地表を覆う無限の寿司と、彼女と結婚する方法

「娘は、『強く思ったことが必ず実現する』時期がある。なんだろーが確実に実現する。5年に1回、5日間。今日はその1日目だ」
彼女の父は、俺の顔を睨みながら言った。
いやいや、パパさん盛りすぎっしょ。
「君の不真面目な態度は気にくわないが、私は公平さを重んじる。君に……」
「あ〜お寿司食べたいな〜」
隣の部屋の彼女の呑気な声が、終わるか終わらないかのタイミングで、宅配の寿司が届く。俺は1時間前にそれを注文したことを『思い出した』。マジヤバい。
「私は結婚に反対だ。だから、これから5日間、娘が君と結婚したいと強く思わないよう、あらゆる手をつくす。これで公平だ」
俺は納得した。俺は、この5日間で彼女に『俺と結婚したい』と強く思わせなくてはならないわけだ。
余裕っすよ、絶対結婚してみせます。
そう言って席を立つ。彼女のいつもの口癖が聞こえる。
「あ〜幸せ〜!毎日無限にお寿司が湧いてきたらいいのに!」
……今なんつった?

【続く】

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