手紙

「親愛なる○○様。お久しぶりです。急なお手紙失礼します。さぞや驚かれた事でしょう。どのようなお気持ちでいるかが手に取るようにわかります。昔から貴殿は周りに友人が多く、先生からの信頼も厚く部活動も好成績を収めており周囲から好かれておりましたね。羨望や嫉妬の複雑な感情を抱いたものです。
昔話に花を咲かせたいところですが、昔も現在もご多忙な貴殿の事ですので省略させていただきます。
〇年前に御社に入社してから同期の中でも進んでリーダシップを取り、必要。不必要。なものをすぐさま取捨選択し皆へ共有する事で順調にプロジェクト等を遂行していき直ぐに成果を上げると、その度に出世を重ねそれが取締役の目に留まり、その一人娘であるご息女を社内パーティーで紹介され、お互いに一目ぼれに近かったお二人は交際を始めましたね。清い交際を重ねながらも先輩・後輩を含む職場の同僚や学生時代からの友人とうまく付き合い、職場でも今まで通りの仕事を続けて公私共に充実された幸せな時間を過ごされて来たと思います。
無事にご結婚もされて今や一児の父。自宅も二世帯住宅が完成し職場では役職にも就き多くの部下を持つ立場となり私達も嬉しく思います。
将来の事を考えても今が幸せの絶頂なんでしょうね。

それでは本題に移らせていただきます。
覚えてらっしゃいますか？取り巻きの人間と一緒にノートを破ったり、落書きしたり、弁当をトイレの床に落として口で食べろ。と言った事。その後に消毒だ。と言って便器に顔を突っ込んで水を流したり。男女問わず暴力も振るいましたね。
社会人になってからは自身より優秀そうな人間を見つけると根も葉もない噂を流し、貴殿が勝手に変更した予定を相手に流したり、相手のデータを自身のPCにコピーしてから消してましたね。立場を使って退職させた人もいるのではないでしょうか？いや。いますよね。社会人になってからも自分のストレスを発散したいだけで二人きりの場所で暴力振るってますよね。楽しかったですか？胸に手を当てても無駄な人間なのは理解しております。
目に入れても痛くない程に溺愛されてらっしゃるお子様が居るのに色んな女性と入出するホテルの写真も添えておきます。
奥様と義理のご両親へ、知らぬは本人ばかりなり。と伝えたくなるほどです。

ここまで待ったのはアナタが幸せの絶頂である。または、その瞬間を感じ始めた時。そのタイミングで実行しようと思っておりました。今回は後者に至り実行する事になりましたので、お伝えしておきます。
「夕飯の買い物してくるね」と奥様とお子様。写真付きでＬＩＮＥ来てましたよね？帰りが遅いと思いませんか？このＬＩＮＥに気付いたのが奥様以外の女性とホテルから出てきた時でしたね。我々も絶句しましたよ。
義両親もいませんね。嫁の親がいないと更なる出世が出来ないと飲みの場で仰ってたアナタの事です。さぞやお困りでしょう。
後者の時期に決まったのは、我々がくじ引きをして「誰が」「何を」「どういった風に」するか。それがやっと決まったからです。
アナタが先ずするべきことは警察へ連絡する事です。ただ、ズルいアナタの事だからこの手紙を処分して悲劇の主人公を気取るでしょうから時期を見て再送いたします。

オマエ。ユルサレルトオモウナヨ。」

指紋もない。宛名も宛先もない。切手も張られてない一通の封筒が届いたことで、事態は一変した。『２通目』だ。
１通目が届いた確認している警察が何を聞いても男性は「知らない！私は被害者だ！」と叫んでいる。
２通目が届くまでの間に義両親と妻のバラバラ死体は発見されている。遺体は全て、わざと人目に付くような場所で発見された。しかし、犯人は見つからない。容疑者すらも。
子供は行方不明のままだった。
１人の警察官がこう聞いた。
「心当たりのある人物は？」
男性はこう答えた
「ありすぎて分かりません」