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「ねえ、親指さがしって知ってる?」由美が聞きつけてきた噂話をもとに、武たち5人の小学生が…
「ねえ、親指さがしって知ってる?」由美がきつけてきた噂話をもとに、武たち5人の小学生が遊…
夜も更けたけれども、四条大橋はぞろぞろと人間が行き交っている。 弁天の氷の接吻でにわかに…
言うなれば自分のやったことを対岸の火事だと思っていたのだが、対岸へ火をつけたのは自分だ。四条通を駆け抜けながらわくわくした。 武者震いを鎮めるために、「朱硝子」にもぐりこむことに決めた。「朱硝子」は寺町三条の地下にある店で、我々の眷属がしきりに出入りする。昼は喫茶店であり、夜は酒場にもなる。 寺町通はすでに大方の店舗がシャッターを下ろして、行き来する人もまばらであった。大声で喋る酔っぱらいの声がひっそりとした空気を震わせていた。 べたべたと謎めいたビラが貼ってある狭い階
東山丸太町、熊野神社西の町内に玉垣で囲われた「魔王杉」という古木がある。 そんな名がつい…
第一章 納涼床の女神ある引退した天狗が、出町商店街の北にあるアパート「コーポ桝形」に住ん…
桓武天皇の御代、万葉の地をあとにして、大勢の人間たちが京都へ乗りこんできた。 彼らは都を…
森沢明夫さんによる『あなたへ』は夫婦の深い愛情と絆を綴った、心温まる感涙小説です。刑務所…
森沢明夫さんによる『あなたへ』は夫婦の深い愛情と絆を綴った、心温まる感涙小説です。刑務所の作業技官の倉島は、亡くなった妻から手紙を受け取る。妻の故郷にもう一通手紙があることを知った倉島は、妻の想いを探る旅に出る。 ◇ ◇ ◇ 夏の夜空に、天の川が渡っていた。 だが、頭上がきらびやかなぶんだけ、その下にある峠の展望台の駐車場には幽寂とした闇が沈殿していた。 駐車場の周囲は、ぐるりと濃密な樹々に覆われている。 頭上では、影絵を思わせる幾千もの枝葉が生暖かい夜風と戯れ