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ジュニアアスリートメディカルサポート通信Vo.2 〜身体を自由に扱える力を手に入れるためには〜 

ジュニアアスリートメディカルサポート代表の宮田大揮です。我々は、小中学生のアスリートをサポートして5年ほどが経ちました。2024年7月から、クローズされていたサポート体制をウェブ上にオープンしました。具体的には、医学の力をジュニアアスリートの能力を最大限引き出すためにフルコミットする形で使っていこうというのがコンセプトで、アジアから世界に誇れる選手を様々なスポーツで輩出することを目的としています。

第2回は「身体を自由に扱える力」について医学的観点から考えていきたいと思います。スポーツにおいて思い描いたようにプレーできればほとんどミスがなく、素晴らしいプレーの連続になると思いますが、人間は利き手、利き足やメンタルなど様々な要因によって持っている力を発揮することができません。これらについては、反復動作やメンタルコントロールなどがスポーツの世界でも取り上げられ、どのように改善していくのか?を模索しています。我々は医学的なバックアップとしてそのようなアプローチではなく、肉体・身体に働きかけていきたいと考えています。
 今回はサッカーを例に考えていきますが、小学生の時期から子供たちはかなり高度なイメージをもってサッカーの試合でプレーをしていることがわかってきています。例えば、「ボールをキックしたら相手に渡ってしまい失点してしまった」というシーンでは大人からみるとただのキックミスですが、実は子供の頭の中ではプロサッカー選手のように「大きく反対サイドまでサイドチェンジをしようとしてキックしていた」が、ただキック力が足りなくて、近くの相手にパスをするような形になってしまったケースがあるのです。 これは1例ですが、実際にミスしたシーンをビデオを見ながら話を聞いてみると、プロ選手と同じようなプレーをイメージして動いていたという答えが返ってきます。これは、youtubeなどに簡単にアクセスできる時代になっているので、イメージを膨らませやすいという点もあり、自分で実践できると錯覚を起こしてしまうことが昔よりも目立っているかもしれません(もちろん、昔でもキャプテン翼のプレーを真似したり、マラドーナのプレーを真似したりはよくしていましたが、youtubeでイメージしている場合とアニメを見たり、コーチから聞いたり、本を読んだりすることで想像するイメージとでは使う脳の場所が異なるため錯覚の度合いが変わります*これについては別な機会で特集したいと思います)。
 これを、認知の誤認といいますが(誤認妄想とは異なります)、これに対して医学的にどうアプローチするか?ですが、通常では認知の修正を行い、自己の身体能力に適応させていくのが医学的なアプローチなのですが、これはスポーツの世界ではあまり良い方法ではありません。なぜならば、以前中田英寿氏がインタビューで「キャプテン翼をみて、オーバーヘッドキックを砂場で何回も失敗しながら繰り返しているうちにできるようになった」と答えていたように、そのときは夢のようなプレーでも諦めずにやり続けることで成功に導くことができるので、スポーツにおいては、医学の行動認知学のように自己の身体能力に認知を合わせるのではなく、身体を良い意味で誤認している認知に近づけていくことこそ成長につながると考えられています。
 
 では、医学的なアプローチでその工程をバックアップするのは実際どうするのか?ですが、これには様々な方法があるかと思います。我々の施設で行っていることは、2つあり、1つは「自分自身の運動能力を客観視すること」もう1つは、「フィジカルレベルを数段上に上げること」になります。

 「運動能力を客観視する」のは、数値化することがもっともわかりやすく、8歳以降の子どもであれば、呼気ガス分析装置を使い最大酸素摂取量や乳酸閾値と呼ばれる指標を測定します。そこから、同年代の子の運動継続能力と比してどの程度高い能力が出せるのか?を知り、トレーニングをすることでその数値が向上していくことで、自己肯定感を高めていく方法です。
 
 「フィジカルレベルを数段上にあげる」という取り組みは、フィジカルトレーニングをするのではなく、「身長医療」と呼ばれる領域で血液データを元に、現在の成長段階を正確に推定し、成長ホルモンを補充すべきなのか?成長期に向けて栄養を吸収する胃腸のトレーニングを行うのか?などアドバイスをおこなっています。つまり、競技のコーチたちがやるフィジカルトレーニングの礎となる筋肉や身体の大きさを育み、栄養管理を受け入れることのできる消化器官の成長をサポートしています。

こういったことを地道に5年間サポートしてくとびっくりするような速度でフィジカルレベルが上がっていきますし、成長ホルモンを補充しているアスリートは、もともと食事量が細くてご両親もお困りでしたが、成長ホルモンの作用も相まって食事量が増え、食事量が増えることでご両親からも褒められるので、自信がついてさらに食べれるようになっていました。そのため、当施設にカウンセリングにくる度に「先生!今日は学校の給食2回もおかわりしたよ!」と聞かなくても報告してくれるようになり、我々も本当に嬉しくなります。

このようにいい循環が回りだすと、我々がバックアップしなくても自立していくために、半年後に久しぶりに会うと「身体を自由に扱う能力が飛躍的に向上している」ことがわかります。スポーツ医学的なアプローチは、コーディネーショントレーニングや様々な競技を通じて培う運動能力向上をサポートするものであり、競合するものではありません。

このようなことに医学的にフォローすることは日本の保険診療ではできませんので、小児科などで相談することができない側面もあり、我々は2024年7月からジュニアアスリートメディカルサポートとして一般向けにオープンいたしました。ご興味のある方はぜひとも下記サイトもご覧ください。


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