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ディスカッションパートナーとしてのビジュアルファシリテーション

ここ最近、グラグリッドではディスカッションでのビジュアルファシリテーターとしてお声がけをいただく機会が増えています。
先日も、とある企業内でのディスカッションにビジュアルファシリテーターとして参加し、効果を実感いただいたという嬉しいお声をいただきました。そこで今回は、「私たちがディスカッションの場にどのように関わっているか?また関わることでどんな効果があるのか?」について、今回の事例を元にお伝えしたいと思います。

上の人は何を考えているんだろう?

今回お呼びいただいたディスカッションは、大きな事業部内で行われるものでした。トップの方が持つ思いや構想を聞き、それぞれの立場で思ったことを、直接トップに伝えるものです。

横断的に束ねられたこちらの事業部では、それぞれが対応してきた分野や出自の違いから、自分たちにとっての共通言語がまだ見出されていない状況がありました。
今回のディスカッションを通じて、自分たちが中期的に目指す方向を捉えられる、共通のビジョンを模索することを目的としています。

これまでの間、トップの方との対話はある程度近い立場の人でしか実施することができていませんでした。しかし今回のディスカッションでは、若手の方も交えた場で直接トップの立場から想いを伝えます。
それを受け、若手を含むメンバーの皆さんも、臆さずに感じたことや思う所を伝えはじめました。中には物語を紡ぐ方も生まれ、その思いの行き来や熱さに、私たちも引き込まれていきました。

ビジュアルファシリテーターが行うこと

まず、今日のお約束としてこの写真のように2つのことを明示しました。

こういったディスカッションは個々の思いがあるのが当然で、それをまずこの場に出していき、その乖離や近さを全員で捉えることが必要です。それには正解探しをしないことがとても大事です。

そしてトップの方や周りの人、ストレートに言うと”上の人の顔色を気にした発言をしない”ことも必要です。先ごろまで話題だった「忖度」をしないでね、ということです。あくまでも何を考えているか?またトップの方の話や他の方の話をどう捉えたか?を自分の言葉で話すことも同じぐらい大切です。

こういった「議論するなら当たり前だよね?」と思うかもしれないことも、私たちのような「第三者」が前もって伝えることで、暗黙のうちにおもねりがちだったところを柔らかく打破していきます。
こういった点はまずその場の声として上がらないので、見えるように伝えることが効果的です。このような場の下拵えの話しをしながら、アイスブレイクをしてディスカッションをスタートしていきます。

私たちはディスカッションの内容をビジュアライズし、メンバーの方々のコメント(や、コメントが書かれた付箋)を交えながらディスカッションの過程を残していきます。
ただ観察者として聞くことに徹して書き取るのではなく、場にエンジンがかかりやすくなるように話に入ったり、出たコメントをある程度グルーピングできるように質問を投げかけたりと、未来への道標を一緒に作るために、皆さんとたくさん話しながら描きます。

実際、どのようにディスカッションは流れていったのか

まずは今の自分たちの仕事について、それぞれが「どうあると良いと思うのか?そして今どんな状態なのか?」だと思っているのか、をうかがいました。

「本当はこうありたい。」という思いや、それに対して「でも今はこう。」という現状や、「これがわからなくて不安。」という材料がポツポツと浮かび上がります。
似た意見をうかがいながら、少しずつ意見をグルーピングしていくと、個々に違う立場であっても共通の思いがあることが見えてきます。

今度は、トップの方が持つビジョンをうかがいます。
すでに場に描かれたグラフィックを見て、こんなことを思っていたのか、と若干ハッとした思いをなさっているという話から、事業部に対して思い描いているビジョンを話していただきました。

これもビジュアライズを行い、その後のディスカッションではこのビジョンの共有を受けて、更に参加者の想いをお話いただきました。

参加者を入れ替えながら、ディスカッションが続く

当日は、濃くディスカッションするために各セッションごとの参加者を少し絞り、同様のディスカッションを参加者を入れ替えながらもう2回行いました。(全部で3セッション)
最終セッションの参加者の方々にはこのプロジェクトのキーとなる方を集め、セッション1、2回目のグラフィックを見ながら、全員で現状の俯瞰を行い、そこを起点にどう共通のビジョンを言語化していくか?ということが話されました。

様々な立場の人からの意見が出され、ポイントに沿ってグルーピングされたものを振り返ることで、重点をおいて検討をしたい点や、参加者の中にある不安が強い点が浮かび上がります。そこから自分たちが共通ビジョンを描くためには必要なものは何か?どんな姿勢で臨むか?を改めて問いかけ、この初回のディスカッションが終了しました。

ビジュアルファシリテーターが生み出すもの

企業内における普段のディスカッションでは、日頃の役割や立場、もっと言ってしまうとパワーバランスがそのまま維持された状態ができあがってしまうことがよくあります。発言力の大きさがそのまま残るカタチで採用されることも少なくありません。

そこで私たちは、同じ場に立つ人間としてディスカッションの輪に入り、どなたの意見も等しく捉えながらビジュアライズを行います。ところどころで大きな声に偏りがちな議論においては「こちらの意見はいかがですか?」と、声の大小に左右されないようにポイントを拾い、場に問いかけます。

また場の皆さんの表情を観察し、なんとなく声が沈み、意見を言い出しにくい状況があれば、停滞をほぐせるよう話しに入りながら進めていきます。時折、社内の言葉などがわからず「すみません、これはどういったことですか?」とお尋ねすることもあります。場合によってはそれが「第三者からはそう見えるのか。」という発見につながることも少なくないようです。

大事なディスカッションの時間、少しでも場がフラットになるように、発展的な話しができるように、私たちはその場の一員として関わっていきます。

ディスカッションの場に、ビジュアルファシリテーターという手段

こうやってビジュアルファシリテーターが場に加わらせていただくことで、ディスカッションの取り回しに気を割くストレスを減らしながら、肝心な部分に集中することができるようになります。もちろん、グラフィックがどんどん残っていくため、経緯を振り返ることもできます。

課題にしっかり向き合いたいとき、見えない状況を解きほぐすディスカッションがしたいときなど、ぜひご相談下さい。

(なごや)

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