フランスとは距離を置くべし

フランスとは距離を置くべし
“シーチン”修一

【雀庵の「大戦序章」189/通算620 2023(令和5)/6/20/火】梅雨明け? このところ真夏日が続く。17日は室温30℃を超え、今季初めてクーラーの世話になった。先日はチャリ散歩で甘味を携行するのを忘れたら熱中症なのか低血糖なのかフラフラ、運良く自販機で「復刻版 懐かしい甘いコーヒー」を手に入れたから快復したが・・・「無理せずに 軽い散歩で 済ませよう 行路死亡は 皆の迷惑」。華麗なる加齢、なかなか難しい。

毎年、春の散歩コースでは1、2匹はヘビ(青大将)を見かけたが、ここ2年はまったく見なくなった。宅地やマンションがどんどん増えて“先住動物”の居場所も餌もなくなってしまったのだ。余生の小生は「自然が残っているところに引っ越したいなあ」としょっちゅう思うのだが、4歳の頃から70年近くも「駅前ゼロ分」暮らしだと今さら田舎暮らしなんてできやしない。屋上に「子供のころの野原」を再現し雀を呼び寄せて慰めているが・・・表と裏の言動不一致、「寂しからずや道を説く君」の気分。

「蛇(じゃ)の道は蛇(へび)、俺に任せろ、伊達に歳を食っちゃいねーぜ」

こんなセリフを言う機会はもうないのだ、とセンチになるが・・・あら不思議、根が単純なのだろう、正露丸で下痢が止まったらどういう訳か「そうだ、立つ鳥跡を濁さず、部屋掃除をしよう!」、3か月ぶりにルンバと掃除機、雑巾がけで綺麗にした。本能的な「終活」? ただの躁状態?

いずれにしても戦意高揚、チャリ散歩もサドルでお尻が擦り切れて痛かったのが分厚い尿漏れ&下痢用パッド利用でかなり軽減、帰路にはスーパーで雀用食糧と小生のオヤツも仕入れて久し振りの充実感。「痛みがないことがこんなにいいものか」と改めて知った。

帰宅したら小生のブログを読んでくれているお医者さんからアドバイスが届いていた。
<下痢の災難、「征露丸」にお世話になったみたいですが、征露丸の後は「新しい乳酸菌類」を腸の中に移植しないといけません! 毎食後、顆粒の薬「ビオスリー:3種の乳酸菌」を勧めます。価格も安価ですので、心配なく服用できますし、乳酸菌製剤ですので、副作用はまったくありません>

有難いことだ。薬箱を探したら孫用の「ビオフェルミン」があった! 天は我を見放さず。そのうち薬局でビオスリーを入手しよう。備えあれば憂いなし。

そう言えば街のお医者さん「開業医」は子供の頃から世話になるから、大病院の勤務医と違って概ね敬意を表されるようだ。大病院では何となく小生は実験動物になった気分になるが、地元の馴染みのお医者さんは「親身になって患者に対応してくれる」、そんな風に思う人は多いのではないか。

愛犬トト(ビーグル)の獣医さんも優しかったなあ。ペットロスで小生は毎日、ああすれば良かった、こうすれば良かった、と慙愧の想いに駆られる。自分の子供を亡くしたら喪失感は相当激しいだろう・・・慰めの言葉もない。

話を戻すと、山本周五郎のロングセラー「赤ひげ診療譚」、一方でベストセラーになった山崎豊子の「白い巨塔」。清貧を良しとする日本人は質実剛健的で私利私欲から遠く、患者に寄り添う「赤ひげ」が好きなよう。一方で大学病院は何となく米国的なビジネス臭く、新米医師の実験台にされているようで小生は好まない。

難病の人、特に若い人は藁にも縋る思いで一流の病院を探すのだろうが・・・一方で70、80になっても大手術というのはナンカナーの感じがする。「従容として天命に従う」「いつ死んでも悔いないように日々精一杯生きる」という晩年にしたいものだ。言うは易く行うは難し、小生もジタバタしそうだが・・・

ジタバタは「往生際が悪い」とか言われるが、フランス大統領のマクロンは目立ちたがり屋なのか、軽佻浮薄なのか、いつもドタバタやっている印象がある。WIKI(*は修一の補足)から引用すると――

<マクロンは2022年ロシアのウクライナ侵攻開始に前後してプーチン大統領と電話を中心に十数回会談しているが、侵攻の阻止や早期撤退を説得することはできなかった(*それどころかマクロンは「侵攻はあり得ない」とさえ言っていた)。(*ロシアによる侵攻が始まるとフランスは大国なのにお義理で?)ウクライナには兵器も供与しており、同年6月16日にはウクライナの首都キーウを訪問して「ウクライナは勝利しなければならない」と語った。

それ以前は「ロシアとウクライナは兄弟の国民」(2022年4月)などロシア寄りと受け取られる発言を度々しているため、ウクライナでは「心配するふりをして何も行動しない」という意味で「マクロンする(マクローニッティ)」という新語が使われるようになった。

