『家族ダンジョン』第14話 第十三階層 十字路の恐怖
冨子は上機嫌で階段を降りる。
「宿屋は心のオアシスだねー」
「生々しい!」
茜の一言が飛ぶ。
「それだけではなくて、この袋を見よー」
エプロンのポケットから皮袋を掴み出す。丸々と太った中には大量の金貨が収められていた。
茜は横目で見て降参と両手を軽く挙げた。
「びっくりしたよ。あの一枚の金貨のお釣りが、それだからね」
「大金貨か」
後ろに控えていた直道は思い出して言う。
「新しい階層に着いたな。今後も俺様を大いに頼るとよいぞ」
「また銀色のコインが手に入りますように