見出し画像

【読書ってステキだ】本が教えてくれた幸せ|強き心は時をこえて

☆コペルくん

コペルです🙇

40年以上に及ぶ私の人生で、小説を楽しめるようになったのは実はここ数年くらいの話です。

某国公立大学の理学部を卒業、気象予報士の資格を取得。その後、仕事やら家庭やらでいろいろあって法律を学び、勢いで行政書士や司法書士の資格も取得。いずれにせよ実学的なことばかりで読む本もノンフィクションだけでした。

さて、時々ヒト様から、「そんな難しい資格を持っていて、文章も書けるのに、どうしてそんなに貧困なんですか」とストレートに聞かれることがあります💦

そんなん私が聞きたいよ、という話にはなるわけですが、参考までに私の履歴書の一部をご披露します。


🐣<コペルくんの履歴書(一部抜粋)>🐣

✅2000年代前半
保護者会の日は白ワイシャツと言われ嫌だったので某予備校を退職。(それだけが理由ではないですが。詳細はこちら)

✅2000年代後半
上司とのランチで、先に自分の頼んだ食事が来たので食べ始めたら「こういう時は上司の食事が来るまで待つのが常識だ」とよくわからないことで怒られたのでその日のうちに某イベント系事務所を退職。

✅2016年
管理職時代、昼食から帰ってきたときに「休憩ありがとうございました」と言う習慣があったのを、「休憩は労働者の当然の権利だから」という理由でお礼を言う習慣を廃止したことを上司に叱責されたので某法律系事務所を退職。

✅2017年
職場の重鎮たちと行ったカラオケで、重鎮のオジサマ連中が昭和の懐メロばかりを歌う中、ノリノリの振り付きで堂々と『サイレントマジョリティー』(欅坂46)を熱唱したところ冷ややかな空気になったので退職。

✅2018年
呑み会で最初に座った位置から一歩も動かないしお酌もしないことで社内で有名になり、嫌味を言われたため某資格の予備校を退職。(他にもいろいろありましたが身バレ防止のため割愛します💦)

✅2019年 その1
私服OKと聞いて入った塾で、シャツをズボンに入れるように言われ嫌だったので退職。

✅2019年 その2
「ありがとうございました」と挨拶したら「過去形かよ。今は感謝してないのか」と上司に詰められたため、「助動詞『た』には「存続」の用法もあるので今も感謝は継続しています」とご説明申し上げたところなぜかめっちゃ怒られたので某サービス業を退職。

✅2020年
回転いすを回したら上司に怒られたので「だったら回らない普通のいすを用意しとけっ!」と叫んで某コールセンターを退職。

✅2021年
これまでの学びを活かして今年は最初から就職もアルバイトもしない予定。自宅に引きこもりコロナの感染拡大防止に努める私はなんてエライ!😝

画像10


…このような人物であるコペルくんがどうして小説を読むようになったのかについて今からお話ししたいと思うので、ご興味のある方は長文ですがどうか最後までおつきあいください🙇

☆2018年 『かがみの孤城』

2018年、冬。小学4年生の娘が『かがみの孤城』(辻村深月さん著、ポプラ社)を読みたいと言ってきました。本作自体は2017年に出版されていましたが、2018年に「本屋大賞」をとったことで興味を持っていたようです。

※現在は文庫版(上・下)も出ています。


基本的に、娘…に限らず女性のお願い事を断れない私💦ましてや本という、教育に良いものであれば断る理由がないので早速買い与えました。娘は秒で読み終えてめっちゃおもしろいと言っています。

意識して見てみると娘の部屋には『かがみの孤城』以外にも小説がたくさんあります。図書室で借りたようです。私は(当時)小説を読む習慣などありませんでしたが、どうやら娘はいつの間にか小説が大好きな子に成長していたようです。

