解釈を深め、全員で共有できる対話手法〜フィッシュボウル〜
グラグリッドは、共創デザインの会社として、さまざまな企業や地域で所属や部門、肩書など背景が異なる、多様な人々が関わるプロジェクトに伴走しています。
それらのプロジェクトでは、関係者間の認識や解釈を共有したり、関係者でテーマを深ぼることが求められるのですが、下記のような課題に直面して、ご相談をいただくケースが多くなっています。
このようなときに、グラグリッドが実践している、対話を深め、全員で共有するフィッシュボウルという手法をご紹介します。
フィッシュボウルとは?
フィッシュボウルは、全員が対話に参加し、意見を共有することを目的とした対話手法です。
名前の由来は、その形式が金魚鉢のボウルのような円形の配置に似ていることから来ています。
通常、フィッシュボウルは二重の円になって、内側に少人数の参加者が座り、外側には他の参加者が座ります。内側の参加者が話し合いを進め、外側の参加者は聞き手に回りますが、外側にいる人も内側の空席に移動し、発言することができます。
事前の準備は、フィッシュボウルで話すテーマや問いを設定し、最初に内側に座る方を決めること。
進め方として、これまでの経験だと、テーマに対して多角的な視点が得られるように発散しつつ、その理由も本質をついて明確にしたいような場面で、フィッシュボウルを活用するとより効果的です。
より深く、全員で共有するフィッシュボウルを行う3つのポイント
ポイント1|全員が1度は内側に入る(という意識で臨む)
外側の人が、より深く、集中して対話を聞いてもらえるように、「一度は全員、内側に入って話してもらう意識」で対話に臨んでいただくことを開始前に伝えます。
そうすることで、自分が話すタイミングをうかがいながら対話内容を聞くことで、集中力が増していきます。
また、内側に入るには、やや勇気がいたりもします。そのため、やらざるを得ない状況をつくることで、自ら話をする後押しにもなっています。
ポイント2|対話の内容を可視化させる
グラグリッドでは、内側で話された内容を、後からふりかえり、自分の解釈として深めるために、対話内容を可視化します。
やはり可視化されていると解釈の違いや概念の理解が進みます。
その際に利用する技術が、グラフィックレコーディング。対話が終わってから、それを見ながら各自ふりかえり、思ったことを一人ひとり付箋に書き出して共有したりします。
ポイント3|概念構造を具体化して対話する
可視化することに加えて重要になってくるは、テーマに対して全員がどのような構造や概念として捉えているかです。
そのためには、概念モデルを可視化することが有効です。
実際の対話の場では、可視化したグラフィックレコードを議論の場に戻すことで全体の理解が深まり、多様な視点で考えられたことが、まとまっていく流れにつながります。
事例として、新組織立ち上げのビジョンを創造したプロジェクトをグラグリッドのサイトで紹介しております。こちらも合わせてご覧ください。
これまでいくつかフィッシュボウルを実施してきましたが、対話が深まるものと、思ったよりは深まらなかった経験もありました。
その違いは何かとふりかえったときに、問いの対象が概念的すぎると、話が抽象的な内容になってしまう傾向があります。
ビジョンのような概念的なものを深掘りする際は、概念構造の違いを具体化させて比較するなど、概念的なものを具体的に話せる用意をして、フィッシュボウルをすると、対話が深まります。
多くの対話の手法はありますが、今回はそのうちの一つとして、フィッシュボウルをご紹介しました。
今後もグラグリッドでよく活用している手法やアプローチを、お伝えしていきます!
(尾形)
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