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まだROIで疲弊してるの?ROIの迷宮から抜け出す方法

こんにちは。とあるメガベンチャーで某エンタメアプリのマーケティング責任者をしているサイトウといいます。

今回は、マーケターの頭を悩ませる「ROI」についてnoteを書かせていただこうと思います。

マーケターの皆さんは、「ROIが合わないからチャレンジを見送った」という経験が1度や2度はあるのではないでしょうか?

私自身は、この「ROIの迷宮に迷い込んで身動きが取れなくなること」を本当にもったいないなと思っています。

今回のnoteで、この問題に対する私の回答をつらつらと述べたいなと思います。

「ROI」とは?

まずは言葉の定義からおさらいしていきます。

ROIは「Return On Investment」の略称。
日本語では「投資収益率」や「投資利益率」とも呼ばれ、その投資でどれだけ利益を上げたのかを知ることのできる指標のことを指します。
利益÷投資額
で求めることができ、「1を超えると黒字」を意味します。

ざっと定義はこのような感じでしょうか。

要は、「利益÷投資額」で1を超える試算が出来るなら、事業にとって価値のある施策だから実行する、という非常にわかりやすい指標のことです。

例えば、1,000万円の広告を投下して、2,000万円の利益が出たのなら、ROIは2となり、非常に良い広告施策だったね、となるわけです。

「ROI」の問題点とは?

非常にわかりやすい指標である「ROI」ですが、一つとんでもない問題点があります。

それは、「利益」の算出

マーケターの皆さんは、利益の試算をどのようにしているでしょうか?

最も分かりやすい算出方法は、「LTV」というアプローチです。

LTVとは顧客がサービスを使ううえで、生涯合計でどのくらいの額を使うかの指標のことで、これを基にROIを計算することが出来ます。

例えば、あるゲームアプリの新規ユーザーのnetLTVが1,000円だった場合、1ユーザーの獲得にかけて良い広告費は1,000円未満である、といった具合で、無事1,000円で獲得できた場合は、ROI1になるわけです。

・・・。

さて、問題は、これ以外の「利益」の計算の難易度が一気に跳ね上がることです。

例えば屋外広告の出稿をすること。これの、新規ユーザーの獲得以外の価値はどこにあるでしょうか?

・既存ユーザーが広告を見てテンションが上がり、継続率が上がる。
・業界内でのサービス認知が上がり、タイアップ等の話が来る。
・新規営業先の認知が広がり、営業受注率が上がる。
・従業員のモチベーションが上がり、離職率が減る

パッと思いつくのはこのくらいでしょうか。

さて、上記に挙げた価値ですが、その利益額の試算のイメージがつきますか?

恐らく手が止まる方が多いのではないでしょうか。

・既存ユーザーのテンションの上り幅ってどうやって試算したらいいの?
・タイアップの話が来るなんて試算、ボラが激しすぎて試算に入れていいのかわからない…

こんな悩みが次々に現れるはずです。

きっと効果的なマーケティング施策のはずなんだけど、新規ユーザーの獲得試算だけではROIが合わない、でもそれ以外の価値をどう試算すればよいかわからない…ああだこうだ試算をして時間ばかりがすぎていく…

これが「ROIの迷宮」です。

「ROIの迷宮」を抜け出すためには?

ここからは完全に私の持論になります。
異論がある方はどうぞその意見をnoteなどで発信していただきたいです。

個人的な意見としては、悩んでいる時間がもったいない(悩んでいるうちにも「人件費」というコストがかかっている)ので、下記の条件を満たしていればチャレンジするべきだと思っています。

①サービスが世の中に与えたいコトを体現できている施策か
②検証する上で最低限のコストか
③仮説を洗い出せており、振り返りの設計ができているか
④一過性に終わらずレバレッジが効いていく施策か

