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7インチ盤専門店雑記128「とどかぬ想い」

ターリー・リチャーズというシンガー・ソングライターの「とどかぬ想い You Might Need Somebody」、売れなかったのが不思議なほどいい曲です。この曲の作者は「Tom Snow - Nan O'Byrne」とありまして、ご本人ではないようです。この曲、「フリートウッド・マックの全面的バックアップ」という謳い文句がついておりますが、ドラムスがミック・フリートウッド、ベースがボブ・ウェルチなんですと。しかもこのスリーヴ、すなわちアルバム・ジャケットはなんとリンジー・バッキンガムが描いております。…それで、全面的と言うか…。

まあ、とにかく売れませんでした。翌年、ランディ・クロフォードがカヴァーして中ヒットになっております。1997年にはショーラ・アマという女性ヴォーカリストがカヴァーしてこれは結構売れたようですが、如何せん全然知りません。まあ、とにかく、この曲のよさはいろいろな方が認めているようです。他にはジョー・ウォルシュもカヴァーしております。そして何とも気になるのが、1983年リリースのミック・フリートウッドのソロ活動のグループ、ズーの「アイム・ノット・ミー」というアルバムにも収録されているんです。実はこの曲を知ったのはこのテイクが最初です。

ズーのカヴァーはスティーヴ・ロスという人間がヴォーカルを担当しています。結構上手いです。これって、やはり売れると思ってバックアップしたのに売れなかったから、拘り抜いてヴォーカルを換えて再度録音したということなんですかね?アレンジ等はほとんどかわりません。印象もさほど違わないんですけどね。…一体何なんですかね、この曲。

不思議とどのテイクも好きなんです。甲乙つけがたいといった印象です。ジョー・ウォルシュのトーキング・モジュレーターを控えめに使ったテイクも、意外に後引く感じで忘れられません。とにかく、ターリー・リチャーズというあまりに無名のSSWのその後が気になります。調べ甲斐があるというんですかね。好きなアーティストがいっぱい絡んでくる面白い曲、気になるアーティスト、あらためて、ミック・フリートウッドの若手発掘の目のよさも気になります。





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