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生理が痛いとき鎮痛剤は飲んで大丈夫?

以前、彼女は生理痛がひどい時でも痛み止めの薬、いわゆる鎮痛剤を飲みませんでした。なぜ飲まないのか聞くと…

「薬に頼るのは何となく良くない気がして」

「いつも飲んでいると効かなくなると聞いたから」

という返答が返ってきました。

そこで今回は

・生理痛はしんどいけど何となく不安だから薬を飲まない人

・大丈夫だろうか?と不安に思いながらも薬を飲んでいる人

に向けて、痛み止めの薬、鎮痛剤の事をわかりやすくまとめ、お届けします。この記事を読む事で

・本当は薬を使って痛みを抑えたいけど、何となく怖くて飲むのをやめている人

・今現在、飲みながらも、いつか効かなくなるんじゃないか、副作用とか大丈夫なの?と不安を抱えている人

は安心して薬を利用出来るようになります。

筆者は男ですが、風邪などのとき、喉の痛みや関節痛にくる体質のようで、たまに鎮痛剤のお世話になります。自分が実際に不安だと感じていた事を思い返し、次の4つにポイントを絞りました。

・副作用
・アレルギー
・依存性
・効かなくなる?

順番に、解説していきます。

ところで、鎮痛薬と言っても色々あります。ここでは主にドラッグストアで手に入る薬について考えます。

代表的な商品を下記にあげます。

・商品名(主な有効成分)
・ロキソニンS(ロキソプロフェン)
・バファリンA(アスピリン)
・EVE(イブプロフェン)
・セデスキュア( 〃 )
・ノーシンピュア( 〃 )
・ナロンエース( 〃 )

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1.  副作用


上記にあげた商品は

非ステロイド鎮痛剤(NSAIDs←エヌセイズと読む)

と呼ばれます。

その特徴は生理痛の原因物質である、プロスタグランジンと言う物質の発生を抑える事で、痛みを抑えます。

このプロスタグランジンは、痛みの原因にもなりますが、胃粘膜を保護したり、腎臓の血流を良くしたりする働きも、担当しています。

つまり

・生理痛
・胃粘膜の保護
・腎臓の血流

これらを担当している物質が、全て同じなのです。

ですから痛みの原因である、プロスタグランジンの発生を抑えると、胃がもたれたり、腎臓の動きが鈍くなる、という作用も当然ながら、同時に現れます。これが副作用です。

ただし、市販薬には、研究の末、この副作用を弱くして、本命の''痛みを抑える効果''をより高く得られるように、考えて配合された他の成分も入っています。

痛みを抑える以上に、副作用が強く出てしまうケースは非常にまれです。


2.  アレルギー


最近では、食品や花粉のアレルギーを良く聞きますが、薬にもアレルギー反応を起こすことがあります。ただし、副作用と同じく、自覚症状が出るほどのケースは非常にまれです。

ここでは、いざという時のために、鎮痛剤を飲んだ時に起きる、代表的なアレルギー症状を見ておきましょう。

「スティーブンス・ジョンソン症候群」

鎮痛剤を飲んで、1時間以内に

「急に、くちびる、まぶた、舌、口の中、顔、首が大きくはれる」
「のどのつまり」
「息苦しい」
「話しづらい」

などの症状が出るとアレルギーの疑いがあります。

特に、

目鼻口の粘膜に火傷のような水ぶくれができて高熱が出始めると

スティーブンス・ジョンソン症候群

という病気に発展することもあるようです。

ただし、確率的には

100万人に3人

と言う非常にまれな割合です。

そして、万が一このような症状が出た場合でも、

早期に発見して、アレルギー症状を抑えるステロイド薬などで、適切な治療をすれば、重症化を防げる

ということがわかっています。

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「アスピリン喘息」

名前にアスピリンという特定の成分名が入っていますが、他の非ステロイド鎮痛剤(NSAIDs)でも起こりえる病気のようです。

どの程度の確率で発症するのか、はっきりとした数字データは見つかりませんでしたが、特に成人女性で、元々鼻炎や喘息などがある方に発症しやすいようです。

薬を飲んでから1時間以内に

「鼻詰まりがひどくなった」

「ゼー、ゼー、と喘息特有の’’音のある苦しそうな呼吸’’が出始めた」

と言う症状がみられたら、疑いましょう。

こちらも

早期に発見し、酸素の吸入と、ステロイドなどアレルギー症状を抑える薬の吸入や点滴

で、回復するようです。


いずれにしても、アレルギーは

起きる可能性をしっかりと知っておいて、早期に対応すれば、重症化は防げる

ということです。


3.  依存性


薬と言えば、麻薬のように、中毒性のあるイメージを持っている方もあると思いますが、鎮痛剤はどうなのでしょう。

結論からいえば

非ステロイド鎮痛剤(NSAIDs)に中毒性や、依存性はありません。

鎮痛剤の中でも、医療用に使われるモルヒネなどの、オピオイド系鎮痛剤は医療用麻薬とも呼ばれ、痛みがない状態の人が使うと、依存性があることがわかっています。

しかし、このような鎮痛剤はドラッグストアでは、手にはいりませんから、市販の鎮痛剤に依存の心配はありません。


ただし、私の知人に頭痛持ちで鎮痛剤を常用していた人がいます。

頭痛が出ると鎮痛剤を飲む、鎮痛剤が切れると、頭痛が出るのが怖くて、出る前に飲む。という悪循環で、ほとんど毎日、精神安定剤のように、鎮痛剤を飲む生活をしていたようです。

