「匂い」という情報源

　 「匂い」は私にとって、大事な情報源の一つだ。

 

　食べ物、香水等、香りで好みや品質の良し悪しをみることはもちろん、

ある環境や、人に対しても、
私は匂いで色々と判断することが多い。

 

　つい鼻をひくつかせてしまう癖のせいで、一時は匂いフェチなのではないかと思われたこともあったが、一応単なる情報収集である。

 

　匂いの中に含まれるメッセージは、実に様々だ。

 

　雨降りの匂い。お日様の匂い。
　お昼頃に溢れ出す、食べ物の香りが混ざったのんびりとした匂い。
　静かな夜にただよっている、植物達が呼吸する匂い。
　まだ空気が湿っている早朝、徐々に寄せ合って来る働き者達の匂い。

 

　国ごとにも匂いが違う。
　日本には日本の、中国には中国の、韓国には韓国の匂いがある。

 

　その違いは実に明白で、たとい目隠しされてぽんとどれかの国に置かれたとしても、鼻を頼りに自分がどこにいるのか分かってしまうだろう。

 

　人々の生き様によって、その時、その場所の香りが変わってくるから本当に不思議だ。

 

　そして、人それぞれの匂いも実に千差万別だ。
　使い道の無いスキルだが、服に残った体臭を頼りに、それぞれ誰の物であるかを嗅ぎ分けることでさえ出来る。

 

　当然ながら私自身にも独特の匂いはあって、私は相手が持つ匂いが自分に近いか遠いかで親密度を感じる。

 

　香水をたっぷりつけて体臭を隠す人がいるが、そんな人に対しては自然とちょっぴり警戒してしまう。
　実態を読めないので、近づいて良い人なのかどうか分からないのだ。

 

　子供の頃から視力が悪かったせいか、私の嗅覚は他の人よりもやや敏感になってしまったようだ。
　視覚情報や聴覚情報と同じ、嗅覚情報も自分を取り巻く環境を観察することにおいて大事な要素であり、他の感覚では読めない情報もたくさん入っている。

 

　今でも、視覚や聴覚では捉えられないメッセージを、私は鼻をひくつかせて探し求めている。

 

 

　ただ、一つ気を付けなければならないことがあるーー人から嗅覚情報を得る時は慎重に行わないといけない。

変態だと思われそうになるからだ。

（はてなブログ同時掲載：https://www.gifteddecoboko.com/entry/2019/08/27/080000）

（画像素材元：https://pixabay.com/ja/）