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ゲームをプレイしました: Horizon Forbidden West


記事概要

ゲームをプレイしての感想とか付随して湧いた考えとかを記録しておくための自己満記事シリーズである。古今東西のゲームをやり尽くしてきたわけでもなく、ゲームの趣味も割と尖っているほうなので、購入判断の一助にするには向かないかもしれない。レビューや評論を書くような肩肘張った状態で書いているつもりは毛頭ないので、もし読むのであればそれ相応の姿勢で読んでいただければ幸い。

前回の記事はこちら。

Horizon Forbidden Westは2022年にPS4/PS5版が、2024年にPC版が発売されたオープンワールドアクションRPGである。Horizon Zero Dawnの続編で、前作同様ポストアポカリプスな世界でやけに未来的な機械獣をやけに原始的な武器で倒しながら世界の危機を救うために奔走するゲームである。
本作のネタバレには一応ある程度配慮するが、続編という都合上前作の核心情報は知ってる前提で書くので、どうしてもネタバレが嫌という人は前作を買ってプレイしてから読むことをお勧めする。

総評

うーーーーーん……。普通に面白くていいゲームのはずなのだが、進めるのが億劫すぎた。通常ここまで進めるのが辛いゲームはとっとと積んでしまうのだが、前作の面白かった点をちゃんと引き継いでいる作品になっていることは理解できたし、客観的に見て優れた良いゲームだったと感じる。それでもなお、何故か異様なまでにプレイするのが辛かった……。ネタバレを読んで顛末だけ知るのは癪なのでちゃんとゲームをクリアすることで作品を享受しなければならないという義務感だけで進んだのだが、それにつけても辛いし退屈で、結局メインシナリオクリアまで2ヶ月近くかかってしまった。
とはいえ、不具合やお粗末すぎるシナリオなど、好みの問題で済まされないような明確な欠点はそこまで目立たない。純粋に好き、何が気に食わないのかわからないと感じる人も多いだろう。そのあたりについて何故そう感じたかについても分析してみたい。いつにもまして自己満記事っぽくなってきた。

褒めるべき点

まずは個人の感想は置いておいて客観的にみて優れているといえる点を列挙していく。

まずは何といってもグラフィックである。PS5世代のゲームらしく、キャラクターや敵の造形、フィールドの細かなオブジェクトの品質から、光や水の表現なども申し分ない。
いかんせん最新世代のゲームゆえ、高解像度のモニターで最高設定にしてプレイするのは少々ハードルが高いが、多少描画設定を妥協しても十分綺麗な映像を堪能できる。というか、グラフィックの品質の高さを考えれば動作はめちゃくちゃ軽い部類ともいえるだろう。
またPC版移植における最適化についてもほぼ完璧といっていい調整具合である。昨今、PS4/PS5初出のゲームにおけるPC版移植の品質がお粗末すぎる事象が多発しており、PCゲーム派の間では厳しい意見が多い。そんな中本作の最適化品質は非常に高い。安定性も高いし、動作も一部のカットインやフィールドが妙に重いかもといった事象を除きほぼ気にならない。PS初出ゲームの移植は全部こいつらにやらせてほしいレベルだ。

前作から引き続き戦闘面も完成度が高い
多くの人のメインウェポンとなるであろう弓の操作は直感的でわかりやすいが、手早く倒したり目当ての素材を手に入れるためには、ちゃんと弱点部位を狙って撃ったり、装甲を剥がしたり、有利な属性武器で攻撃したりといった工夫が必要になる。ある程度の技量や試行錯誤が必要になるがやっていて苦にはならない、見事なバランスだ。
敵の巡回ルートに罠を仕掛けたり、ステルス状態からの不意打ちで大ダメージを与えたり、縄で拘束したり、時には槍で近接戦闘したりと、戦闘スタイルの幅も広い。地形や状況、敵の種類や数に応じて戦略を工夫しながら戦うのはシンプルに面白い。

ストーリーは後述の問題を除けば普通に面白い部類だと思う。前作で何があったかちゃんと復習しておき、専門用語の多さについていけさえすれば、何が起こっているのか、何をしないといけないのか、なぜ自分がやらなくちゃいけないのか分かりやすく、よくできたシナリオに仕上がっている。そのうえで印象に残るようなシーンや展開もちらほらあり、高品質なグラフィック表現も相まってなかなか良い後味になっていると思う。個人的には中盤以降の展開が気に入っている。

細かい点だが、ゲームシステム面もだいぶ気が利いた仕様になっていると感じられる点も個人的にポイントが高い。
具体例を挙げると、武器や防具の強化に特定の機械からとれる素材を要求されるのだが、強化メニューで足りない素材があるときに「タスクに追加」というコマンドを選択することで、足りない素材の取得をサブクエストのような扱いにすることができる。これにより、目当ての素材を持つ機械が地図上でハイライトされるようになり、取りこぼしのリスクを減らしてくれる。地味ながらありがたい。

