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身に纏うものを選ぶように

7月28日(水)

朝一、Bunkamuraル・シネマで「ココ・シャネル 時代と闘った女」鑑賞。上映時間は一時間弱。このくらいの尺だと、何かの予定のついでに気軽に観られてとてもいいなと思う。シャネルのことはほとんど知らなかったけれど、時代と闘った面もあれば時代を利用した面もあった人だった。本人が伝記作家を雇って作り上げた神話を解体していくというこの映画の構成は非常に興味深かった。動きを制限するコルセットや裾の長いドレスから女性を解放し、世界で初めて女性用のスーツをつくったシャネルが、晩年、膝の見えるミニスカートを着る女性を否定していたというのは何とも皮肉だけど、そういうことはいくらでもあるんだろうなと思う。美意識やファッションは政治や思想と無関係ではありえない。

13時から渋谷のカーテンショールームの予約をしていた。空腹のまま臨むとあまりよくないような気がしたのだけど、母との待ち合わせまでにあまり時間がなかったので、コンビニで買った一本満足バーを歩きながら食べた。

母と合流してショールームに向かう。アクセントクロスのサンプルを持参して、それと合わせてカーテンの色味を考えた。面積が広いので白に近い色がいいなと思っていたのだけれど、遮光素材だと濃い色の方が多いようだった。光沢のある淡いグレーのカーテンを選ぶ。レースは縦に唐草模様の入ったものにした。こちらも機能重視で、遮光・遮像・UVカット・ウォッシャブルなど、一通りの機能がついているもの。

何も考えずに、光沢のあるカーテンのような生地をたっぷり使ったfoufouのサテンセットアップを着てきたのだけど、気づけば光沢のあるグレーのカーテンを選んで生地をたっぷり使った二倍ひだでオーダーしていて、我ながら趣味がぶれなくて笑える。身に纏うものを選ぶように、自分ひとりの部屋を作っていくのだ。

母と別れて献血ルームに向かう。食事管理をやめて元気においしく楽しくごはんを食べていたおかげで、見事に体重が50キロを超えたので、成分献血も400ml献血もどっちもいけるよ! と喜び勇んで向かったのだが、採血したら血液の濃さが基準に満たなかったらしくどっちもいけなかった。落ち込んだけれど、勧められるがままにしっかりアイスを食べてコーンポタージュスープを飲んで帰ってきた。血が薄いくせに食い意地がはっている。

半蔵門線でなんとなく神保町に向かう。三省堂で本を買って、喫茶店ラドリオへ。前に訪れたときに満席だったので初来訪だ。ランチセットのカレーをいただく。

チキンがごろごろしていてしっかり辛くておいしい。セットのドリンクはもちろん名物ウィンナーコーヒー。追加料金がないのがすごい。生クリームお高いのに(貧乏性)。

ホイップクリームが山盛りでなかなかコーヒーに行き着かない。ふわふわを掬って口に運びながら、さっき買った、ひらりさ『沼に溺れてみたけれど』を読み進める。恋愛や趣味や投資や推しや、いろんな沼に溺れてお金をつぎこんだ女たちの話。ウィンナーコーヒーは甘いホイップが溶けて、だんだんほろ苦いコーヒーの味が強くなってくる。クリームの溶けたコーヒーはすんなりのどを通り過ぎず、舌にまったりと甘さと苦さがからみつく。ブラックのコーヒーとはまた違う中毒性がある。人生って、「沼」って、まさにこういうかんじなのでは。

帰宅して、『沼に溺れてみたけれど』をさらに読み進め、一気に読了。マンションを購入した女が二人出てきて、やはりその二つの章は他人事でない感覚で読んだ。不動産購入もリノベもとても沼です。

前日までの日記を書いてアップする。書きながら泣く。


7月29日(木)

ビックカメラで購入したタワーファンが届く日。時間指定ができなかった(し忘れた?)ので、朝から家で待機。扇風機を受け取るために扇風機のない暑い部屋で待機する苦痛。ただ待っていても仕方ないので、ベッドリネンを洗濯する。また、三週間前にアクセサリーオーダーを注文して、届くはずのサイズサンプルがまだ届かないので、それの問い合わせなどもする。

10時頃から在宅で仕事を進めるも、暑くてなかなか進まない。

昼食を用意している間にタワーファンが到着。待ってた!

レンジ加熱していた肉と野菜そっちのけで組み立てる。大きいとわかってはいたけれど、予想以上にはちゃめちゃにでかくて存在感がある。

左はこれまで使っていた扇風機。バスケットボール選手と幼児くらいのサイズ差があるな。
あと、新しいタワーファンは使用中、室温や風量、そして「首振り」「送風」などの機能がいちいちでかでかと表示されて超ださい。と、文句を言ってみるけれど、暖房機能もついていて、一年中出しっぱなしにしておけるのがいいなと思って買ったので後悔はないです。新居も広くなるからサイズが大きくてもいいのです。

昼食を食べて午後もまたまた仕事。途中でハーゲンダッツ休憩と昼寝をはさみ、17時頃には一通り終わったので出かけることにした。先日いとうひでみさんの個展をやっていた中野富士見町のニュースタア・ギャラリーで購入した絵を受け取る。新居に飾るのが楽しみだ。

日中に比べたらかなり涼しくなっていたので、散歩のつもりでぶらぶら歩いた。途中で喫茶店でもあれば入ろうかと思っていたけれど、特に行き当たらなかったので一時間ほどひたすら歩いた。新宿西口から電車に乗って帰宅。

高瀬隼子『水たまりで息をする』を読む。穏やかに暮らしていた共働きの夫婦の生活で、ある日突然夫が風呂に入らなくなる話。淡々とした語り口で、夫や周囲の人に対する主人公の感情の機微がていねいにすくい上げられていて引きつけられる。ぶしつけに踏み込んでくる義母や、主人公を「お嬢ちゃん」と呼ぶトラック運転手、無神経な上司など脇役の描き方もうまい。タイトルの意味がわかるとそれもすごい。最近本当に集中力が続かなくて読書していても10分おきにスマホを手にとってしまうようなだめっぷりなのだが、これは途中でほとんど止まることなく一気に最後まで読んだ。そのくらい面白かった。今回の芥川賞受賞作はまだ読めていないし、賞がすべてではないけれど、これが受賞してほしかったような気がする。


7月30日(金)

二度寝してしまって、起きたら10時だった。出勤しようとしたらオーダーアクセサリーのサイズサンプルが、もうポストに投函されていた。気圧のせいか頭痛がひどい。昼前に職場に着いて、集中してライティング仕事を進める。職場は蒸し暑い家より格段に仕事がはかどる。頭痛がやむ気配がないので、無限にコーヒーが出てくる部屋でコーヒーを浴びるように飲んだ。

T氏と台湾料理屋に向かう。クラフトビールを飲み始めると、頭痛が和らいでいって安心する。カフェインとアルコールは敵にも味方にもなる。空腹すぎて、いきなり揚げ物と炭水化物を頼んだ。

頭痛が和らいだので安心してワインが飲める。T氏がワインセラーからワインを選んでくる。すっかり常連扱いされていて、「前もそのワインを頼まれましたよね」と言われて若干気まずい。締めはいつも通りルーロー飯。

帰りに、ハーゲンダッツミニカップ三個入りを買ってもらう。帰って、家にあったバータイプのハーゲンダッツを食べる。溶けたキャラメルアイスが脚の間に落ちた。T氏から5文字のLINEが来たのでスタンプ3つで返した。



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