というわけで、親の威厳を保つため、そして愛する娘との接点を増やすため、娘がおもしろいと推めてきた本を読まないわけにはいかないと決意しました。

…554ページもある小説は見た目にも分厚いです。字も小さいし内容だってそんなに易しくはない。え、これを小学4年生の娘があんなに早く読み終えたのか?…と娘の成長を喜ぶ気持ちと追いつかなきゃと焦る気持ちが入り混じりながら読み進めます。

結論から言えば、とてもおもしろい小説だったので「長い」と感じることはなく一気に読み終えました。なるほど、確かにおもしろい。

読んだことがない方のために、ちょっとAmazonの紹介文を引用してみます。

(引用開始)

あなたを、助けたい。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

(引用ここまで)

「こころ」ちゃんがいじめられる描写などはかなりリアルで、読む際はフラッシュバックなどご注意ください。「不登校」の経験がある方はとても共感できるのではないかと思います。

謎解きの要素もあって、読み返せばとても多くの伏線が張られていたことに気がつきます。ぜひ注意深く読んでみてください。

辛い目に遭った少女がたくさんの困難を乗り越え、精神的にも知的にも強く成長していく感動の物語です。泣けます😭


以後、私たち父娘はたくさんの小説を読んでは感想を言い合ったり、「本屋大賞」をどの作品がとるか予想したりするようになります。小説初心者の方は、「本屋大賞」受賞作には基本的にはハズレが少ないのでお好みのジャンルを選んで読んでみるとよいと思います。

画像1


☆2019年 『夜のピクニック』

※『夜のピクニック』(恩田陸さん著、新潮文庫)歴代の「本屋大賞」受賞作の中でもかなりおススメの1冊!


2019年、夏。小学5年生になった娘と私の二人で、恩田陸さんの『夜のピクニック』を実際にやってみよう、という話になった。『夜のピクニック』は、2005年に第2回本屋大賞を受賞。歩行祭と呼ばれる学校行事で約80kmを1泊2日かけて歩く高校生達の姿を描いた傑作小説で、父娘ともにお気に入りの1冊だった。

1泊2日、短い仮眠でのロングウォーク。元来、そんな無茶苦茶なことをまだ小学生の子どもがやりたいと言ったら、止めるのが親としての務めかもしれない。しかし、ノリノリになった私はすぐさまインターネットで歩行コースを検討した。その結果、まずは藤沢から鎌倉まで江ノ電に沿って海沿いを行き、そのまま横浜を通って東京スカイツリーまで1泊2日かけて歩こうという、途方もないコースを考えついてしまった。娘に提案したところ、海も見られるしスカイツリーにも行けるしということで、幸か不幸か大変好評であった。娘も私も、まだスカイツリーに行ったことがなかった。

この頃には、妻との協議離婚が成立する見込みであった。私は法律事務所に勤務していた時期があり、自らも司法書士として何件もの離婚事件に携わった経験があったから、現在の日本の離婚訴訟において男親が親権者になれる確率が極めて低いことをよく承知していた。まして私は家事もロクにできず収入も低い有様であり、子に多少好かれているという点を除いては何一つ有利な材料がなかった。不毛な争いを避けるべく、私は親権を諦めていた。そういうわけで、翌月から娘とは離れて別々に暮らすことが決まっていた。そんな父娘が『夜のピクニック』という本と出会い、またとない想い出を作れる機会を得たことは、まさに運命と呼ぶにふさわしかった。

朝の10時半に藤沢駅を出発。『夜のピクニック』を真似て、一時間歩いて笛(の代わりにスマホでセットしたアラーム)が鳴ったら座って10分休憩、というペースを忠実に守った。覚悟はしていたが、実際にやってみると約80km(かどうか正確なところはわからないが)の歩行は想像以上にハードだった。足にはマメができ、それを庇うようにして変な姿勢で歩き続けるために、すぐに足だけでなくお尻も腰も、やがては背中までもが痛くなっていき、スカイツリーはおろか横浜にたどり着いた頃には、もはや痛くない部位のほうが少ないという状態であった。横浜のマックで3時間ほど仮眠して、朝3時に2日めの歩行をスタート。5時間くらいかけて鶴見までは何とか歩いたが、さすがにこれ以上は負担が大きすぎると判断し、バスと電車でスカイツリーまで移動。正直、満身創痍過ぎて電車の乗り換えでの歩きすら厳しかった。

