共創学会の年次大会で論文を発表!大牟田まで行ってきました
「共創」に関するさまざまな分野の研修や活動があつまる「共創学会」。その2022年の年次大会に参加してきました。場所は、九州の大牟田市。ひさびさのリアル開催です。グラグリッドからは、2件の論文発表を行っています。
共創学会とは?
共創学会は2017年に設立された学会で、理工学、心理学、コミュニケーション科学、ロボット工学、臨床法学、教育学、情報デザインなど、さまざまな分野の研究者や実務家が集まる学会です。
グラグリッドのメンバーも、2017年の設立当初に大会に参加していましたが、発表する側になったのは今回が初めて。さて、どんな反応がくるのか楽しみです。
2つのポスター発表をしてきました
わたしたちが発表したのは、次の2つです。
地域におけるバウンダリーオブジェクトとしての「スナックの可能性」
創造的人材を育む組織文化の醸成 〜共創型ビジュアル思考を活用した小学校の新しい学び場づくりから〜
いずれも、インタラクティブセッションに割当てされました。ポスターを掲示し、閲覧してくれる人と自由にインタラクティブに議論ができるセッションです。
では、それぞれどんな反応だったのか見てみましょう。
地域における「スナック」の可能性と向き合い、社会実験の足がかりをつくる発表
スナックとは?ママとは?
地域での交流のハブになっているスナックに注目し、実際のママさんにインタビューをしながら分析を試みた発表です。
この発表、実はこれからやってみようと思っている「スナックを中心とした社会実験活動」のための下調べをまとめたもの。
来年2023年からは、実際にスナック店舗を用いて、地域の交流を動かす実験がはじまります。
長期的な研究活動となりますので、やさしく見守ってください。
たくさんのご意見をいただきながら、地域スナックの「ママ」に求められる条件、交流をつくるためのきっかけが、より明確にみえてきました。
組織文化を変容させた
5年間の創造的活動の要因を解き明かした発表
続いて2つ目の発表は、5年間つづけてきた共創プロジェクトを分析したもの。
このプロジェクトは、まったく共創がおきていない状況から、徐々に人が集まり、たくさんの活動が生み出され、地域に根ざして自走する文化をつくるまでに成長しました。
その背景になにがあったのか?それを追求したのがこの発表です。
対象となっているプロジェクトは、新宿区立落合第六小学校でのグラフィックレコーディングを活用した、創造的人材育成プログラム「ノート学」と、それに関係する、部活動や地域協働活動です。
この論文は、プロジェクトを推進してきた和田・三澤に加え、協働的創造活動の研究をされている札幌市立大学の福田大年先生にもご協力いただき、情報の整理と分析を行ってきました。
これまでに起こったことを全部ひっぱりだして、図式化していくと、見えていなかったさまざまな連鎖がどんどん明らかに!共創のエンジンとなるものは、偶然おこったものもありますが、何度も繰り返されるチャンスの中で、あきらめなかった心が大きな影響をもたらしているということも見えてきました。
論文の中では、この文化変容を5つのステージに分類し、変化の要因を解き明かしています。
ステージ 0:無共創葛藤期
ステージ 1:機会創出期
ステージ 2:探索的成長期
ステージ 3:意義確立期
ステージ 4:自立型共創期
今回の発表では、文化変容の全体像を捉えることができたので、これからは、それぞれの文化モデルの変遷や、共創する文化づくりに必要なことについて、より多面的に探っていこうと考えています!
この共創学会の発表でえられたこと
私達は、研究者でも研究所の職員でもありません。なのに、なぜ研究活動をしていくのか?
それは、ひとえに、めちゃくちゃ得られることがあるからです。
同じ思想で、同じような研究をしている人と出会えた
全然違う分野の人が、どのように共創を考えているのかが見えた
面白いひとたちと交流して、刺激をうけた
この機会に活動や成果を全部ほりだしたので、それを俯瞰していくことで、多くの大事なこと、恵まれていた環境に気づくことができた
まとめて発表する中で、自分たちの特性、強みがより明確に見えた
やってみたいことがまたたくさんあふれてきた
私たちは、世の中にないものをつくりだしていく仕事をしています。
だからこそ、見えていないもの、わかっていないものと向き合う場所に足を運んでいくことは、とても大事です。
そして、チャレンジしてふりかえり、発表して学び合う、そういった姿勢こそが、創造を生み出すために必要であり、それこそが「共創ということなんだ!」と感じた時間となりました。
(三澤)
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