会議の準備

 会議は準備が8割である。
 会議が始まってから何を話し合うか決めるなどというのは論外で、
会議のアジェンダとゴールを事前に決めて参加者に周知し、2〜3アイデアを持ち寄ってもらうというのが会議の準備の基本である。

 私は新人時代にこの準備を怠り、上司を怒らせて退席させてしまったことがある。「準備がしっかりできてないと何も決められない。仕切り直してくれ。」あの時の悔しさと不甲斐なさと言ったらなかった。

 あれから3年、私は会議の準備を一所懸命に取り組んできた。地味なことだと思われるかもしれないが、当たり前のことを当たり前にやり続けることはもっとも大切だと自負している。

 明日も朝から大切な会議が控えている。まず前述のアジェンダとゴール決め、参加者へのアナウンスは言うまでもなく迅速に済ませる。重要なのはここからだ。

 会議準備の朝は早い。まず朝5時に起き、日の出に向かって手を合わせる。「日の出」は「アイデアが出る」に通ずるということから会議準備において縁起が良いとされているからだ。
 
 次に水風呂で体を清める。アイデアの神様は綺麗好きなので、清潔にしていないと我々の元に舞い降りてきてはくれない。
 
 そして満月に3回当てたスーツに身を包み、厳かに出社する。満月の光には雑念を取り払うパワーがあるので、会議がついつい脱線してしまうのを予防する効果があるのだ。

 出社後まず行うのはトイレ掃除である。トイレはアイデアの神様の住処だ。トイレに入っているときふとアイデアが思いついたりするのはそのためである。会議を行うフロアのトイレをピカピカに磨くことで綺麗好きなアイデアの神様に感謝の気持ちを伝え、会議に神様を呼び込むことができるのだ。もちろん掃除は素手で行う。

 次は資料の準備にかかる。印刷する前のA4の紙に塩水を吹きかけて清める。これもアイデアの神様は綺麗好きだからに他ならない。「ほこり臭いコピー用紙にアイデアの神様は宿らない」とは優秀なビジネスパーソンの間で言われていることわざである。

 そしてプリンターに盛り塩をし、「詰まりませんように」と手を合わせて印刷する。「紙が詰まる」は「会議が煮詰まる」に通ずるので会議準備では縁起が悪いとされている。万が一紙詰まりが起きた場合は、速やかに紙を取り出して最寄りの神社でお焚き上げするのが良いだろう。

 ここまできたらあと少しだ。会議室はその日の吉方位に位置する場所を選び、事前に塩を撒いておく。清めた資料を配置し、他の参加メンバーたちを迎え入れる。問題なのは、他のメンバーも会議の準備をきちんとしてきているのかという点だ。朝が苦手な吉田さんはちゃんと今朝の朝日に手を合わせてきただろうか。話がよく脱線する部長のスーツは満月の光にちゃんと当たっているのか。会議の準備は皆同じレベルに立って行わないと非効率である。
なにしろ、会議は準備が8割なのだから。


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