『夜のピクニック』作中では、歩行をしながら長年疎遠だった異母きょうだいと交流してみたり、女子高生を中絶させた父親捜しをしたりなど、さまざまにドラマチックな出来事が展開される。しかし父娘の実際の歩行祭ではそんな劇的なイベントなどあるはずもなく、痛みに耐えながらただひたすらに目的地を目指す、とてもストイックな1泊2日だった。しかし歩行中に固くしっかりと結ばれた手は、今後何があっても、たとえ住む場所は違っても、娘と父の絆は永遠不変だという、ある種の決意のようなものを象徴しているかのように私には思えるのだった。

スカイツリーには高さ350mの展望デッキと、高さ450mの展望回廊とがある。父娘2人で展望回廊に行こうとするとおよそ5000円かかる。金銭的に余裕がない私にとって決して安くはない額だが、奮発することにした。想い出はプライスレスだ。

遥かなる徒歩の旅の果てに、娘と見る高さ450mからの絶景に、しばし酔いしれた。あらゆるものは僕らより低い位置に存在し、人も車もとても小さく見えた。僕らが出発した藤沢や鎌倉も見渡すことができた。

高いところから見下ろす景色に、なんとなく全能感を覚えた。これまでの人生、多くの悲しみも絶望も後悔もあった。きっとこれからも、くじけそうになることはたくさんあるだろう。しかし今見ている最高の景色と、この2日間の娘との想い出があれば、きっとこれから先どんな困難も乗り越えられるだろうと素直に思えるのだった。感極まって泣きそうになり、用を足すフリをしてトイレで一人泣いた。

…そんな想い出の「リアル歩行歩」から、もうすぐ2年になる現在。

別居した今も、娘とは月に1度くらい会って、小説の貸し借りをしたり、感想を言い合ったりしている。これからも本は娘と私とを繋ぐ懸け橋となり、そして娘と私の人生を拓いてくれるだろう。

コロナが落ち着いたら「第2回リアル歩行祭」を開催できるようにルートを一生懸命に考えている父娘。小説がもたらしてくれた幸せに心から感謝したい。

画像2


☆2020年 読書はタイムマシン?

2020年、秋。読書の秋。個人的には2020年は「本屋大賞」の当たり年だったと思います。大賞受賞作『流浪の月』(凪良ゆうさん著、東京創元社)だけでなく、どの作品もおもしろかったです。

ジェンダーに興味がある私の一推しは『夏物語』(川上未映子さん著、文藝春秋)です。貧困問題や生殖医療も学べます。ぜひご一読を。


…ですがこの項では、ちょっと違うテーマで論じてみたいと思います。

2020年の本屋大賞ノミネート作の一つ『店長がバカすぎて』(早見和真さん著、角川春樹事務所)にこんな興味深い場面があります。

主人公の勤務する書店で、新作小説を出した作家を招いたイベントが行われることになりました。しかし、イベント前にお忍びで来ていた作家に対して、ある書店員が失礼な言動をしてしまいます。するとその作家は、失礼な言動をされたことをTwitterに書き込んで書店や書店員を(名前は出しませんが)ディスり始めます💦名前は出てなくても心当たりがある人が見れば自分のことだとすぐにわかりますから、その書き込みを見た書店と書店員は慌ててしまいました。

…何ということもない場面と思うかもしれませんね。ですが私は、作家と書店との関係の変化、そして小説の中に当たり前のように「Twitter」などの現代的なツールが登場するようになったことにある種の感慨を覚えたのです。

