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春のお財布について。

 母様と久しぶりにお買い物に行き、新しいスニーカーと、お財布を買った。
 今までのお財布は母様が買った本のおまけについていたお財布で、淡いゴールドに四葉と燕の刻印(?)のようなものがなされた長財布だった。
 長財布を手にしたのはじつはこのお財布が初めてだった。歴代のお財布たちはみな二つ折りのもので、最初はその使い勝手のちがいに随分と戸惑ったものである。
 それで少しわかったのだが、長財布は小銭を持つのに、やや適していない気がする。小銭入れとお札入れを何故かべつに持っている方がたまにいらっしゃるのを時折不思議に思っていたのだが、実際に使ってみて謎がとけた。
 物によって、というか、デザインによってだとは思うが、私の持っている長財布も、あまりにも小銭を入れると開けたときに横からすべり落ちるか、もしくは膨れてしまってあんまり見栄えがよくない気がしてしまう。まぁ、お財布の見栄えなんぞ、ふと気にかかるのは使う当人ぐらいだとは思うのだが。
 しかし未だに戸惑いのほうが勝ってはいるものの、結局新しいお財布も長財布にした。少し考えていた予算よりも高くなってしまったけれど、デザインと色が気に入ってしまったのと、長らく使うことを考えたら良い買い物だと絶対思えるような素材だったからだ。
 春にお財布を変えるのは良いことだよ、と母様が教えてくれた。一応箱には「紺」と表記された新しいお財布だけど、どちらかというと私には少し青緑が混ざったような、深い深い、深海色のように見える。
 革製品は大切に扱えば、次第に持ち主に馴染み、革製品として成長していくものだとよく説明書に書いてあるけれど、私の場合は、どうか一緒に成長していってね、これからもよろしくね、というような感覚だ。
 一緒に買った新しいスニーカーと一緒に、きっとこれからたくさん出かけるのだろうと思う。
 わくわくするね。大切にしていこう。

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