6畳1間のふたり暮らし、阿佐ヶ谷姉妹の「仲良しの秘密」は姉の愛?
現在、人気急上昇中の女性お笑いコンビ、阿佐ヶ谷姉妹。今年、文庫化された唯一の著書『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』は、異例の発売即重版が決まりました。最近まで、阿佐ヶ谷の小さなアパートでふたり暮らしをしていた二人。そのちょっと不思議で、心が温かくなる生活をつづった本書より、妹のミホさんのエピソードをご紹介します。
* * *
たまには1人になりたい!
姉とふたり暮らしを始めて5、6年経ちますが、6畳1間にふたり暮らしだと言うと、「よく住めるね、私だったら絶対無理だわ」とみんなに言われます。確かに私も無理だと思っていました。ひとりっ子ですし。最初はお金も苦しかったので、仕方なさ半分で同居を始めました。
今の所、怒鳴り合いになった大きいケンカ、夜中耐えられなくなって家を飛び出したなんて事もありません。人より忍耐力があるのか、ぼーっとしているのかよくわかりませんが、そんな私でもたまに1人になりたい時は、阿佐ヶ谷の1つ手前の高円寺駅で降りて歩いて帰ったり、阿佐ヶ谷の西友に行ったりします。
あと仕事が続いて疲れた時などは一日中家の布団から一歩も出ず、何も喋らず、ひたすら寝て、近くにあるものを食べ、また寝るという、みほシャットダウン状態になります。こんな感じでバランスをとっております。
しかし、姉はふたり暮らしを始めてこのかた1人になりたがるそぶりをまったく見せたことがないのです。私が1人になりたがると、なんだか寂しそうな顔をするのです。
いや、おかしいでしょう。家でも一緒、移動も一緒、仕事も一緒、帰りも一緒なのにですよ! 絶対おかしい! 何かあるんじゃないの? 怖い昔話の、ご飯を食べないという嫁が夜な夜な頭の後ろについている口から、ご飯をもしゃもしゃ食べている絵が思い浮かびます。ちょっと違いますかね?
とにかく、みほの魅力はそんなに溢れまくりなのでしょうか? 男性は誰も寄ってきませんが……。
姉にとって「97点」の私
ある時、2人で6畳は狭いから、2間ある所に住みたいなぁと話していたら、また寂しげな顔をしたので、
みほ「一緒に住んでて、不満ないの? ない事ないでしょう?」
と聞くと、そうだなあ~あるかなぁ~っとしばらく考え、みほが頼んだ宅配便が午前中に来ると起こされるのが嫌、玄関に早く出ていかないのが気になるから午後の便にしてほしいだの、寒い時にエアコンをつけたいけど、みほが乾燥するのを嫌がるから、つけさせてもらえないのが嫌だの。不満がないのかと思ったら、結構言ってきたので、なんだか腹立たしかったです。
ある時も、みほシャットダウン中だと話せなくて寂しいみたいな事を言うので、
みほ「じゃあお姉さんにとって私は何点なんですか?」
と聞くと、
姉「100点じゃなくて申し訳ない、97点です」
えええ~(汗)? 100点じゃなくて、申し訳ない?? そんなに高得点なの? 何をもって97点なのか?? 姉の母性が行き場を失って、みほの高得点になっているのかしらと思ったら、なんだか少し悲しくなりました。どのあたりが高得点なのかと聞いた所、
姉「なんていうか日々のみほさんがいいのよね~」
と言うのです。
日々のみほさんとは、日中、機嫌がものすごく悪かったのに、夜は元気になってものすごく話しかけてくるとか、お肌は日々のお手入れが大事なんですよと熱弁を振るうのに、大袋のポテトチップスをボリボリ食べ、夜、顔にニキビの薬を塗りたくっていたりとか、YouTubeのカッコウの托卵、羊の毛狩りの動画について熱弁を振るうみほなどがいいそうです。
ちなみにマイナス3点は何ですかと聞くと、姉は掃除が苦手で、心の準備が必要なので前日に明日掃除すると予告してほしいのに言ってくれない。朝、どちらが先にお風呂に入るのかを1ヶ月ごとの交代制にしたいのに、守ってくれない。一緒に仕事で外出する時、黙って出ないで「出ますよ」と一言ほしい、だそうです。なんか前もって系ばっかりですけども。
最近は仕方ないので、「先に出ますよ」と言うようにしております。97点と言われた時、私から見て姉は何点だろうと考えると頭の中にパッと「53点」と出てきたのですが、姉には内緒にしておきます。