同種の感慨は、社会から要求されるような「普通」の生き方はできないけれどコンビニではめっちゃ能力を発揮してキビキビ働ける女性「古倉恵子」を描いた、第155回(2016年)芥川賞受賞作の『コンビニ人間』(村田沙耶香 さん著、文春文庫)でも味わえます。

もっと極めつけは、第164回(2021年)芥川賞受賞作で、本屋大賞2021のノミネート作にもなっている『推し、燃ゆ』(宇佐見りんさん著、河出書房新社)です。

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」という非常にキャッチーな冒頭で始まるこの小説には、「推し」「燃えた(炎上)」「地下アイドル」「チェキ」「SNS」などの現代用語が続々と登場。時代も文学も変わったなーということを痛感させられます。

個人的には、「病めるときも健やかなるときも推しを推す」は文学史に残したい名言だと思います😝社会にはうまく適応できなくても推しは全力で推す「あかり」ちゃんは、私にはとても魅力的に見えます。


一方、1992年に出版された傑作ミステリー小説『火車』(宮部みゆきさん著、新潮文庫)。

当時問題となっていた多重債務の問題を扱った社会派ミステリーで、山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作です。

もちろんそのおもしろさはいつ読んでも衰えるものではないですが、今読み返してみると、個人情報の扱いについて少々緩く感じられる場面や、情報収集に手間取る描写などにちょっと歯がゆく感じられるかもしれません。今ならスマホで検索すれば一瞬でわかってしまうことでも、当時は調べるのにかなり手間や時間がかかったということが改めて思い起こされて懐かしくなります。



ですが、変化したのは小説の中身だけではありません。私たちの小説の楽しみ方もまた変化しました。かつてはせいぜい、家族や友人と本について語り合うくらいであったかもしれません。今もそれはそれでとても有意義なことですけれども、今は読書の楽しみ方はそれだけに留まりません。

例えば、お気に入りの本のタイトルでネット検索してみれば、個人によって書かれた、本について熱く語るブログがいくつもヒットします。私自身も本をテーマにしたnoteをよく書いています。こうやってnote大学読書部に入って語り合ったり、サークル内の有志で読書コンテストが開催されたりするのも現代を象徴する読書の在り方であると思います。

論語の中に、「有朋自遠方来、不亦楽乎」(朋有り遠方より来たる、また楽しからずや)という孔子の有名な一節があります。ネットがなければおそらくは知りあうことのなかったであろう、遠方にお住まいの方々と本について熱く語って盛り上がれる私たちは、孔子の気持ちをとてもよく理解することができるようになったと思います。

明治の文豪の作品に触れれば明治時代を味わえます。古典を読めば鎌倉時代の勇ましい武士になりきったり、平安時代の恋愛にキュンキュンしたりもできます。また、海外の作品を読むことだってできるし、読んだ本について国内はもちろん全世界の人々とだって、その気になれば気楽にやり取りすることができる時代になりましたね。

時間と空間を自在に移動できる、令和時代の新しい読書様式。本物のタイムマシンを発明することはできないのかもしれないけれど、私にとっては読書こそがタイムマシンなのです。今日はいつのどこへ行こうか、と書店で本を選んで歩く人生は、また楽しからずや。

画像3


☆2021年 『晴れ、時々くらげを呼ぶ』

2021年、春。…今ですね💦

さて、「本屋大賞」にはノミネートされていない傑作もたくさんあります。本記事の最後に、私のお気に入り小説の一つ、『晴れ、時々くらげを呼ぶ』(鯨井あめさん著、講談社)に出てくるセリフを引用しながら、私の考える「読書のステキさ」をご説明して結びとします。

🌸あらすじ

高校2年生の越前亨(えちぜんとおる)は、感情の起伏が少なく、何に対しても誰に対しても思い入れを持つことがあまりありません。売れない作家であった父親を病気で亡くしてからはワーカホリックな母と二人で暮らしており、父親が残した本を1冊ずつ読み進めています。亨は、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親の「ある言葉」に、ずっと囚われています。

