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#5 酸味、辛味、香味…味つけのバリエーションを増やせば「減塩」できる

心疾患、脳卒中、腎結石、骨粗しょう症、胃がん……重大な病気を招く原因にもなる「塩分」。世界で推奨されている1日あたりの塩分量が5グラムなのに対し、日本の平均的なビジネスパーソンは、ゆうに15グラムを超えるそうです。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の監修による『はじめての減塩』は、美味しく、簡単に塩分を減らすための知恵と工夫が満載の一冊。その中から、ぜひ覚えておきたい基礎知識をいくつかご紹介します。

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おいしく減塩生活をするには、塩味以外の味を取り入れるテクニックをぜひとも身につけたいものです。塩味以外の味つけのバリエーションには、主に以下のようなものがあります。

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(1)酸味=酢、柑橘類など

酸味をきかせると味が際立ち、少ない塩分でももの足りなさが緩和されます。また、酢に含まれる酢酸には、血管を広げて血流をよくし、血圧を下げる働きがあります。塩分を体内から排出してくれるカリウムと並び、減塩生活では積極的に摂りたいものの一つです。

酢というと、一般的なのは穀物酢でしょう。すっきりとした酸味が特徴で、酢の物などに向いています。酸っぱいのが苦手という人は、火を通すことで酸味がやわらぎます。

ほかにも、サラダのドレッシングなどによく合うフルーティーなりんご酢、炒め物などに使うとコクが増す黒酢、洋風の肉や魚の味つけに合う香り豊かなバルサミコ酢など、いろいろな種類があります。料理によって使い分けてみてください。

酢だけでなく、レモンやすだち、ゆずなど柑橘類も、料理にさわやかな酸味をプラスしてくれます。揚げ物にソース、焼き魚の大根おろしにしょうゆといった組み合わせをやめ、代わりに柑橘類をきゅっと絞るようにしましょう。

(2)辛み=こしょう、とうがらし、カレー粉、わさび、からし、ラー油など

ピリリと刺激的な辛さは、塩辛さとは異なるものです。ですが、とうがらしの辛みのもとであるカプサイシンを多く摂る人は、塩分の摂取量を少なく抑えられるという最新の研究結果が出ているように、塩分の代わりに満足感を与えてくれるものです。

和食では、わさびやからしなどを食べる直前につけることが多いですが、料理にも積極的に活用して、塩分を減らしていきたいもの。カレー粉を使った炒め物はよくありますが、粉山椒の炒め物もおすすめです。いつもの塩の量を減らした分、粉山椒を少し入れるとピリリと味が引き締まり、風味も増します。

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(3)香味=ねぎ、玉ねぎ、にんにく、しょうが、みょうが、大葉、セロリなど香味野菜と呼ばれるもの。パセリ、バジル、パクチー(香菜)、ミントなどのハーブ類

香味野菜とハーブの区別は明確ではありませんが、こうした独特の香りや苦みのある野菜やハーブは料理を引き立て、薄味のもの足りなさを補ってくれます。

たとえば、冷ややっこを食べるときにねぎや大葉、みょうがといった香味野菜をたっぷりとのせ、塩をパラパラ、さらにごま油もしくはラー油をたらせば、塩味はほんの少しでもおいしく食べられます。

ハーブ類はなじみがないという人もいるかもしれませんが、ハーブを1種類取り入れるだけで料理の幅がぐんと広がります。たとえば、塩分控えめに味つけした焼きそばにパクチーを散らしてレモンを絞れば、一気にエスニック料理に早変わりです。食わず嫌いをせずにいろいろ試してみることをおすすめします。

そのほかナッツ類など食感がよいもの、炒りごまなどコクと香ばしさがあるものなども料理のアクセントになります。

これまで味つけを塩やしょうゆ、みそに頼っていたという人は、ぜひ積極的に酸味や辛み、香味などさまざまな味わいを取り入れてみましょう。これまでの単調な味つけから、一気にバリエーションが広がって、料理上手を実感できるようになるかもしれません。

新しく好みの味を探す気持ちで、いろいろと挑戦してみてください。


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