先生は、教えるしごと

日本中の先生で、がんばって教案考えて準備して熱血授業で力が入りすぎて、聞いてる側が理解できず、なんで伝わらないんだろうって言ってる人たちたくさんいると思うんです。

お金を払って学んでいたり、子どもをあずける側としては、やる気のない先生よりもある先生の方がよっぽど嬉しいのですが、やる気が一人歩きしてしまい、理解できない学生が悪いみたいに言ってる先生もいたりすると、なんだろうなぁと思ったりします。

そもそも、これだけ教えなさいというノルマが10あって、先生が「がんばって3割しか伝わらない」授業と、「手を抜いて3割伝わる授業」があったとしたら、後者の方がレベルが高い授業なんですよね。
だけど、真面目な人の中には、がんばったか手を抜いたかで判断して、手を抜いてるってことは学生と真摯に向き合っていないって短絡的に考える人もいます。

もしも、学生の理解度が3割に固定されていたとしたら(そんなことはないですよ例えです)、手は抜けるだけ抜いたほうがいいはずです。
授業の手を抜いてそれによって余った時間で、先生は学生とコミュニケーションをとったり、指導要綱にはないような学びを与えるために先生自身の学びをするべきです。

言ってる僕はできるのかと問われたら善処はしておりますが、とにかく工夫は考えるようにしています。それはとても単純な考え方をします。

叱っていう事を聞かない子どもなら、叱ることには効果がない。ではどうするか?諭すのがいいのか、自分で落ち着けるように時間を置くのがいいのか、後から何気なく言うのがいいのか。相手が聞く耳を持てる方法にすればいい。

学生が課題に取り組まないのは、難しいからか?量がおおいからか?興味がないからか?結果的に技術が身につくのであれば、難易度も量も必要なく、興味が湧くような楽しい課題を出せばいい。

達成度に差が出るのはなぜか?説明不足なら、声の出し方か?文字のおおきさか?画材教材が使いにくいのか?苦手意識ならどんなステップにすればいいか?
視覚でも聴覚でも説明しながら退屈せずに順序を踏める流れをつくればいい。

先生というのは高等教育に行けば行くほど専門性が高いですが、専門家としての仕事ではなく先生という職を選んでいたり、勧められていたりする限りは、「教えるプロ」であることが本分だと思います。それを磨かないのはしごとをサボっていると言われても言い訳はできません。

一方で教える仕事って楽だとも言われます。同じ事をずっと教えていればいいからです。その通りなんですが、でも僕はこれがすごくこわくて悩んでいます。
毎年新たに入学進学してくる学生たち、こどもたちは自分とどんどん歳が離れていきます。
生きてきた時代も見てきたテレビもアイドルも着ている服も違います。そうやって移り変わっているのにも関わらず、自分が経験した古い知識から毎年同じ事を教える、というのは相手を騙しているんじゃないか、というひどい葛藤におそわれます。

だから、流行りの漫画を読むしYouTuberを見るし、アニメやゲームの時間がなくても調べて頭に入れます。こういう部分では僕はお金をもらいながら、こどもたちに学ばせてもらっているんだと感じます。

授業の素材や取り上げる対象は、教える内容が同じだとしても新しいものに置き換えてつくりなおします。
それだけで感想を聞くと違います。みんな自分の時代の話を、いまの話を聞きたいんだなとすごく思います。

「興味を持って聞ける度=理解度」と言って良いと思います。どうやれば理解が深まるか、成績が上がるか、技術がみにつくか、というのは課題の数をこなすのは当たり前の話で、それ以前なんです。数をこなす前に興味を持って学びに触れたかどうかです。興味が湧くから、その後に数をこなせるんです。

大前提で、先生がみんな授業がうまくないといけないわけではなくて、相談しやすい先生、余計な話ばかりする先生、いろいろあって学校というのはチームだと思っていますが「先生が先生になった理由」というのがあってほしいなと思います。

こどもがすきなのか、教えることが好きなのか、自分の専攻科目が好きなのか、学校という場所が好きなのか。その好きをよりよくしていくために、と思えば、もっとシンプルに先生としてできるいろんな工夫が考えられるのではないかと思います。

ぼくはデザインが好きで学門がすきだから先生やっています。とくにデザインの中にある、明快な理屈や先人の発見や、それを知った時のすげぇぇという気持ちをたくさんの人に知ってほしいから、やってます。

だから理由は自己満足で充分で、だけど小さな自己満足で終わらないで、先生たちの自己満足が世界を変えていくんだっていう気持ちで、満足しないで工夫し続けていったら、みんな学問っておもしろい、先生ってすごいって、勉強が楽しくなるんじゃないかなって思います。

そういえば僕はハチクロの、花本先生が憧れです。

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畠健太郎 プリズムデザインラボ|フリーの先生
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