見出し画像

【詩】聖剣エクスカリバー

王家に剣が眠っていた
その名をエクスカリバーという

エクスカリバーは
城の台座に深く刺さり
勇者にしか抜けないと言われた

ある日、城下に勇者がやってきて
王に謁見えっけん
台座の聖剣を抜いた
それは白銀に輝いた

王はそれを祝福し
旅のための費用を工面した

勇者は物の具に身を包み
聖剣エクスカリバーをたずさえて
冒険に出た

いわく "私は最後の戦いに向かう"
その後、勇者のゆくえを知る者はなかった

一年が過ぎ、勇者は城に戻ってきた

鎧は肩紐しかなく
盾は砕け
兜はなかった

だが、勇者そのひとが黄金に輝き
その手には鈍色にびいろの剣が握られていた

王はたずねた
「勇者よ、どんな冒険だったか」

「王よ、私は最も深い洞窟、
《自我の洞窟》の奥深くに潜りました
そこで怪物と戦ったのです」

「どんな怪物か」

「三つの首をもつ悪しき龍です
その名を《貪瞋痴とんじんち》と言います」

「して、打ち勝ったのか」

「討ち果たしました
エクスカリバーで
斬ったのです」

「今、手に持っている剣はなにか」

「神剣です
怪物を倒すと、エクスカリバーは
この《草薙くさなぎつるぎ》に変わりました」

王は勇者を称え
民も歓呼しました
王は《草薙の剣》をふさわしい国へ還すため
準備を始めたということです




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?