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バイリンガルになると学習が遅れるのではないか?混乱を引き起こすのではないか?→そんなことはありませんでした。


ナヤ・フェルヤン・ラミレス博士は、乳幼児の脳がどのように言語を処理するかを研究している研究者



言語を二つ話せることは、就職の機会を増やし、多くの人とコミュニケーションを取れるという点で非常に有益です。また、バイリンガルであることは認知的・社会的な利点があることが知られており、さらにはアルツハイマー病の発症を遅らせる効果も確認されています。しかし、なぜ私たちは皆バイリンガルにならないのでしょうか?

その答えは、言語学習が非常に難しいと感じるからです。多くの人が学校で外国語を学んだ経験を持っていますが、ネイティブレベルに到達することは稀です。しかし、人間の脳は二つの言語を同時に学び、ネイティブのように使いこなす能力を持っています。そしてその鍵を握っているのが「赤ちゃん」なのです。

赤ちゃんは言語の天才です。世界中の赤ちゃんが、誰に教えられることもなく自然に母国語を習得します。さらに、二つの言語が周囲で話されていれば、二言語を同時に習得し、両方の言語でネイティブスピーカーになることができるのです。研究者たちは、バイリンガルの赤ちゃんの脳が、言語処理においてモノリンガルの赤ちゃんとどのように異なるかを調べています。

驚くべきことに、バイリンガルの赤ちゃんの脳は、二つの言語の音を処理するために特化しており、モノリンガルの赤ちゃんが一つの言語に特化するのとは対照的です。また、バイリンガルの赤ちゃんは、注意を向けたり、タスクを切り替える際に重要な役割を果たす前頭前野がより活発であることがわかりました。これにより、バイリンガルの子どもたちや大人は、認知的な柔軟性が向上することが確認されています。

バイリンガル教育には多くの利点があるにもかかわらず、「バイリンガルになると学習が遅れるのではないか」「混乱を引き起こすのではないか」といった懸念がよく挙げられます。しかし、研究ではバイリンガルの子どもたちが一言語の子どもたちと同じ年齢で最初の言葉を発し、語彙も同等かそれ以上であることが示されています。また、バイリンガルの子どもたちは状況に応じて言語を使い分けており、混乱しているわけではないのです。

現在、バイリンガル教育の需要は世界的に増加しています。特に幼少期から二つの言語を学ぶことが効果的であると認識されつつあります。赤ちゃんは、二つの言語を学ぶ能力を持って生まれており、その潜在能力を引き出すための環境を整えることが重要です。

教育機関でのバイリンガル教育を充実させ、すべての赤ちゃんに二言語学習の機会を提供することが、21世紀の多言語社会での成功への鍵となるでしょう。研究結果は非常に有望で、今後の展開が期待されています。

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