見出し画像

Designship グラレコの舞台裏、大公開!

2018年12月。今回始めて開催された日本最大級のデザインカンファレンス「Designship(デザインシップ)」。コンセプトの斬新さと名前を伏せたスピーカー選抜、エモいストーリーテリングスタイルから多くの注目を集め、その日のトレンド3位に入るという、快挙を成し遂げました。

そして、このDesignshipに一つの花を添えた、グラフィックレコーディング。黒地に白文字という斬新さと、参加者が書き込むポストシステムにより、これまでにない新しいグラフィックレコーディングとして、話題を集めました。

私たちは、この新しいグラフィックレコーディングに、「ビジュアルボード」という名前をつけています。(参照:ビジュアルボードを紹介したnote

このビジュアルボードは、予想以上に参加者に活用され、多くの効果をもたらしました。

このビジュアルボードを使って、登壇者に感想を届けた人がいました。
このビジュアルボードの前で、自分のデザイナーとしての一歩を踏み出した人がいました。
これを見て、自分たちの活動の意味を発見した人もいました。
このビジュアルボードがあることで、多くの参加者がたくさんの交流をしていきました。

では、なぜこんなことができたのか?
この記事では、このビジュアルボードをどうやって作っていったのか。わたしたちグラグリッドが、なぜ「VISUAL THINKING PARTNER」として、この場に関わっていたのか。
その舞台裏を解き明かしていきたいと思います。


始まりは、私たちの妄想でした

Designshipのウェブサイトが公開されだしたころ。私たちは、「このイベントを自分たちが手がけるんだったら、どんな風にしてみたいのか?」勝手に妄想して遊んでいました。

「このカンファレンスだったらこんなグラレコできそう!」
「コメントウォールやフォトプロップスとか作ったりしたい!」
「やっぱり黒いボードだよね!」
「このイベント、まるごとビジュアル化してみたい!」
妄想するのは自由です。

その時の妄想メモ byなごや

妄想は盛り上がり、そして具体的なイメージに。
そして、だんだん実現したい気分になっていきました。

ラブコールしてみた

実際にやれるかどうかは、わからない。
予算がつくのかもわからない。
でも、ラブコールしてみることに。

はじめまして。グラグリッドの三澤と申します。
Designshipのイベントについて、とても興味深く、拝見しています。 

ぜひ、このイベントに協力させていただきたいと思い、 
ご提案のメールをお送りさせていただきます。 
弊社は、「描く」という行為を通して、未来をつくるプログラムを 
さまざまな分野に提供している、共創型のサービスデザインファームです。 

もしよろしければ、このイベント全体について、 
「グラフィックレコーディング」を実施する、というカタチで 
イベントに参加協力させていただけないでしょうか。

(中略)

「グラフィックレコーディング」では、 
スピーチの内容を絵を用いてグラフィカルに記録し、 
参加者へフィードバックすることで、わかりやすさを向上させるとともに、 
イベント全体の体験の価値を高めることができます!

今回、さまざまな分野のデザインのストーリーが語られ、 
おもしろくもカオスな状態が生まれるのではないかと想像しています。 
その中で、イベントが終わった後も、ふりかえり、語り合えるような 
絵の記録はとても効果的です。 
その体験のデザインそのものが、 
今回の議論に値するのではないかと思います。 
もしご興味があれば、ご提案をさせていただきます。

(中略)

ぜひ、ご検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。

熱い思いを受け取ったミーティング

そして、Designshipを立ち上げた張本人である広野さん、小松さんとのミーティングが実現!
デザインのちからで日本を経済を変えたい!」という熱い思いを直接聞くことができました。

ミーティングのスケッチノートを持つ広野さん小松さん

日本中がびっくりするような、デザイナーが主体となるカンファレンス。夢が膨らみます。

そして、私たちからは、グラフィックレコーディングの提案ではなく、「業界を超え関わった人全員が視覚的に捉え、考え、交流する体験」を作ってみたい!と提案。

幸運にもこの提案に興味を持っていただき、一緒に活動させてもらえることになりました!VISUAL THINKING PARTNERとして。

さて、どんな風に実現できるか?