2023年4月、マクロンは訪中して習近平主席と会談。帰国の途中で「台湾の危機はわれわれの危機ではない」との発言を行い、台湾有事を許容する可能性を示唆した>(以上)

第2次世界大戦でフランスはヒトラー・ドイツの侵攻を受けるとさっさと無血開城した(1940年5月)。事大主義(強者に従うヘタレ)の根性なし(マクロンする)みたいだが、当時のフランスのレオン・ブルム政権はアカの「フランス人民戦線派」に乗っ取られていたから、ナチスの「国家社会主義ドイツ労働者党」の看板にまんまと騙されたのかも知れない(マクロンする!)。

無血開城を良しとしないドゴール将軍はロンドンに亡命政府「自由フランス」を結成し、対ドイツ戦を開始。幸いにも救国の英雄になったが、戦後は“解放軍”である米国による属国化を牽制するためだろう、悪の帝国ソ連と誼(よしみ)を通じた。米国から見れば「恩知らずの裏切り者め!」だが、フランスからすれば「国益最優先の外交のどこが悪い? 米国だって国益優先で参戦したじゃないか」というわけだ。

悪いのである。米国を好きな国なんてまずないが、世界中を共産主義化したい赤色独裁国家を抑え込むには米国の軍事力が必要で、本音はともかく「米国と仲良し」であるというパフォーマンスは重要なのである。

それなのにこれ見よがしにソ連といちゃつけば、米国のみならず多くの自由主義国は「フランスは信用できない、何考えているのか」と不信を抱いてしまう。どっちつかずのマクロン流“曖昧戦略”・・・両陣営から嫌われるだろう。

フランス人がフランス革命(1789~)で得たのは何か。宗教崩壊、カオス、ナポレオン独裁、「自由」という徹底的な個人主義、利己主義、そして第2次世界大戦後も続いたフランス共産党の大躍進である(今は絶滅危惧種)。

モーパッサンの「脂肪の塊」、カミュの「異邦人」、プルーストの「失われた時を求めて」、デュ・ガールの「チボー家の人々」などを読むと伝統的モラルの崩壊、エゲツナイほどの個人主義・利己主義、異端への攻撃、孤立を恐れるための言論自主規制などなどにゲンナリさせられる。作者の中には「それでいいのか」と諫める人もいるが、「私は私、あなたはあなた、干渉しないで」という“自由至上主義”により無視されるようだ。

マクロン流のフランス式自由の極めつけは、風向きが変わると平気の平左で「ヘンシーン!」することだろう。外交で「ヘンシーン!」されると、フランスとは付き合いきれないと不信感を持つ国が急速に増えてしまうのではないか。以下の在日フランス大使館サイト「マクロン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は2023年5月14日にパリで首脳会談を行い、共同声明を発表」(日本語仮訳)を読みながらそんな懸念を覚えた。

<ウクライナ大統領とフランス共和国大統領は2023年5月14日、パリにおける会合で以下の声明を発表した。

ウクライナ、フランス両国大統領はロシアが現在進めている対ウクライナ侵略戦争に対する明確な非難を再確認する。ウクライナはまったくいわれのないこの不当な攻撃に対する正当防衛の固有の権利を行使する上で注目すべき決断力を発揮した。ロシアは国際的に認められた国境内のウクライナ全土から全軍を即時、完全、無条件に撤退させなければならない。

フランスとウクライナはロシアに対し、同国軍による無責任な占拠と軍事基地化が重大な脅威になっているザポリージャ原子力発電所から撤退するよう明確に呼びかける。

フランスは国際的に認められた国境内におけるウクライナの独立、主権、領土保全を尊重する揺るぎない立場を堅持する。フランスはウクライナ国民と同国軍の決意と勇気に敬意を表し、ヨーロッパ大陸およびその他の諸国の安全保障に対する多大な貢献を認める。

フランスはウクライナに政治的、財政的、人道的、軍事的支援を、個別またはヨーロッパ連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、国際連合およびその他の機関との国際協力を通して必要な限り提供し続ける。フランス、ウクライナ、その他のパートナーは、ヨーロッパ大陸の安全を守りつつ、法の支配に基づく国際秩序も守る、云々>

風の向くまま風見鶏、明日は明日の風が吹く、朝令暮改は当たり前、恥という字は知りません・・・マクロンのフランスってシュール過ぎ! 小生の脳みそでは難しくて、まるで異次元。CNN 2023/6/13「仏大統領 ウクライナの反攻『始まった』」から。
 
<マクロン大統領は12日、「綿密に」計画されたウクライナによる反転攻勢が「数日前」に始まったと述べた。ウクライナのどこで始まったのかについては明言しなかった。マクロン氏はパリで、ドイツとポーランドの首脳と記者会見に臨み、ウクライナ軍の指導層の戦術的な判断と組織の優秀さをたたえた。

マクロン氏によれば、ウクライナによる反攻は数週間あるいは数カ月にわたって計画された。マクロン氏は、フランスが開戦以降、ウクライナに対して、武器や弾薬、装甲車両、後方支援の供与を強化してきたと述べた。こうした支援は今後も継続するという>(以上)