図書委員になった彼は、後輩の小崎優子(こさきゆこ)と出会います。彼女は毎日、屋上で雨乞いならぬ「くらげ乞い」をしています。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのです。不思議ちゃんなのでしょうか。

くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見て距離を取りながら、何事にも夢中になれない日常を適当にこなす日々。

そんな8月のある日、亨は小崎が泣いているところを見かけます。そしてその日の真夜中、なんとついに…

はたして、小崎優子はなんのためにくらげを呼んでいたのでしょうか。

自分の過去と向き合い行動し成長する。

そんな姿に大感動の青春小説です!🧡第14回小説現代長編新人賞受賞作品。

画像4

🌸「本はとても近いところにある」

本作の登場人物は、みんな本が大好き。

具体名を挙げて好きな作家や小説を語り合うシーンなどの「ブックトーク」がふんだんに出てきます。読書好きならたまらないでしょう。本作全体に、本や読書に対する愛が溢れています。

図書委員の矢延恋先輩とのやり取りで、「どうして私たちは本を読むのか」という話になるのですが、ここで先輩はこう言います。

🐣「それはきっと、本がとても近いところにあるからだよ。どんな芸術作品よりそばにあるから。たとえば眠るとき、枕元に置いておきたくなる芸術作品。」

卓見ですね。これほど本の意義を深く、でもわかりやすく表現した言葉を私は知りません。

また、矢延恋先輩は別の場面でこうも言っています。

🐣「小説は現実に影響を及ぼすよ。人の考え方を変える力がある。」

これも深いです。

ノンフィクションを読んでダイレクトに社会問題を考察することも大事ですけれども、それだけだと脳が偏ってしまう気がします。やはり小説をたくさん読んで楽しめば、自ずと物事をいろいろに発想する力が養われますから、結果として世の中をより良くすることにつながる気がします。文学の意義の一つですね。

画像5

🌸「優しさの本質は他者への興味だ」

矢延恋先輩が、好きな作家の言葉として紹介してくれるものです。

🐣「無関心であることは、人に優しくできないということだ。自分勝手であることは、感情の矛先を間違えるということだ。優しさの本質は他者への興味だ。」

…至言です。

「興味」という言葉を辞書でひいてみると、

「ある対象に対する特別の関心」とあります(デジタル大辞泉、小学館)。

ですから、興味と関心はほぼ同じ意味です。

関心とは、文字とおり「(他者やある対象に)関わろうとする気持ち」です。

つまり、誰かと関わりたいと想う気持ちこそが優しさなのです。

別の場面で矢延恋先輩は、ある生徒の「ある非行」を偶然見てしまった亨に対して、やはり好きな作家の言葉を引用する形でこうも言います。

🐣「見た限りは話を聞いてあげるなり、諭してあげるなり、何か手を差し伸べてあげるべきだよ。それが目撃者の義務であり、この世で生きていくために必要なことなんだって。」

「目撃者の義務」

この言葉に、私は「ああ、そうか」という気持ちを強く持ちました。

司法書士時代に私は、先輩から「知ってしまった者の責任」という言葉を教わりました。社会問題に気づいてしまった以上、何とかしようと努力するのが法律家としての務めであると。

否、法律家だけでなく、この理はどんな人にでも当てはまるのではないでしょうか。

画像6

🌸「君さ、何かに反撃したいと思ったことはないの?」

…矢延恋先輩のセリフばかりで恐縮です💦

このセリフがどういう文脈で出てくるかは内緒にしておきます。

一つだけヒントを言うと、ここでの「反撃」や、この少し後に出てくる「理不尽」という言葉は、本作の重要なキーワードです。ぜひ覚えておいてくださいね。

🌸青春小説の真骨頂!

