誰でも灘中の問題が解けるようになる?
学習塾「灘学習院」の学院長・江藤宏さんという方が、「考え方を鍛える方法」について解説したコラムが面白かったので、紹介いたします。
灘学習院は、昭和42年に神戸で開かれた塾で、大手塾の「詰め込み型」「暗記型」ではなく、考える力自体を伸ばす「思考型」の教育法を長年にわたり実践しているといいます。
この塾での教え方を少し引用したいと思います。
(以下引用)
「3%の食塩水が100グラムあります」と問題文に書いてあれば、まず「%」の意味を子どもたちと一緒に考えるのです。
これは「パーセント」と読む記号だけれど、どういう意味だろうかと問いかけます。この問いかけが、子どもたちの思考を引き起こします。
子どもたちは考え始めます。好き勝手にいろいろな意見を言うかもしれません。それらをまず全部受け入れます。次に少しヒントを出します。
「この間までは8%だった消費税が、10%になった。同じものを買う時に、消費税が8%と10%では、どちらがお金をたくさん払わないといけないかな。100円のアイスクリームを買う時、消費税が8%だったら、全部でいくら支払うことになると思う?」、こんな感じです。
「食塩水は、何でできているの?」「3%と20%なら、どっちの食塩水が塩辛いと思う?」
…こんな質問を繰り返していると、子どもたちの頭は動き続けます。
このようにして子どもたちの頭を動かし続けることが、決定的に重要なのです。
頭を訓練する時に大切なのは、とにかく考え続けることであり、それは必ずしも正解に到達することだけを意味しません。
正解に導くことよりも、考師が常に意識し続けるべきは、子どもたちを考えさせ続けることです。
少し乱暴かもしれませんが、極端な話、答えなど出なくても問題ないのです。むしろ、答えは出ない方が良いといっても構わないほどです。
なぜなら、正解にたどり着いてしまえば、その子どもには、それ以上考える対象がなくなるからです。
そして頭を使えるようになれば、どんな問題でも、いずれ簡単に解けるように必ずなります。
実際に頭の柔らかな子どもなら、参考(当方注:長いので省略しますが、文章題が付いていました)に示した灘中学校の入試問題を1分ぐらいで解いてしまうのです。
頭の柔らかい子どもなら、問題文を読みながら、その意味を理解し、高速で試行錯誤していくでしょう。
その結果、問題を読み終わった時には、ほぼ正解にたどり着いています。
必要なのは、このような問題の解き方を覚えることではなく、同じ問題を何度も練習することでもありません。
解き方を理解することですらないのです。
そんなことをいくら繰り返しても無意味です。
頭を使う練習をひたすら繰り返す。
それだけでよいのです。
頭を使うための材料は、いろいろあります。
ユダヤの人たちは、旧約聖書とその解説書、そして父親からの問いかけを元に考えていました。
算数パズルで有名な宮本算数教室で使っておられるパズルも格好の教材でしょう。もちろん本を読んでもよいのです。
ただし、最低でも30分ぐらいは考え続けることが望ましい。
5分ぐらい考えて、わからないから飽きたと放り出すようでは考える力は養えません。
その意味では簡単には解けない算数の文章問題や図形問題などが、考える力を養うための良い教材となるのです。
(引用以上)
江藤氏の話にとても共感します。
今年中学受験した我が家の息子も、飽きずにしぶとく、難関中の算数の問題を考えていました。
わからない問題の答えをみたり解説を聞くのを極端に嫌がりました。
中学受験算数は解法パターンを覚えれば何とかなる…。
確かに、一定のところまではそれでいけると思います。
但し、ひねりが入った複合問題では応用がきかないですし、解法パターンは無数のバリエーションがあるので、そもそも覚えきれないという致命的な問題があります。
中学受験は、思考力を鍛える効果があると思います。
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