🌸さくら🌸🎤

2020年6月17日 05:12

絶対に今年は幸せになれると確信していた。その確信のピークを迎えた4月初め。画伯ちゃんは1人で公園の夜桜を見ていた。

1人カラオケ

歌うのが怖いトラウマを克服するため、毎週一人カラオケをしていた。
引きこもりになると、話すことも歩くこともままならない。

ジムでトレーニングするのと同じくらい、カラオケには効果があると思えた。
大きな声を出す練習や、歌をうたう練習って人生でとても大事なのかもしれない。

話すことや、歩くことにも自信が持てるようになってきていた。

10年ほど前までバンドをしていたが、頭がめちゃくちゃに壊れて終わった。
1人で何かをやるのも、新しく何かを始められる気もしなかった。

そのまま時は過ぎ、もう一度バンドをしてみようと立ち上がった。
去年の今頃から始めたリハビリ。

今まで、まともに練習をしないままバンドを続けていた。
知識の無いまま閃きと衝動に任せて。

なんとなくは成立していた気もするが、バンドをしながら10年もほったらかしていると、さすがに気づき始める。

10年の独学で得たものを矯正するために、知識を最初から学び直すのは画伯ちゃんにはできなかった。
うまくなるように練習をしていても、曲を作って仕上げようとしてしまう。

生み出す力じゃなく伝える力を身につけようとしているのに。

うまくいかない。
うまくできない。

頭がめちゃくちゃになっていく。
そういえば音感もリズム感も、未だによくわかっていない。才能は確実に無かった。

それなのになぜ曲が出来上がるのか？
湧き上がってくる衝動はなんなのか？

病気だったり精神障害の範疇で説明できるはずだけど、診断を受けて薬を飲んでも、いろんな意見を聞いても湧き上がってはくる。

衝動が止められない。

-それができないなら、ここまでは無意味。
無意味を表現するために、それはおこなわないといけない-

桜の木の下で酩酊した画伯ちゃん。空から雨が降ってきた。

いま1度立ち向かおう。自分と世界に。
表現が伝わりやすくなるように、自分を磨いていかないと。

思い通りに声を出せるようになって、気持ちよくバンドがしたい。

そんな思いでカラオケ屋さんへ通い始めた。
いつでもバンドが始められるように。1年ほど前から。

昼から夜までのフリータイム。
4時間まじめに練習して、残りの3時間は酒を入れて好き放題した。

何ヶ月が経つと変化が。

少しずつ声が出るようになってきた。
10年のブランクを超えたい。なんなら過去最高の自分で無意味な世界を表現したい。

雨は段々と激しくなって、さくらの木も「はよ帰りや〜」と言ってくれてるかのよう。

帰り際に動画を回していると、自転車ごとクルクル回ってコケた。

疲れた喉に雨が入ってきて、地球の味が体全体に広がった。
もう少しで夢が叶うと思っていた。

絶対に今年は幸せになれると確信していた。

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⭐️参考音源です↓(過去のバンド〜最近まで)⭐️

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