配送屋さんのの同僚の話。

noteに記事を書き始めて最初の3.11なので、ちょっとした思い出話。

私は大阪の中でも生駒山の麓あたりでだいたい生きてきたので、生まれてこのかた、避難するような災害に襲われた経験がない。
東北方面は過去に旅行で一度行ったきりだし、金沢には一時期住んでたけど、七尾の自動車教習所で合宿免許を取った以外は能登の方にも縁がない。阪神大震災の時にも、近辺では全然被害らしき被害はなかった。ついでに大雨や台風による被災、大規模停電なんて経験もない。
なので、幸運にも、自分だけでなく家族、友人知人レベルまで広げても、ほとんど災害とは無縁の人生を送ってきた。
そんな中で、唯一……と言っても、これもそんなに近縁の話ではないのだけれど、唯一ドキッとしたのが、当時勤めていた金型屋にいつも配送に来る運送屋さんの、同僚が津波で攫われた話だ。

運送屋さんが言うには、やはり現地でトラックで配達をしている最中で、津波が来るとは聞いていたけど、トラックを捨てて逃げるわけにもいかず、そのまま帰らぬ人となったらしい。

冷静に考えれば、トラックを置いて逃げてもやむを得ない状況だし、むしろ一緒に留まったところで、荷物だけ無事なんてことはあり得ないんだけれども。
もう何十年も発生していなかった、地震による津波という災害を経験したことがなかったから油断したのか。
パニックになって正常な判断ができなかったのか。
トラックが津波の被害に遭わないわずかな可能性に賭けていたのか。
今となってはわからないけど、遠いどこかのニュースでしかなかった大災害の、唯一の身近な話なので、ずっと覚えている。

2024年問題で、トラック配送業界は危機に瀕しているというのは、ここ最近ずっと耳にする話だ。
私も、通販でよく買い物をするようなので、いつも申し訳なく思っているし、なるべくコンビニ受取や土日指定なんかを使って、再配達がいらないようにはしている。
トラックの運ちゃんだって生活もあるだろうし、家族がいる人もいるだろう。昔ならいざ知らず、この令和の時代なら、自分の身を守るためには最悪荷物を投げ出すことも厭わないだろうし、いくらトラックが、この仕事が好きであっても、あまりに割に合わなければ、トラック配送業自体から足を洗う人も増えるだろう。そしてそんな事情とは裏腹に、通販のさらなる発達で、荷物の量は今後もますます増えていく。
やがて破綻するのはもはや誰の目にも明らかだけど、その先に物流は一体どうなってしまうのか?
まあ、それは2024年問題に限ったことじゃないのだけれども。
令和の時代は、先送りにしてきたあれやこれやのツケが、全部とんでもない重荷になって社会を押しつぶす時代になるのかもなあ、なんて益体もないことを考えたりもする、今日この頃。

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