気に食わん点

さて、あれやこれやと褒めそやかしたところでそろそろガッツリ文句を言っていこうと思う。とはいえ、総評でも書いた通りこの先は客観的に明らかにおかしいといった類のものではなく、割と好みの問題に近い内容が多いことは先に断っておく。

まずはとにもかくにもテンポが悪いこと!ダメな洋画や洋ゲーの吹き替えにありがちな現象なのだが、吹き替え原稿がイマイチなのか声優の演技力が微妙なのかローカライズ設計がお粗末なのか知らないが、文章のよくわからない切れ目に間を入れまくってセリフが間延びしまくる現象が多発している。メインシナリオ関連でちゃんと専用モーションや専用演出が用意されているカットシーンはまだマシなのだが、汎用モーションだけで構成される会話シーンやサブクエスト周りの映像は見ているだけでゲッソリしてくる。
クエストの内容も、ここに行って機械を倒してくれ、逆賊を追い出してくれ、資材を探してきてくれといったありきたりな内容ばかりだ。メインクエストや一部の重要サブクエストは演出がしっかりしているのでいいのだが、その辺に転がっているサブクエは3,4個やるだけでもう食傷気味になってくる。世界観や題材、フィールドの見てくれがいいだけに実に勿体ない。せっかく美しい景色にいろいろなチェックポイントが散りばめられているのに、その世界観の深堀りを担うサブクエがやる気を削ぐような内容だと、この世界を隅々まで探索したいという気持ちは失せ、とっととメインシナリオを消化してゲームを終わらせたくなってしまう。

戦闘部分については前述の通りだいぶ満足感が高かったが、その他のアクションについては正直イマイチだ。よくあるオープンワールドアクションRPGらしく、その辺にいる機械獣を捕まえて馬代わりに高速移動できたり、パルクールや崖登り要素があったり、各地にアクションパズル込みの大小のダンジョンがあったり、高所から飛び降りるときにパラシュートのような装置で滑空できたりするのだが、そのどれもが既存タイトルの劣化コピーのような完成度となってしまっている。

まずはについてだが、この操作性が非常に悪い。一応街道みたいなところを走っていると道なりに誘導はしてくれるのだが、親切な面はそれくらいである。油断するとすぐ道を逸れて地形に引っかかるし、段差をジャンプで超えてくれるようなこともない。Witcher 3のようにこの先進む方向を道の上に線で表示してくれたりもしないし、目的地まで自動ナビしてくれるわけでもない。
結果、今爆走している馬が次の分かれ道でどちらに進もうとしているのかに常に神経を尖らせながら、地図をパカパカ開いてちゃんと想定通りのルートを進んでいるかを逐一チェックしなければならなくなる。そうなると、馬が余計な動きをしないか監視するために自分の視線が地面に固定されてしまい、顔を上げて遠くの景色を見ながらあそこには何があるんだろう寄り道してみようと思う心の余裕がなくなってしまう。せっかく機械獣のシステムをハックして言うことを聞くようにしているみたいな設定があるんだから、ナビ機能をインストールして地図で指定した目的地まで自動で連れて行ってくれるようにしましたみたいな気を利かせてくれてもいいじゃないかと思ってしまう。

崖登りについても、そういう要素があること自体はいいのだが、肝心の完成度が高くない
登れる崖と登れない崖が明確に分けられているのだが、何もない状態だとその見分けが全くつかない。一方でその対策として、便利な装置の力でグリップできるところや足場をハイライトすることができることはできるのだが、そうなると今度は登れるかどうかはすべて開発側が決めたパラメーターでしかないということが露骨に表示されることになってしまい、没入感を削いでしまう。そのくせ、掴めるはずの地点間を移動するとき、シームレスに移動できるのか、ジャンプが必要なのか、なぜか移動できないようになっているのかの統一感が今一つで、操作キャラがこちらの想定に応じた動きをしてくれないような印象を抱いてしまう。
また崖登りには一切スタミナを消費するなどの制約がない。一見快適性が高いようだが、このせいで壁登り要素の設計もメリハリがないものになってしまい、ビル何階分もあるような高さをダラダラと登らされるようなダンジョンが散見される。そのくせ矢を一度に複数つがえるといった武器の特殊アクションはスタミナ制である。どゆこと?

