見出し画像

【研究×スタートアップ オンラインイベント】DeepTech/AI

こんにちは。福岡のベンチャーキャピタル、Gx paetners アソシエイトの中村です。

この度、産学連携、特に情報系の大学研究とスタートアップをピックアップしたオンラインイベントを開催しました🎉
このnoteでは、イベントの振り返りとして、イベント内容の紹介と自分的学びをつづっていきたいと思います。

イベントについて

このイベントは理系修士として研究を行う傍ら、スタートアップとも関わっている私と吉野が、研究とスタートアップの関わる機会をもっと増やす、DeepTechに脚光を当てる!という思いのもと発足したイベントです。
私と吉野にとって初の試みではありましたが、豪華な登壇者の方々にお越しいただき、当日は大変多くの視聴者の方々にご視聴いただきました。

登壇者には、
東京大学の教授で、縁結びAIサービスAILLをはじめとする複数のスタートアップの取締役や技術顧問を務める松原仁

九州工業大学で行動認識技術の研究、介護自動記録アプリFonLogなどを提供するAUTOCAREのCTOを務める井上創造

大阪大学大学院の博士課程に在籍し、AISamuraiでCTOとして特許評価システムの開発を行っている三上祟志

以上の御三方にご登壇いただきました。御三方とも専門分野のエキスパートであり、多方面からひっぱりだこのお忙しい中での登壇でしたが、快く引き受けていただきました。

画像4

そして、本イベントでは以下のテーマでお話しいただきました。
・アカデミア↔︎スタートアップの志向の変化
・アカデミアとスタートアップとの共創
・機械学習の社会実装のこれから
・研究や事業を通してどんな世界を作りたいのか

自分的学び

ここからは、登壇者の方々の話の中で印象的だった内容の一部を取り上げていきます。

・アカデミア↔︎スタートアップの志向の変化
井上先生:高校生に「研究はすごいけど、実用化された例はあるんですか?」と聞かれたが、当時は実用例がなかった。高校生に言われたひとことに対する研究者としての悔しさもあり事業化に至ったのがきっかけのひとつ。
松原先生:AI研究を社会実装できるような環境になった現在、社会実装に取り組むことで、基礎だけでは見えない新しい課題や足りない部分を見つけられる。
三上さん:自分の持ってた会社をM&Aされる形でAI samuraiに入社。その際、買収の条件の一つとして社会人博士での授業料を払ってもらえるように交渉し、会社にサポートしてもらいながら、大学で学んでいる。

様々なきっかけによって研究技術が産業に結びついていっていることを知ることができたと同時に、産学連携が産学の両者にとってメリットが大きい取り組みであることを実感しました。
大学で磨かれた最先端の技術を社会実装によって社会に還元し、その社会実装によって見えなかった研究課題も見えてくるという研究エコシステムが上手く回っていくと、いまより良い技術や企業が日本からも生まれてくる気がします。


スクリーンショット 2020-08-04 17.37.28(2)

・アカデミアとスタートアップとの共創
松原先生:アカデミアや教授という身分では社会実装への取り組みが難しい。行政や他社が取り合ってくれない。取り組みの覚悟を示すため、社会実装に必要な技術以外の面(営業や財務等)を取り込むため。
三上さん:立ち上げ期から大学と共同研究。その繋がりもあり、現在所属している。多くの知見が集約する大学の先生に聞くと、企業だけでのサーベイでは見えない点がわかる。
井上先生:研究技術を病院や介護施設へ導入した結果、効果を確かめられたが、新しい分野であるため企業への導入が難航。自分の会社として事業を広げていこうと決意。

大学研究などのDeepな技術が必要不可欠な社会課題も多くなってきている現代では、企業にとって、大学との共創で得られる知見は貴重であり、大学としても、大学だけの力で取り組む社会実装には限界がある印象でした。企業 ・スタートアップと大学が力を合わせていくことの必要性を改めて感じました。

スクリーンショット 2020-08-04 20.19.03(2)

・機械学習の社会実装のこれから
三上さん:データや計算機の大規模化だけで勝敗が決まるような形になってしまうとスタートアップが勝つのが難しくなる。世界的な集合知が構築されていて、機械学習に限らず、コンピュータサイエンスの進歩スピードが速く、技術の陳腐化も速い。
松原先生:今回の機械学習ブームで、人間のやり方を機械に置き換えるのではなく、やり方自体を見直すことが可能に。入出力だけに着目した機械学習に対して、どう人間の知識や知見を織り込んでいくかがキモ。
井上先生:機械学習、データなければ機会なしDeepLearningだから万能というわけではなく、データが簡単に莫大に集まる環境でのみいい結果が出てる。実は行動認識のコンペのトップ2はDeepLearningを使わない手法だった。データを収集が新しいチャレンジになっている。

今回のAIブームの主役であるDeepLearningですが、それが普及した現在、DeepLearningだけじゃ太刀打ちできない課題に手が届くようになりました。現在は第4次産業革命・AI革命の黎明期であり、IoT化による豊富なデータの収集やDeepLearning+αの何かが構築されていった先に大きなイノベーションが待っているようなそんな気がしています。

スクリーンショット 2020-08-04 21.11.30(2)

・研究や事業を通してどんな世界を作りたいのか
三上さん:三菱で研究していた頃から特許作成作業に課題意識があった。特許調査や特許作成の補助を通して、研究者の研究にコミットできる時間を増やすことで、世の中の技術の進歩に貢献したい。
井上先生:2025年問題、団塊の世代が75歳を迎えるこの時期までに医療や介護の行動認識の応用を確立したい。人間拡張技術の発展において、ユーザーができることを認識させる(Ability-aware)の開発。
松原先生:物理的な移動のインターネットを作りたい。情報はここ数十年で自由に簡単に流通するようになった。それと同じように、地方都市の人でも、車を持ってない人でも、物理的に自由に移動できる社会を作りたい。

終わりに

今回のイベントの開催にあたって、「研究とスタートアップの両者に関わる上で、なんとなく共通項が多いように感じると両者においてアナロジーを見出し、自分のキャリアや取り組みを考える上で役立てたい」というモチベーションがありました。
0から1、今までに世の中になかったものを生み出すという点で共通しているのはもちろんですが、当事者のマインドにも共通する点が多いように思います。トークセッション最後のテーマにあるように、登壇者の方々からは、世の中の課題に目を向け、この技術で、この事業で、社会をより良いものに変えるんだという信念がバチバチ感じられました。
自分の仕事に信念を持って取り組める登壇者の方々のような大人になれるとかっちょいいです。
行動や姿勢の表面だけ見てると見落としがちですが、その人がその取り組みにかけている思いや信念といったところまで目を向けられると、世界がまた違った見え方で見えるのではないかと思いました。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
本イベントでは、noteでは書ききれなかった興味深い話もたくさんありましたので、当日の動画を期間限定で見られるように準備をしています。
イベントについて興味を持った、動画を見てみたいという方はTwitterでDMいただけると対応できますので、気軽に連絡ください!

よろしければサポートお願いします!これからの記事投稿のブースターになりますのでよろしくお願いします。🔥🔥