日曜日の守護者たち 『激剣ジンライガー、ふたたび』

怪獣が、被災地を襲っている。駄目押しのように仮設住宅を踏み潰す。
いっそ俺ごと踏み潰せばよかったのに。
のろのろと寝床から起き上がると、壊れた壁の向こうで女が一人声を張り上げている。
「みんな!こっち!早く逃げて!」
俺はそいつに見覚えがあった。
若いボランティアの女。昨日俺に「あなたはなんで参加しないんですか」とつっかかってきやがった。
「おい!お前は逃げないのかよ!」
「私は皆を守らなきゃいけないの!」
アホか。ヒーローもヒロインも、怪獣という災害には勝てっこない。
ズン、と怪獣が足踏みして、瓦礫が飛び散った。その先には子供。
「「危ない!」」
瞬間、何かが光ってそれを粉砕した。
夜を切り裂いた真っ白の衣装、その拳。ふわりとスカートが揺れる。
「この姿では、十年前の日曜朝以来ね」
まさか、そんなはずは。
「あなたも変身しなさい、『激剣ジンライガー』!」
『閃光のフェアリーテイル』。
十年前、俺が見殺しにしたヒロインだ。

【続く】

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