークショップは。組織の危機をきっかけとして、「ガラスの天井」を突破した女性や少数民族出身のリーダーが晒されている「危険」及び不利益について、英語で議論します。このワークショップの解説と設問を発表します。

【ワークショップ】

2024年1月に日本航空(JAL)に初の女性社長が誕生しました。元客室乗務員、短期大学卒の学歴、2002年に日本航空と経営統合された旧株式会社日本エアシステム出身であることなど、鳥取三津子氏の日本航空社長就任のニュースに大勢の人が驚いたのも無理はありません。しかし、一方で、事故や不祥事が相次ぐ日本航空で今回の彼女の異例ともいえる社長への抜擢は、業績が低迷していたり、その他醜聞に見舞われるなど、経営が危機的な状況にある企業で女性や少数民族出身者がリーダーに選出される現象を指す「ガラスの崖」(glass cliff)を連想した人も少なくないはずです。前回、6/16(日)のワークショップは、この概念が組織の経営においてどのように作用しているのかについて議論しました。

[解説と設問を発表]組織の危機と女性リーダー:「ガラスの崖」とは何か (1)【英語で学ぶ大人の社会科】第78回 6/16(日)20時@オンライン|Global Agenda

女性が組織のトップになかなか登用されない「ガラスの天井」(glass ceiling)は、政治でも経済でもクォータ制の導入など、政府および民間のイニシアティブにより改善の傾向にあります。ビジネスの世界では、2010年に英国で始まった「30%Club」の取り組みが、世界各国に拡散し、大きな成果を上げています。

「30%Club」は、参加国の主要上場企業の取締役会等の重要意思決定機関に占める女性の割合の向上を目的とした自主的な活動です。このキャンペーンにより、英国では活動の開始から早くも5年後の2015年にFTSE100(ロンドン証券取引所の時価総額上位100社の株式で構成される指数)を代表する主要企業の取締役会の女性の割合を30%にする、という当初の目標を達成しています。2010年には、たった12%であった英国主要企業の女性役員の割合は、2024年現在は40%を超えています。

30% Club United Kingdom Chapter

日本でも、2019年5月に「30% Club Japan」が設立され、2024年現在、社外取締役が中心とはいえ、TOPIX100社の取締役会に占める女性の割合2023年に19.5%に達しました。

30% Club Japan Chapter

一方、女性重役が世界的に増えているとはいえ、30%Club発祥の地、英国の主要100企業のうち、女性CEOの数は、いまだに10人しかいません。

Women hold 42% of board seats at big UK firms, but just 10 are FTSE 100 bosses

先回のワークショップの最後に、女性(及び少数民族)が組織の経営危機時にリーダーに選ばれる傾向があるのは、女性の特性とされる「コミュニュケーション能力の高さ」「ケアに優れた人間関係構築力」が評価された、というより、これまでのリーダー(多数派男性)像とは違う彼らの外見上の特徴から、彼女(彼)たちが今までの組織経営とは違う新しい経営スタイルを打ち出し、組織の危機を救うことが可能だというメッセージを組織内外にアピールできるからだ、という理論が紹介されていました。しかし、このような組織の力学こそが、「ガラスの崖」という状態を作り出すのだと、いうことをBBCの記事は指摘しています。

それにもかかわらず、企業や組織が経営危機にある場合に、女性または人種的マイノリティに属する人が、「ガラスの崖」というリスクを承知の上でリーダーの地位に就くのは、そうでなければ、彼らにその機会を得ることが難しいからです。そして、その場合、失敗のリスクは大きく、仮に経営危機の回避に成功したとしても、それに伴うストレスや弊害は、これまでリーダーとして任命されてきた白人(日本の場合は高齢)男性に比べて、はるかに高い、という現実があります。教材のBBC記事の後半部分は主に、「ガラスの崖」に伴うリスクとそれとは対をなす多数派の男性リーダーが享受してきた特権との格差について論じています。

あなたはこのテーマについて、どう思いますか?ご関心のある皆様の参加をお待ちしています。このワークショップの詳細は以下のとおりです。教材として、以下のBBCの英語記事を利用します。

日時: 2024年6月30日(日)20時~21時30分

場所: オンライン
定員: 10名程度まで
費用: 見学のみ: 500円、初回参加者:800円~

【教材】

The invisible danger of the 'glass cliff'

チケットの申し込みは以下のYahooチケットサイトから、または銀行振り込みでお願いします。

【チケット】

組織の危機と女性リーダー:「ガラスの崖」再考 (2)【英語で学ぶ大人の社会科】第79回 6/30(日)20時@オンライン

【銀行振込での申し込み】

振込用紙は以下のサイトからダウンロードお願いいたします。

このワークショップの設問は参加申し込み者、サロン会員、有料ニュースレター購読者及び後日発表するnote記事購入者にのみ送付します。過去のワークショップと同様の設問を設定しますので、以下のマガジンの2020年4&5月の記事(設問を公開しています)を参考にしてください。

【英語で学ぶ大人の社会科】世界の知性が語る現代社会

【解説】

組織の危機にある時、従来のリーダー像とは違うタイプ(女性や少数民族)の人がリーダーに選出される現象「ガラスの崖」は、組織にとってどういう利益があるのでしょうか?それは、やはりマイノリティに対する偏見に基づいているのではないか、と専門家は指摘しています。新しいリーダーを変化のシグナルとして利用することと、スケープゴートとして利用することは紙一重である、というのです。BBCの記事の中で、専門家は「より良い解決策を見つけるまで彼らをそこに置いておくだけで、彼らが実際にできることを本当に信じているわけではないのです」とまで言っています。

では、このような危機的な状況で女性など組織経営においてはマイノリティだった人物がリーダーの責任を引き受ける動機は何なのでしょうか。もちろん、その機会が彼らには限られている、という理由はありますが、それだけでもないようです。米国・カナダで33人の女性及びマイノリティ出身のリーダーへのインタビューで、その詳細が明らかになっています。

ここから先の情報、設問はイベントへの申込者、サロン/メンバー/有料ニュースレター会員、note記事購入者に公開します。

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