少年は自分を特別だと思っていた。 周囲との見えるものが違って思えたから。 周囲との感じるものが違って思えたから。 それは良くないことだと周囲に言われた。 お前は普通のものを見て普通の感性を持つべきだと。 はみ出すことは良くない。 違うことは良くない。 けれども少年は周囲に従えなかった。 自分は特別だと思うことしかできなかった。 違うことの代償を、支払う事への警戒などなかった。 自由でありたかった。 様々な価値と交わり、刺激を常に受けていたかった。 様々な人と交わ
『檄文』 屈起せよ。 一個の怪物が世界を徘徊している。即ちは屈起の怪物である。古い世界のあらゆる権力はこの怪物を退治する為に同盟を結んでいる。 忘れてはいけない。 孤独の日々と記憶の彼方の残滓を漁る疎外された日常を。 覚えおかなければならない。 我等の言葉とこれからの生は、憎しみや不満と怒りを、汚いつばきと共に吐きかけるものではないことを。 刻まなければならない。 我等は先人達より授かりし智慧と、未だ来ぬ数多の人々の生命とを敬し、たゆたう思念の輝きを護りし為の存在で
夕暮れ茜 つめたいつめたい冬の風 ホッと手を、合わせて口寄せ、 はぁっと息を吹きかける 明日はきっとかぁっと抜けた、青空ばかりになる 横顔伏せて下駄鳴らす。 日が落ちる山の手前。 煙突一本。 あっついあっついお風呂屋さん。 湯冷めしないように、しっかり真綿の詰まった羽織を抱いて。 ゆこうゆこう 今日はもうおしまい。 明日のおひさまごきげんよう。
何ということでしょう。 あなた方はいつも、いつも勝手になすってございます。 こちらもただ単に言いなりになって佇んでばかりじゃあありません。 よくもよくもみっともない 恥ずかしくお思いになられないのですか。 その性根が浅ましい。 かと言ってあなた様方が目いっぱい悪いとは申しません。 素敵な想い、不屈の意志、輝く才能と芸術。 そういったものはもちろん好きでございます。 特に歌なんてのはめっぽう気持ちのすくものです。 でもなんですか。 根も葉もないっていうのに