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本日のレコード整理 2020.05.11.ー愛しの1970年代:グランド・ファンク、スリー・ドッグ・ナイト

7インチ盤を含めアナログ・レコード店が扱うものは、やはり1970年代、80年代のものが中心になってしまいます。もちろん1960年代だって範疇に入っていますが、状態のいいものはどんどん少なくなってきており、扱える品数が多くはありません。また1960年(昭和35年)生まれの自分は、リアルタイムで聴き始めたのが1970年頃からなので、思い入れの強さという点で差がでます。一方ジャズは1950年代も素晴らしい盤が多いので、話が違ってきます。ロックが市民権を得た後とその前ではポピュラー・ミュージック全体を俯瞰したときのジャズの立ち位置が随分違っているでしょう。自分の世代では、ロックとともに育った人間が多く、ライフスタイルやものの考え方にまで影響していることでしょう。

タイミング的には70年安保には遅れていますので、学生運動とは距離を置いたクチです。むしろ必要以上に中道ノンポリに拘っていたりします。フラワー・チルドレンでもありません。ヒッピー文化に興味はあったものの、実践するわけでなし、感化されるわけでなし。…長髪でしたけどね。それでも「ヴェトナム戦争なんて止めればいいのに」という感覚や、「連合赤軍のやっていることはおかしい」という感覚は持ち合わせていました。あくまでも「考え」ではなく「感覚」ですけどね。今でも「#検察庁法改正案に抗議します」的な感覚は持ち合わせていますが、法案全文を読んで自分なりの考えをまとめてから発信するかなという程度です。さすがに「おかしいだろ~」くらいの感覚は誰でもお持ちでしょう。

1970年代の音楽には強いメッセージを隠し持っているものも多く存在します。ソウル・ミュージックはどうしても黒人公民権運動と切り離せないものが多かったですし、ヴェトナム戦争をやっていた時期は反戦歌も多いわけです。単純なラヴ・ソングだと思ったら、戦地へ赴く恋人を心配する歌だったということは数えきれないほどあります。それでも、愛と平和を希求する歌の普遍性もここで教わるわけですけどね。加えてゴスペル的な歌詞の多いこと。宗教を理解しないことにはヘタに語れないわけで、極東の島国で育った中道ノンポリのガキには難しいことが多かったわけです。むしろストレートにメッセージを叩きつけるような歌のほうが、とっつき易かったかもしれませんね。例えばグランド・ファンク・レイルロード…。

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ストレート過ぎて反対に知性を感じさせないレベルですが、この人たちのごり押し的なハードロックは、やはり70年代前半という時代の音でもあります。「自分たちはアメリカのバンドなんだ」という宣言のような歌詞に込められた葛藤が理解できる年齢ではなかったもので、単純にノリノリのロックで興奮することしか学べませんでしたけどね。土砂降りの後楽園でどうのという情報にバイアスがかかってしまいましたが、後々間近で観たライヴではあまりに演奏が上手いことに驚かされ、一通りジャズを聴き尽くした後に、あらためて70年代のロックが好きだと言えるキッカケともなった連中です。

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まあ、少々演奏が荒くても、ゴリゴリのパワーに興奮できるロックはやっぱり気持ちいいです。

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ある数年間、爆発的な人気を獲得したアーティストは、やはり時代の象徴としての輝きがあります。グランド・ファンク・レイルロードと同時代にカヴァー曲で大ヒットを連発した、スリー・ドッグ・ナイトという連中もおりました。ヴォーカルが3人もいる珍しい編成にばかり目が行ってしまいますが、演奏もかなり上手い人たちでした。まさにツボを突いてくる選曲で、切れ目なくヒットを連発しており、自分を音楽好きにしてくれたグループの一つであることは確かです。

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たった一人の不祥事で消えていってしまうには惜しいバンドでしたが、音楽の評価軸にはいろいろあるのだということも教えてくれました。カヴァーする選曲のセンスはカーペンターズを上回るレベルでしょう。そういったことを抜きにしても、十分楽しめる音楽であったことは確かですけどね。

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とにかく、文化の違いを感じつつも、海の向こうには魅力的なものがいっぱいあると思い込んでいたわけです。比較的シングル志向が強いこともあって、スリー・ドッグ・ナイトの7インチ盤はまだ手に入り易いものですが、昨今はさすがに状態のいいものは見かけなくなりました。グランド・ファンク・レイルロードはアルバム志向が強かったのか、7インチ盤を見かけることが少ないので、もっと深刻な状況です。時代を彩った音の魅力を伝えていく作業は、時間との戦いになるのでしょうか。

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