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7インチ盤専門店雑記277「グリーン・ドルフィン・ストリート」

「On Green Dolphin Street」と表記されることもありますが、元々は「Green Dolphin Street」、ブロスニラフ・カぺルとかブロスニラウ・ケイパーとかいろいろに表記されるポーランド人が作曲したものです。元はネッド・ワシントンと言う人が書いた歌詞もあった1947年のポピュラーソングです。大地震を背景にした映画『大地は怒る(グリーン・ドルフィン・ストリート)』のために書かれたということですが、1958年にマイルス・デイヴィスが取り上げてジャズ・スタンダードになったとされます。ウィキペディアには「1957年にはPoll WinnersにてBarney Kessel,Ray Brown,Shelly Manneにて収録されています」とわざわざ書いてありまして、こちらは売れなかったよということなんですかね。

まあ、とにかくヘッダー写真のビル・エヴァンスのテイクが大好きで、事ある毎に紹介しております。世の中的にはマイルスのほうなんですかね…?まあ大名盤「カインド・オブ・ブルー」と同じ時期・メンバーの録音ですから、悪かろうはずもないんですけどね。

この盤、日本では「1958マイルス」として認識されていますが、アメリカ人の友人に言っても通じなくて、アメリカでは「Something」と言うんですと…。確かにジャケットに「Something」の文字がありますからね…。結構意外です。でもこちらもピアノはビル・エヴァンス、ベースもポール・チェンバースで同じなんです。むしろ、他の楽器が鬱陶しくなってしまうほどに、ビル・エヴァンスのテイクが研ぎ澄まされていて、個人的にはビル・エヴァンス盤に軍配が上がります。

マイルスのこのテイク、7インチ盤で聴けるのが嬉しいんです。「1958マイルス」のSideAをAB面に入れてあって、非常に嬉しいわけです。この曲、コード進行がモード的に適しているとか言われるんですけど、何がどう適しているのか、よく理解しておりません。毎度ついついポール・チェンバースのベースを追ってしまいますが、これ以外になかろうというシンプルかつベストの演奏かと思います。

7インチ盤専門店的に、他に何か面白いテイクがないか探してみましたところ、…ありましたよ、ソニー・ロリンズ。…結構いいです。でもやっぱりビル・エヴァンス盤がいいな。

ジャズのスタンダードを演奏するというのも、ロックの世界で有名曲をカヴァーするのも同じだと思いますが、有名ヴァージョンや元ネタ以上のものが作れたという自信がないと、発表するのは恐くないんですかね?そんなことを考えながら聴くものではありませんな。…いいものはいいと。

…実はたまに聴き比べがしたくなって探したりするもので、簡単に音源が引っ張り出せるようにまとめておいたんです。スミマセン。


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