一つ一つ解説していきます。

①サービスが世の中に与えたいコトを体現できている施策か

これが最も重要だと思っています。
全てのサービスは、創業当初にあった、「世の中に与えたい価値」があると思います。

例えばAmazonは、

「地球上で最もお客様を大切にする企業であること、お客様がオンラインで求めるあらゆるものを探して発掘し、出来る限り低価格でご提供するよう努めること」

を使命として掲げ、「豊富な品ぞろえ」「低価格」「迅速な配送」の3つに常に意識とリソースを集中し続けていたといいます。

この「世の中に与えたい価値」を体現するための施策については、基本的には最優先、最速でリソースを割くべきだと思っています。

これはROIで測るというような小さな話ではなく、ここにリソースを張ることは、事業価値を高めていくことに繋がるからです。

②検証する上で最低限のコストか

これも非常に重要な項目です。

全てのマーケティング施策には、「仮説」が存在するはずです。

特にROI試算をして悩むような施策は、きっとチャレンジの文脈が強い施策が多いと思います。

そうした時に、施策をする上で「仮説」を検証する、最低限のコストで取り組むことができるのか、は非常に重要なポイントになります。

スタートアップ界隈で有名な言葉に、「MVP(Minimum Viable Product)」という言葉があります。

これは「顧客に価値を提供できる最小限の製品や、それを使ったアプローチの手法」のことを指し、新規サービスのローンチの際に注目されている言葉です。

例えば食べログは、当初はグルメ本の情報をもとにした「手打ちのデータベース」で、改善要望の掲示板にあったフィードバックを頼りに、可能な限り対応し、今日のような形へとサイトを改善していったと言います。

これはマーケティングにも同じことが言えると考えており、何かチャレンジングな施策をするときは、「仮説を検証する最低限のコスト」から始めるべきで、その仮説が証明された後に初めて投資額を増やしていくべきだと思っています。

③仮説を洗い出せており、振り返りの設計ができているか

これは基本的な項目です。

ですがこの基本的な項目が出来ていない会社が多いのも事実だと思います。

施策をする前に、先ほども述べた、「仮説」をすべて洗い出す必要があります。

同時に、広告代理店やアナリストなどにそれをしっかりと共有して、振り返る基盤を作ってからチャレンジを実行する必要があります。

これをしないと、そもそもPDCAが回らないという最悪の結果になります。

④一過性に終わらずレバレッジが効いていく施策か

最後はマストではなく、ベターの話です。

マーケティングとは、「売れる仕組みを作ること」と言われています。

仕組みが出来ると、極論仕組みをリリースした後は何もせずとも売上を伸ばしていくことが出来ます。

マーケティング施策も、実行してスパイクで効果が出て終わるものではなく、「1年後2年後にも効果が持続しているかどうか」を一つの指標として見てみてください。

例えば、よくTwitterで目にする「口コミ投稿してくれた人の中から抽選で〇名にAmazonギフト券プレゼント!」のような口コミキャンペーンの実施。

これはユーザーの口コミを増やして、新規ユーザーの獲得を促進させるために非常に有効な施策ですが、個人的にはこの施策も、「キャンペーン」で終わらせるのではなく、「仕組み」に昇華することが大事だと思います。

例えば優秀な「仕組み作り」の例として、「あつ森」のカメラ機能をご紹介させてください。

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「あつ森」の機能の一つなのですが、カメラでゲーム内の風景を撮影できる仕組みが実装されています。
撮影の時にプレイヤーの表情も自由に変えれたりなど、「映える」写真を撮るための工夫も万全に施されています。

これによって何が生まれているかというと、「ユーザーの自発的かつバズに繋がるSNS投稿」です。

ユーザーは自分のお家や島の風景を、まさに「映える」ように試行錯誤しながら撮影し、それをSNSに投稿することで皆の反響を楽しみにしています。

ただ「プレイ画面のスクショを投稿しよう」というキャンペーンをしているようだときっと一過性で口コミは終わってしまうかもしれませんが、このように「仕組み」を入れることで、永続的にマーケティング施策の効果は発揮されます

このような施策については、中長期的に利益が出てくる施策になるので、ROIも中長期的に見れば合う可能性が高いでしょう。

余談ですがこのようなマーケティング施策を「#シクミ作り」のハッシュタグでTwitterにまとめているので、ぜひご覧ください。


まとめ

いかがだったでしょうか?

「ROIの迷宮」ははまると身動きが全く取れなくなる悪魔の迷宮だと思っています。

皆さんがこの記事を読んで、「ROIの迷宮」から抜け出すヒントを少しでも見つけて、よりチャレンジングなマーケティング施策で世の中が活性化していければ幸せです。

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