『塔』2024年5月号 月詠(若葉集)

踊り場にうずくまる昼イヤホンで君の嫌いな歌聴いている

雪しんと降る夜にランタン提げてゆく ランタン すこし君に似た灯だ

夕立の街を手ぶらで駆けぬけた僕の笑顔は今もう遠い

後遺症 君の眼鏡に似た眼鏡奪って床に叩きつけたし

二月まで白い山茶花散りつづけ死までの長さ僕に教えた

(花山多佳子選、p.192掲載)

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