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テロと戦争に反対する高校生ビラ詩集(2001年)再録

2001年、ネット上で私が呼び掛けて、高校生と一緒にビラ詩集をつくりました。今、改めて再録し公開します。(当時のペンネームは外しました)
ウクライナに心を寄せて。

「SKY」
Did you kiss the sky when you walked out this morning?
空を見て!
忘れないで!
思い出して!
どんなに遠くても私は貴方の側にいる

「涙」 

憎しみも悲しみも
痛みも苦しみも
命懸けの喧嘩も
恋ならよかった

「疑問」 
どうして喜べるのでしょう
あなたが笑うのは何故でしょう
たくさんの人が死んで
もっとたくさんの人が泣き叫んで
もっともっとたくさんの人が苦しんで
なのにどうしてあなたは喜べるのでしょう
ねぇ どうして


「表裏」 
わたしは殺します
わたしを害するもの
害するかもしれないもの
害そうと思っているもの
害そうと思っているかもしれないものを
わたしはわたしを守るために
彼らを殺します
それは正当防衛で
これは正義です
私は殺されます
私が害されてきたもの
害したいと考えたもの
害することのできないもの
害したいと考えることもできなくされたものに
私は私であるがために
彼らに殺されます
あれは被害妄想で
これは虐殺です

 

「問い」 

Dear Jesus Christ
教えてください。
どれだけ血を流せば終わるのですか。

あなたはその教えを求める者たちに
汝の隣人を愛せと説いたのではなかったか。
右の頬を打たれたら左の頬を向けないさい、
あなたはそう教えたのではなかったか。

だが今、あなたを崇拝する人たちは
あなたとその神の名のもとに
殺人以外の何者ともいえない行為を繰り返している。

その手を清らかな血で穢しながら、
彼らは何のために戦っているのですか?

Dear Jesus Christ
教えてください。
どれだけ祈れば平和になれるのですか。

あなたがたの中で罪がない者だけが
この女を罰しなさいと説いたのではなかったか。
叱らず、責めず、ただ許すことだけが改心を生む、
あなたはそう教えたのではなかったか。

だが今、あなたを崇拝する人たちは
あなたとその神の名のもとに
歯向かう者たちを罰しようとしている。

自分たちの罪を棚の上にあげながら、
彼らは何のために戦っているのですか?


Dear Jesus Christ
教えてください。
わたしたちは子供たちに何を伝えればいいのですか。

南北を分かつ壁が崩れたあの日、
人々が自由の声をあげたにもかかわらず、
アジアの東にある島国には死の灰が降り注ぎ、
南北に分かれた国には新種の爆弾が落とされる。
そして今また、新たな犠牲者が生まれようとしている。

答えてください。
築こうとしている平和を打ち壊しながら、
彼らは何のために戦っているのですか?


Dear Jesus Christ
教えてください。
どうして崩れた2本の塔の中にいる人々を救いもせずに
報復活動を行うことができるのですか?
どうして彼らは損得勘定だけで大国を、
そして力のあるものだけを支持するのですか?
教えてください。
私たちに輝く未来は来るのですか?
Dear Jesus Christ......

 

「紙」   

真っ白な紙に 黒を一面に塗ってみた
何も見えない 何色も生きない 怖い色
その黒に塗り込まれた白を戻したくて
白を塗ってみた 黒の力は大きかった
白は戻ってこない 何度も何度も白を塗った
少しずつ白が戻ってくる
黒という暗黒の世界を
白という真っさらな世界に戻すのって 簡単じゃないんだよ
戦争という名の黒から 平和という白を救いたい
今こそこの紙のように 黒を白に塗り替えていこう
少しずつ 少しずつ みんなの手で・・・ 


「戦争」 

僕らは学校で 戦争はいけないことだと教えられた
それは 繰り返し繰り返し すり込まれた
復讐してはいけない
復讐はより大きな悲しみを生み 
悲しみはまた人を復讐へと駆り立てる…
誰かが どこかで止めないと 永遠に続くから
それを信じていた僕は
だから 今 起こっていることが理解できない


「生きろ」 

いつか あなたは言ったよね?
僕に「生きろ…」と
でも ここは日本で平和で
生きていることが当たり前すぎて
あの時 僕を庇ったのはあなたで
撃たれていたのは僕だったはずで 
そして 今 こうやっているのは僕ではなく
あなただったはずで…

結局は 何も分からないまま
僕は国に戻された

ここは日本で平和で
あの頃の事がまるで夢のようで
でも 決して夢ではなくて

夢では なくて…


「呟き」 


憎しみ合うために同じ時代に生まれてきたんじゃないのに



「理由」 


貴方にどんな正義があっても人を殺してしまえばただの殺人犯です


「問いかけ」 

聖戦
自分の信じたもののために命を懸けた人々
・・・ねぇ 信じたものは本当に神でしたか

報復
傷つけられた痛みを胸に武器を取った人々
・・・ねぇ 守るべきものは一体何でしたか

「止まない雨」 

止まない雨を眺めるように
ここから遠い世界では
飛び交うミサイルを 物悲しい瞳で
眺める人がいるのだろうか

暗雲が生まれる 向こう側で
親を亡くした子供が泣いている
なのに 部外者の僕らは
その涙を拭うことも
抱きしめることもできないというの?

同じ地を踏んで 同じ風を感じて
同じ雨を浴びて それでも憎しみあう人々

どうか 止んでほしい
爆撃の雨も 心の雨も
人を守れないのが人というのなら
この世界そのものが 信じられなくなるから


「反戦声明」 

例えば 例えばの話だけどさ
もし自分が 殺される瞬間が来たら
一体 何を思うんだろうね?
「仇をとって欲しい」とか思うんだろうか
違うでしょ それは
絶対「まだ死にたくない!」だと思うんだよね

確かに 許せないのは解るけど
そんなのは理由にならない
誰だって死んじゃいけないのは一緒
死ほど無意味で 悲しいものはないんだ
「目には目を 歯には歯を」なんて
そんなの 絶対間違ってるって

…気に障ったんなら 謝るけど

人が人を殺そうとしてるんだ
犠牲にするものが あまりにも大きすぎて
何かを叫ばずにはいられない
そんなの 間違ってるって思うから
善悪とかの問題じゃなくてさ

身の程知らずだよね? そんなの解ってる
でも 声を上げたいのは僕だって同じなんだよ

だからさぁ もうやめようよ
いい加減に大人になって
恥ずかしくないのかな
……いつまで この哀しみは続くのさ?

 

 

 

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