冬は
留守の間にお楽しみください。
枕草子は、現代の目で見ると大きく3つのカテゴリに分けられるんだそうである。
回想
日記 当時の生活様式について記したもの類想
いわゆる「ものづくし」随想
上の2つのカテゴリに収まらないもの
本人がそれを意識して書いたのであれば、それぞれのカテゴリに従った整理がなされているだろうけれど、そうなっていないところを見ると、あまり考えていなかったのではないか。
紫式部が「あの女ァ何でもかんでも書き散らしてばっかりで、自分が賢いとでも思ってんのかってことですわよ? ったくろくでもねぇったらありゃしませんことよ、ゥオホホホホ!」と言いたくなるのもわかる気がする。例によってカギカッコの中は取ってつけたような脚色をしているのであるが。1000年も前の人のことを今の理屈で想像できることもまたおもしろい。
さて、冬は。
他の季節に比べて冬は、どうしても内省的になる。わたしはそれが文章にも表れるようで、振り返るとこの時期に書いたものは他の季節には書けないもののように思う。
冬になるとわたしはどうも、冬にまつわる話を書くようである。そうしてうれしいことに朗読のご縁までいただいたのであった。
読み手は、あのいぬいゆうたさんです。
声、リズム、抑揚、演じ分け、演出…。朗読とひとことで言ってもいろんな切り口があり、書き言葉と違って「時間」と「音」という要素が加わることで、表現に奥行きを設けることができると知りました。人は良質なものを知ることで、世界を広げることができるのです。
「文章を聞く」というのも、作品の楽しみ方の一つ。
ツーリングへ出てみよう、とお誘いするもの
冬のツーリングの一コマを切り取ったもの。走っていない場面を書くことでツーリングの魅力が出せると面白いだろうと思ったのでした。その意図を見事に掬い上げてくれたいぬいゆうたさん。これを聞いた時には、バイクの足回り、タイヤやチェーンの手触りがありありと浮かんできたのでした。文章に書いてあることを起点に、そこに書いてないことまでが頭の中に浮かび上がってくる声の表現力はもう、さすがの一言。
冬を感じるもの
うれしいことに、さわきゆりさんからご希望があり朗読が実現したもの。
少し落ち着いた感じの文章を書いてみたいと狙った作品。コンテストへの応募作品の位置付けだったので、他人様にみていただくために、普段とはちがって何度か見直して投稿したもの。朗読の魅力を加えるとこうもレベルが上がるのか!と、ゆたかな奥行きが与えられた朗読になっています。
もう、NHKクオリティ。
そして、ピリカ文庫へ寄稿させていただいたものについても読んでいただいています。冬から春へ、早朝から朝へと移ろう時間について、寒さと暖かさの狭間の部分を感じていただけるひとときになっています。この文章は、リズムを意識して書いてみたので、漫談スタイルも面白そうですね。
いぬいゆうたさんありがとうございます。
それではまた次回、お会いしましょう。