🐣大人が客観的に見たら、「バカじゃない?」と言ってくるであろうことに全力で取り組む情熱、熱さ

🐣ルールではダメとされることを敢えてやってしまう自分たちなりの正義感

🐣理不尽な大人や社会に対するささやかな抵抗

以上が「青春」の本質であるとするならば、本作で描かれているのはまさに、青春そのものであります。

物語の前半部分はとても穏やかに、しかしいくつかの小さな事件が同時並行的に起こっていきます。

いくつもの伏線が中盤から最後にかけてちゃんと回収される様は、とても見事で興奮します。謎解きものではないですが、ぜひとも、あらゆる描写を見逃さず、注意深く読んでください。そのほうが、最後にきっと感動できますから。泣けます😭

著者の鯨井あめさんは1998年生まれ。若いですね!

でも、若い方だけでなく、コペルくんのような就職氷河期世代、またはもっともっとご高齢の方が読んでも、きっと感動できますよ。青春は若者だけの特権ではないですからね。いくつになっても、ヒトが自分の過去と向き合い行動し成長する姿は、とても美しいものだと私は思います。

…うーん、『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が本屋大賞2021のノミネートにすら入らなかったのは、ちょっと納得できないなあ…💦

画像7


☆読書ってステキだ

私がおもしろいと感じる小説の登場人物たちは、みんな何らかの「生きづらさ」を抱えているように思います。酷いいじめや理不尽な学校の対応で登校できなくなった「こころ」、父が母以外の女性との間に子を儲けたことの負い目から、異母きょうだいの存在を受け入れられない「西脇融」(にしわきとおる)、特定のことでは頑張れてもうまい具合に世の中とやっていくことのできない「古倉恵子」や「あかり」、自分なりの方法で社会の理不尽さに抗おうとする「小崎優子」と「越前亨」…。

その出方や程度はそれぞれにおいて異なっていますが、「生きづらさ」を感じているのは私も同じです。だからこそ、そんな登場人物たちが成長して、頑張って生きていく姿にシンパシーを覚えるのだと思います。

読書は私たち父娘の絆を強くし、noteなどを通して人々との交流範囲を拡げ、そして生きる強さと希望をくれました。だから私は、これからも読書を続けると思います。

さて、冒頭でご紹介したとおり私が「ダメ人間」であることは否定しませんが、私は私を取り巻く日本社会のほうも相当に歪(いびつ)だと感じています。私は読書で培ったさまざまな力を活用して世の中を良くしたいと願っています。それは私だけのためではなく、娘や将来世代のためにできることでもあり、そして大人としての義務です。

ですが、私が「日本を男女平等でハートフルでピースフルにしたい」と願うことは、もしかしたら小崎優子がくらげを呼ぶのに似ているのかもしれません。

そんなことしたってくらげなんか降るわけないし、世の中ちっとも良くなんかならないよ、と冷笑系の方は言うかもしれません。

それでも私はその名のとおり優しい子で在りたい、優しい社会で在ってほしいと願うから、今日も私は空に向かって、「くらげよ、降ってこい!」と叫んで生きていくのです。


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました🙇

画像8


※この記事は、note大学限定イベント『読書コンテスト2021春』と、note公式コンテスト「自分にとって大切なこと」への応募を兼ねて、コペルくんが書き下ろした文章(一部、過去の文章を加筆修正した上で利用しています)にアヤ先生がテキトーに横からチャチャを入れることによって完成した読書エッセイです。


この記事を書いたコペル&アヤはこんな人たちです🙇‍♀️🙇


#毎日note #毎日更新 #note #毎日投稿 #自己紹介 #アヤ先生 #フォロバ100

We love note and books!💕

画像9


この記事が参加している募集

自己紹介

子どもに教えられたこと

あなたのスキ・コメント・サポート&おススメが励みになっています!本当にありがとうございます🙇‍♀️いただいたサポートは 🍎noteを書くための書籍購入、資格検定の受験料 🍰アヤ先生の胃袋へスイーツ補給 に主に遣わせていただきます😋私と一緒にハートフル社会を築きましょう💕