フィールド上に配置されていたり、メインシナリオの一環でやらされるようなアクションパズル謎解き、痕跡を探して追跡するような探偵ごっこ要素についても、そのどれもが中途半端で、既存タイトルの劣化コピーのようなものになってしまっている。
アクションパズル要素は基本的に開発が用意した想定解一通りでしかクリアすることができないようになっており、試行錯誤の方向性が「どうやったらうまくいくか?」ではなく「開発は俺に何をやらせようとしているか?」になってしまい、没入感が低い。扉をこじ開けたり足場を動かしたりといったアクションもいちいちモタモタしており、全体のテンポの悪さに全力で貢献してくれてしまっている。
探偵ごっこ要素も装置の力を使って痕跡をハイライトして現場までたどっていくだけのものばかりで、何が起こっているのかに想像を働かせてワクワクしたり、予想外の真実が明らかになったりなんてことはほとんどない。やらされてる感満載である。

全体を通して、いろいろな要素を埋め込んでいるがどれも既存の作品で評判がよかった要素の上辺をなぞっただけのパロディみたいな完成度になってしまっており、もうちょっとなんかないのかよというモヤモヤ感を常に抱えながらプレイを続けることになってしまい、それが全体を通してのプレイのしんどさに繋がってしまっているのではないかと思う。
馬に乗ってのフィールド探索やパズル要素はゼルダの伝説BotW/TotKのほうが楽しいし、崖登りはアサクリの劣化版、探偵ごっこはWitcher 3のほうが圧倒的に奥深くて面白く、サブクエストの作り込みなんかはBG3などに遠く及ばない。AAAゲームの教科書みたいな内容をうすーくなぞるくらいなら、「コミックや映画で見たあのスパイダーマンになる」という一点に特化したMarvel’s Spider-Manのように、何かこの作品でしか提供できないような要素一つに注力してくれたほうがいいのにと思ってしまう。

魔法が解けている

ではこの作品独自の強みは何もないのか?このHorizonシリーズはつまるところ平凡なジェネリックオープンワールドRPGでしかなかったのか?否、このシリーズには明確な独自の強みが存在したはずであり、だからこそ前作が大いに評価され、続編が出るまでの人気を獲得したのである。だが、前作にあったその独自の強みは本作では賞味期限切れになってしまっている。魔法が解けてしまっているのである。
つまりどういうことか?前作の素晴らしい点は、主人公はなぜ生まれ、なぜ異端児扱いを受けているのか?世界はなぜ機械獣に支配されているのか?やたらハイテクな見た目をした古代遺跡とはなんぞや?世界はなぜこんな風になってしまっているのか?という謎を主人公と同じ視点で解き明かすという、強い動機によって動かされていた作品であったこと、そして、その謎がものの見事に綺麗な明かされ方をしたことに尽きると思っている。
この魅力が前作を傑作たらしめる大きな要因だと思っているのだが、同時に今作にとっては呪いと化してしまっている。主人公と共に世界の謎を明かすという隠れた大きなテーマが失われたことで、プレイヤーとして物語に没入するための見えない大きなフックが失われてしまっているのである。

結果、今作で成し遂げるべきことや立ち向かう敵が全部前作でやり残した宿題のようなものに成り下がってしまっており、作品を進めるモチベーションが居残り勉強で何とか終わらせなければという使命感しかないのである。
上記のような構造上の問題に加え、演出や脚本もこれを悪い意味で後押ししてくれてしまっている。いくら前作で謎が解けたとはいっても世界の真実を理解しているのは主人公だけなので、出会った人々に協力してもらおうにも事情を察してはくれず、協力してほしいなら先に俺に協力しろよとばかりに無駄なお使いばかりさせられてしまう。唯一の事情通のハゲのオッサンは自分の目的にしか興味がなく、碌に助けにならん上にゴチャゴチャと状況を引っかき回したまま主人公を荒野にほっぽり出してしまう。
実は前作もあちこちお使いをさせられるだとかミッションがつまらないだとかは似たようなものだったのかもしれないが、前述のとおりまだ謎が残っていたため、これをこなしたらまた一歩真実に近づけるのかも?という期待が魔法となって、かったるさを軽減してくれていたのかもしれない。

とはいえ、いくら前作がきれいな謎の明かし方をしていたからといって、続編である今作のストーリーをもっと面白くする工夫の余地がなかったわけではないと思っている。実際中盤以降の怒涛の展開は面白かったのだから、今作のメインヴィラン集団を序盤のチュートリアルあたりで出しておいて、前作の宿題がそこで完成するはずが全部破壊されてしまった!この先どうする!?みたいな展開で物語が始まればカタルシス的にもまだマシだったかもと思う。結局のところ賽の河原でしかないが。

まとめ

完成度の高いオープンワールドアクションRPGだが、前作の設定やストーリーが面白かったがためにそれが呪いとなり、悪いところにばかり目が行ってしまう悲しき存在である。とはいえそれも個人の感想なので、純粋に楽しめる人もそれなりに多いと思う。PC版においても安定した動作が見込めるし快適にプレイできるだろうから、そういった意味でもおすすめだ。
それにつけても進めるのが辛かった。このゲームの進行途中で別のゲームを始めてしまったら戻ってこられなくなるのが目に見えていたから、何とかこのゲームをクリアするまで別の作品を買わないぞと意気込んでいたら2ヶ月近く経ってしまい、気になっていたゲーム数本の発売時期を逃してしまった。早く悟空やりてぇ

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