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『ジブリの仲間たち』プロデューサーが語るジブリと”宣伝”のはなし

こんにちは、れおんです。

みなさんはジブリみたことありますか?

「みたことある」とか「大好き」という声が多いのだろうと思うのですが、僕の周りの人たちが意外と「映画を見たことない」というので、ちょっと 寂しいです。ジブリを見たことあると言ってくれたのは6割くらいですかね


「ジブリみてないなら何?」と聞くとだいたい「ディズニー」。


なるほど、それならわかる。納得。


ただ、逆に僕はあんまりディズニー映画の記憶がないんですよね。ストーリーは知っているけどみたいな...これ以上はまた別の機会に...


ということで紹介するのは鈴木敏夫さんの『ジブリの仲間たち』です。


アマゾンで調べてみると、思いのほか鈴木敏夫さんの著作があるんですね。この本に感化されて文春ジブリ文庫の『風の谷のナウシカ』は読んだのですが、ものすごく深いお話になっていきます。

特定の作品の深い話を知りたい方はそちらへどうぞ。


前置きが長くなってしまいましたが、本題へ。


概要『ジブリの仲間たち』


『ジブリの仲間たち』では、ジブリと宣伝の裏話が中心に書かれています。ジブリがどのような宣伝をしてきたのか、どのようにしてヒットさせてきたのか、映画の興行的な成功をプロデューサーとしてどのように捉えていたのか。そしてジブリは映画業界に、観客に、社会にどのような影響を与えたのか。

数えきれない気づきの中から、特に印象深いところを書いていきます。そもそもnoteを始めたばかりでスタイルが決まっていないのですが、この記事は全体のテーマ「ジブリと宣伝」でまとめました。もしかしたら切り口を変えて何記事か出す予定です。


ぜひ読んでいただけると嬉しいです。また、読んでいいなと思った方は 『ジブリの仲間たち』を手に取っていただけるともっと嬉しいです。


書名がそのまま真意でした。「宣伝とは仲間を増やすことである(p.165)」


さて、鈴木敏夫にとって宣伝とは。

”宣伝とは、仲間を増やすことである――必死で駆けずり回っているうちに、自然とそう考えるようになっていました。

仲間を増やすというと、抽象的な概念のように聞こえますけど、僕の頭にあったのは、いつも具体的な人の顔と数字でした。(p.165)”

とても分かりやすい言葉でした。ここでいう「具体的な人の顔」とはスタッフをはじめとした直接制作にかかわった人々のことで、「数字」とは間接的にジブリの宣伝活動を担った人々のことを指しています。


宣伝といえば、広告を出すとか、ドラマなら番宣するとか。それこそジブリはメディアで多く取り上げられるからどれだけメディアに露出するかが大事なんじゃないかと思っていました。

鈴木さんはもちろん、広告も大事だと言っています。しかしメディアにどれだけ露出するか、広告をどれだけ出すか以上に宣伝にどれだけの人が関わってくれるのか、そして関わってくれた人が作品に好印象を持ってくれて周りに広めてくれることのほうが大事だと述べています。

本ではテレビ局の関係者がざっと100人、広告代理店、プロダクション、新聞、出版、ラジオの関係者を含めれば軽く一万人以上の人がジブリの宣伝に関わることになる。

さらに協賛企業。ジブリのタイアップ先は映画によって変わるますが、コンビニ大手、読売新聞、JA共済、郵便局など店舗数でも何百、何千店舗、一つ一つのおみせに従業員・アルバイトの方々がいれば間接的にジブリに関わる人は何十万人となります。


”大勢でひとつの目標に向かっていくのって楽しいじゃないですか。宣伝というのは単なるビジネスじゃなくて、みんなで映画という神輿をかついで歩きまわるお祭りのようなものです。(p.167)"


メディアを通じて興味をもってくれる消費者はもちろんのこと、それ以上に宣伝に関わってくれる人たちの口コミの力を重要視していたのです。

ジブリに関わってくれる人々を増やすことこそが鈴木さんが宣伝をする上で大切にしてきたことだったのです。



鈴木さんが気づいた「宣伝費=配給収入」の法則


大事なのは仲間を増やすこと...とはいえ鈴木さんはどのくらい宣伝するのか、どのように宣伝するのかを軽視しているわけではありません。

ここからは鈴木さんがジブリ作品を興行的にに成功させる中で発見した具体的な宣伝方法についてです。


それが「宣伝費=配給収入」の法則です。


”これまでの作品の収支の数字を見ていて、ふと思ったんです。かけた宣伝に対して、興行成績が比例しているんじゃないか?

そこで、新聞広告やテレビスポットなどの直接的な宣伝費に加え、タイアップやパブリシティ、イベントなど、間接的な宣伝の効果も一つひとつ金銭換算してみることにしました。すると、『紅の豚』なら配給収入と同じ28億円、『ぽんぽこ』なら26億円、『耳をすませば』は18億円ぐらいの額になることが分かったんです。

つまり、60億円の配給収入をあげたいなら、60億円の宣伝をすればいい。そう説明すると、最初はみんなポカーンとしていました。(p.81)"


いや、私もポカーンとしていますよ?売り上げと同じだけ宣伝する?

僕にとっての鈴木さんは宮崎駿監督が絵コンテを書くのをひたすら待っているイメージが強かったのですが(めっちゃ失礼ですね)、ものすごく現実的な分析をするのだと驚きました。

話を戻してこの法則ですが、信じがたいけれども、3作品でそうだったんだといわれたら説得力がありますね。こうして鈴木さんは『もののけ姫』以降この法則を用いるようになりました。

この本では作品ごとにどのような宣伝を行ったのかが詳しく書かれています。ただ、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』などは1998年生まれの私には「へぇ~」とは思ったものの、ピンとは来ませんでした。

読んでくださっている人で当時のことを覚えている人ならもっとピンと来るところが多いのではないでしょうか。ちょっとうらやましい...。


ただ、私にもわかるのがありました。ポニョ!

詳しくは本に書いてありますが、『崖の上のポニョ』ではジブリ作品の中でも特に宣伝にお金を使ったといいます。


これまでは、ジブリの新作はそもそもニュースになるし、「人気だから」というなんとなくの感覚を持っていました。けれども、よくよく考えてみれば、毎日のように歌が流れてきているし、CMはよくみるし、「あ!ポニョだ!」とばっかり言っていた気がします。いや、めっちゃ言ってます。

鈴木さんのみつけた法則がジブリの興行的成功を支える重要な要素のひとつになっていたのですね。


* * * * *


ジブリといえば、21歳の私にとっては物心ついた時から国民的人気で、 新作が発表されれば「またジブリの最新作があるんだ。いこうかな」くらいの感覚でした。いまでもそうですね。


ただ、ジブリとしては毎回のように成功するためにどのように宣伝をするべきか、格闘し続けてきたのだと学ぶことができました。


みなさんも、ジブリに関する本はたくさん出版されているので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。


ああ...ゲオでトトロ借りてこよっと。


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