これはある意味、依存の状態と言えますが、本人の精神的なことが原因ですので、薬自体に依存性があるわけではありません。

このような生活を続けると、

「薬物乱用頭痛」

という症状がでることも報告されています。

薬を飲むことをやめると、実際に頭痛が出て、また薬を飲むという悪循環になります。

痛みを抑えるための薬が原因で、痛みが出るという、なんとも残念な結果です。

そのような状態におちいった人は、勇気を出して一旦飲むことをやめ、2週間あけましょう。そのくらいで症状が良くなることも、わかっています。

鎮痛剤を、月に10日以上飲むという人は注意が必要ですが、それ以上飲むような事をしなければ心配いりません。


4.  効かなくなる?


薬をずっと飲んでいると、体が慣れて効かなくなる。という話をよく耳にします。

これも結論からいえば

非ステロイド鎮痛剤は、何回も飲んでいる内に効かなくなるような事はない

ということが明らかになっています。

ではなぜ、このような話がよく聞かれるのか?

考えられる事は2つあります。

ひとつは、上述した薬物乱用頭痛の人の話が原因でしょう。

このような人たちは薬を飲んでも、また頭痛が起きるという状態になります。頭痛の原因が薬のため

飲んでも症状が改善しない→薬が効かない。

という話が伝わったのでしょう。


もうひとつ考えられる事は

痛みの原因と、薬が合っていない

ということです。

副作用のところで書いたように、非ステロイド鎮痛剤は痛みの原因物質プロスタグランジンを抑えることで痛みを抑えます。

ということは、痛みの原因がプロスタグランジン以外の場合、効果は期待できません。

その場合は、別の方法、例えば、

痛みの神経伝達に作用する鎮痛剤

・カロナール(アセトアミノフェン)

・モルヒネ(オピオイド系鎮痛剤)

などを病院で処方してもらい、試してみるのも良いかもしれません。


まとめ 


市販の鎮痛剤は

・副作用も、アレルギーも重い症状が出ることはまれ。

・万が一出た時でも、知識をもっておくことで対処できる。

・依存性や中毒性はない。

・体に耐性がついて効かなくなるようなことはないが、月10日以上の服用は控えよう。

いかがでしょうか。生理の時の鎮痛剤について、何となく不安な状態から、すこしでも安心に変わったでしょうか。

生理痛が重い方にとっては、生理の期間は本当に憂鬱な時間です。人生の中でトータルすると、女性は実に、約7年という時間を生理に悩まされているというデータもあります。

鎮痛剤など、利用出来るものは上手に活用し、大切な時間を有意義に過ごしましょう。

ただし、鎮痛剤はあくまで応急処置です。子宮や卵巣に疾患の可能性がある方は、出来るだけ早い診察と治療を行いましょう。


飲むタイミング

最後に、鎮痛剤をより上手に活用する方法として’’飲むタイミング’’について触れておきます。

ベストは、痛くなる少し前です。

たまに、痛みに耐えられるだけ耐えて、限界を迎えてから薬を飲む方がありますが、あれは効率が良くありません。

何度もいいますが、非ステロイド鎮痛剤は、痛みの原因物質プロスタグランジンの発生を抑える事で、痛みを抑えています。

ですから原因が発生してしまう前に、飲むのが一番効果的です。


おまけ

これで本当に最後です。彼女が、私の勧めで飲んでいる漢方薬があります。それは芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。

こむら返りなどの筋肉の痙攣を和らげる漢方で、生理痛にも効果があります。

彼女いわく、子宮だけでなく、全身の緊張をほぐしてくれる感じがして楽になるとか。漢方ですから副作用も少なく、鎮痛剤とも併用できて安心です。

’’生理に効く漢方’’については、今後、勉強して正式にアウトプットしていきますので、今回はご紹介のみにしておきます。ご興味ある方は、使ってみて下さい。


参考:独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター
   「NSAIDs不耐症・過敏症」とは https://sagamihara.hosp.go.jp/rinken/crc/nsaids/index.html


参考:日本内科学会雑誌第98巻第12号https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/98/12/98_3089/_pdf


参考:社団法人 沖縄県薬剤師会ホームページQ&A
http://www.okiyaku.or.jp/0_QA/kiso/kiso11.html

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