「マクロンする(マクローニッティ)」・・・フランス人は言行不一致が常態化しているのか? それが処世術なのか? フランス人の多くは自国を自由平等友愛の国だと思い、それを誇りとしているようだが、現実は「西欧で最も階級的な縦型社会」という説がある。要は――

▼企業と政府が密着、一体化:政治、経済は高等教育機関「グランゼコール(エリート養成校)」出身者が牛耳っている。大企業のトップ、例えば日産に大ダメージを与えたカルロス・ゴーンもグランゼコール出身。

<フランスは圧倒的な学歴社会で上位グランゼコール出身者は高級官僚あるいは大手企業の幹部として将来を嘱望される。フランスの多くの大統領や政治家や高級官僚は、グランゼコールの「パリ政治学院」「国立公務学院」(INSP、旧名ENA)卒業者である。マクロン大統領は法学部およびパリ政治学院出身>(WIKI)。

▼戦後フランスの第一党は共産党:戦勝国となったスターリン・ソ連は世界中の共産主義者の「赤い星」になり、戦時中は大人しくしていたいずこの国の共産主義者も「世界革命近し」と元気になった。フランス共産党は1945年と46年11月の選挙で第一党となったが、この時期がピークで以降は下り坂。

▼ストライキ、抗議、デモでガス抜き?:「世界革命遠し」になると特に若者は鬱屈するようだ。大学で良い成績に励み、卒業して良い就職先に潜り込み、たとえ平々凡々であっても穏やかな日々を送る・・・そんなのは嫌だ、と思う人もいる(小生もそうだった)。

フランス人は1789年の革命以来、内乱、戦争、紛争が絶えなかった。それが1945年の終戦以降は20年以上も深刻な争いがない。戦後生まれは危機を知らないから無風の「平和」に耐えられないのだ。文句を言うのが好きで、ワクワクドキドキする生き甲斐を求める。かくして1968年に「もっと自由を! 新しい本物の共産主義革命を!」と「フランス五月革命」が勃発する。

そうした“怒れる若者の反乱”は先進国にあっては共産党など伝統的な既成左翼への痛打にはなったが、「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」、60年代にほぼ消滅した。「新しい、真の共産主義」を象徴する毛沢東の文化大革命が「毛沢東の復権を目指すただの権力闘争」だと知れ渡ったことが大きく影響したろう。一将功成りて万骨枯る・・・

五月革命は68年末には消滅したが、弾圧に屈したのではなく、自滅したのである。

「すべての講義が中断された。教授は大教室での自分の講義時間内に集会を催し、デモでは先頭に立って歩んだ。私も出掛けたが、自動車に火が放たれ、窓ガラスが割られるのを眺めているだけだった。破壊こそが私を引き付けたのであって、敷き石を我が物にする人たちの理念に引かれたわけではなかった。その代わり、ガソリンの配給制には大いに困った。この国はマヒに陥るだろうという噂が広まり、予備のガソリン探しが一番の関心事となった」(パスカル・ローズ「ゼロ戦 沖縄・パリ・幻の愛」)

それ以来、革命ができないから「ストライキ、抗議、デモ」でガス抜き」するのが常態化した。糞尿を撒き散らしたりして鬱憤を晴らすのも常套手段になった。民度低過ぎ、みっともないが、伝統なのか?

中世のパリでは道路にゴミや糞尿を捨てるのが普通だった。「2階からばら撒く人もいるから道路の真ん中を歩かないと糞尿シャワーを浴びる。汚いセーヌ川の水がそのまま煮沸せずにテーブルに供される」(本城靖久「グランドツアー」)。臭くて汚い悪い習慣は止めた方がいい。
・・・・・・・・・
産経パリ支局の三井美奈氏曰く――
<花の都パリはネズミの都でもある。市人口の2倍以上の600万匹いるという。子猫かと思うほどの大きい奴がチョロチョロしている。
パリ市は150万ユーロ(2億円)をかけてネズミ駆除を進めてきたが手に負えないと悟ったらしい。市議会で助役が「共生に向けて委員会を設置する」と宣言した。動物保護団体は歓迎した。これからは鳩や野良猫並みにネズミにも優しい視線を向けねばならないらしい。

パリは何度もペストに襲われ、14世紀には人口の3分の1を失った。第一大戦後の1920年にも流行した。
コロナ禍の最中、そんな歴史に目が向けられ、市内は消毒が行き届き、見違えるようにきれいになった。それも束の間、今春はストでゴミ収集が1か月近く止まり、悪臭プンプンだった。ネズミは昼から路上を闊歩し、大胆になった>(産経6/16「パリの窓 ネズミと共生」)

フランスはそういう、小生から見れば異次元の人たちの国なのだろう。フランス人から見れば小生や日本人は蛮族やネズミみたいなもので、その「上から目線」的見方は明治以来今でも変わっていないよう。フランスとは距離を置いて付き合わないとロクなことにならないのかもしれない。遅ればせながら小生も肝に銘じよう。

*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp

https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646

https://note.com/gifted_hawk281/n/n9b3c7f4231f9

https://www.facebook.com/shuichi.ishii.14

まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?