2日間にわたるカンファレンス。キーノートスピーチ以外にも、16の公募セッションがあります。どのセッションを対象にするのか?誰が書くのか?何を書くのか?計画をしていきました。

これだけの多くのセッションをやりとげるには、人数も必要です。学生インターン生を募集したり、調整を進めていきます。

また、会場で書く場所はどうするか?カメラの位置はどうするか?
書いたものを掲示する場所はどのくらい必要か?どんなふうに掲示するのか?計画は多伎に渡ります。

グラレコを書く場所を検討する時にお願いしたこと

また、たくさんの必要な備品をリストアップし、何度もシミュレーションしながら、不足しているもの、工夫できることを考えて準備を行いました。

いよいよ当日だ! 

そして、やってきたDesignship当日。
学生インターンも加わりパワーアップしたVISAL THINKING PARTNERチーム。オリエンテーションから始めます。

今回は、カンファレンスのキービジュアルに合わせて、黒いボードに不透明のインクで描くことを、始めから決めていました。

しかし、この黒い紙に書くということ、不透明のインクを使うことは、想像以上に大変でした。
色を重ねる時どうするか?修正するには黒でどう消すのか?塗りつぶしは?影に使える色は?など。白い紙に描くのとはまるで違います。さまざまな場合を想定しながら、ペンに慣れることから始めなくてはいけませんでした。

参加したくなる余白と、伝えるべきものが入る構図とは?

そして、グラフィックレコーディングの構図設計も行います。

参加者が貼りたくなる余白が適度にありながらも、ボード全体でダイナミックに表現できるバランス、情報量を検討。
サマライズの粒度は?
登壇者の「ストーリーテラー」としての存在感をどう表現するか?
20枚のボードがずらりと並んだ時に、見やすい構図、映える色づかいは?
まさに、これまでのグラフィックレコーディングの豊富な経験から、考えていきます。

グラレコが何枚も並ぶ時は、構図にも機能性が必要!

グラフィックレコーディングの現場

そしてグラフィックレコーディング。
何を話すのかわからない状態で、その場で聞き取ったことをその場で描いていきます。

Designshipのスピーチは、デザイナー1人ひとりの物語が重視されるため、「どんな人物が」「何を伝え違っているのか?」をサマライズすることにこだわりました。聞き逃さないために、グラフィックレコーディングは、メインの描き手と支援する者の2名体制で臨みました。足元には、メモ付箋でいっぱいです。

そのころ、会場の外でも同時並行で描く活動をしていました。ボードを立てる足場をつくったり、タイトルや説明書き、質問対応用の情報を整えます。

参加者がポストし、交流する場をつくる

そして、一番こだわった「インタラクティブポスト」。参加者や登壇者はここに付箋を貼ってくれるのか?もうドキドキでした。

ポストイットを手にとってもらえるように。書き込んで貼り付ける、ということことを理解してもらえるように。さまざまな工夫をしていきました。

誰もが手にとりやすい場所に付箋とペンを配置。休憩時間には、付箋とペンを手渡して、コメントを書いてもらえるようにお願いしたり。

「フセン コメントにご利用ください」「ボードへGO」など、行動を促す絵を入れたり。

Twitter用や、会場の司会者にアナウンスしてもらるためのスクリプトを書いたりもしました。

結果、休憩時間には多くの参加者が集まる空間に。おおお!嬉しい。

カンファレンスの参加者ジャーニーにマッチした配置

また、舞台裏では、このボードを持って大移動を行っていました。
カンファレンスに参加する人の行動の流れに合わせて、ちょうどよい感じに目に入るように。気分が高揚している時にポストできるように。人の流れにあわせて配置替えをしています。

当初計画していたこの位置だと、ひと目に触れにくいな…。

急遽、受付側に移動。ここなら会場から出てきた瞬間に見えるかな。

しっかり、懇親会会場にも運んでいきましたよ。

チームで挑んで手にいれたもの

2日間、立ちっぱなしで書きまくったみんな。お疲れ様でした。疲れたはずなんだけど、本当に楽しそうな笑顔ですね。

学生インターンを送り込んでいただいた、常葉大学の安武先生からは次のコメントをいただきました。

Designship、学生が大変お世話になりました!
おかげさまで、ラボ(ゼミ)内にエネルギーが満ち満ちています。

そうなんです。私たちは、VISUAL THINKING PARTNERとして参加した事で、多くのパワーを受けとりました。さまざまなデザインの事例を一番いい場所で聞きながら、多くの参加者のポストを見ることで。

そして、私たちが「視覚化すること」は、鏡のように、内容を拡散させ、いろんな人の心に届いたように思います。

この私たちのチャレンジが、次の新しいチャレンジに着火することを期待して。

(三澤)

●関連記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?