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お母さんみたいになりたくない

子供の時に母に何度も質問したことがある「お母さんの夢は何?」
母は悩みながらもこう言った。「みんなが元気なこと。」
私「それだけ?なんかしたいとか、何かになりたいとかないの?」
母「新しい家建てたいなぁ。自分の好きな間取りの。」
私「ふーん。」

つまらんなぁ。大人というものはそういうものなのか?なにが楽しくて生きているのか。毎日を楽しそうに生きている様子もない。話題といえば父への愚痴。勉強しなさい。
私はそんな母のようになりたいとは思えなかった。そして母がいる家から出たかった。早く大人になりたかった。

昔見た朝ドラ「ちりとてちん」にタイトルのようなセリフがあった。
泣きながらこの言葉を言う主人公に胸がギュッとなった。

めでたく?大人になり家を出て、結婚し、子供を抱える母になった。
自分の母のような専業主婦で過ごしている日々の中で、ある時自分が社会から埋もれそうな、あるいは既に埋もれてしまったような気分になった。
(あぁこれか。)私は気づいた。この生活を続けていると自分の母のようになる。
母の名誉のために言っておくと、ワンオペで3人の子供を育て世話してくれ、主婦の勤めをサボることなく日々を務めてくれたことは感謝し尊敬している。精一杯にしてくれたんだろう。

気づいた私は自分のための時間を確保することを忘れないようにした。
夫の愚痴が止まらなくなった時には離婚できるよう。
求人情報のチェックや必要なスキルを身につけておくことを頭に置くようになった。

不思議なことにそれだけで意識は変わるもので、家族全員が自立しておくことはみんなにとっての幸せであるような気がする。
甘えでなく助け合い、労い合い、尊重し合う関係。小さな私の家族にだけでも存在することが、大きな平和へとつながる。

母はそれに気づかせてくれた。ありがとう。

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