下積み無し!「初心者でも1ヶ月で料理人デビュー」という圧倒的な成長スピードを誇る、玄品の人材育成に迫る
玄品では、新入社員が入社1ヶ月で料理を提供できるよう、キャリアプランが組まれています。料理初心者を、たった1ヶ月でどうやって一人前に育て上げるのでしょうか。
今回は新入社員の技術指導を担当する、商品製造管理部 外販通販加工部門の水野 雅仁(みずの まさひと)さんに、圧倒的な成長スピードを誇る「包丁技術の指導方法」について伺いました。
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【インタビュー/ライティング】
株式会社ストーリーテラーズ
ストーリーライター ヤマダユミ
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包丁を握ったことがなくても、1ヶ月でふぐ料理をマスター
「玄品では、包丁を握ったことがない人にも、一から丁寧に技術を教えています。段階的に調理技術を習得する職人の世界とは異なり、誰でも1ヶ月で一通りの調理ができるようになるんですよ」
と、さも当たり前のように笑顔で語る水野さん。
ふぐの刺身・湯引き・唐揚げ・てっちり(ふぐちり)など、「玄品」ではふぐ1匹を余すことなく味わい尽くす、多彩なメニューが提供されています。
料理経験者でもほとんど扱うことがない魚、ふぐ。包丁を握ったことすらない初心者が、わずか1ヶ月で調理できるようになるとは、本当なのでしょうか。
動画と対面指導を活用した、効率的な指導方法
水野さんは、ふぐの外販商品を製造するセントラルキッチンを中心に、技術指導を担当しています。ときには、店舗に配属される新入社員にも、マンツーマンで包丁捌きの指導を行っているそうです。
「包丁を握ったことがない人には、立ち方や足の幅・まな板との距離感から教えています。ふぐを捌くときと刺身にするときでは、包丁の持ち方も全然違うんですよ。
ふぐの身に包丁を入れるときは、どこからスタートしてどんな角度で包丁を引くのか、実際の工程を隣で見せながら教えます。包丁を使ったことがある人はまずやらせてみて、気になったところだけを指導するようにしているんです」
水野さんの語る指導方法は、親が子どもに初めて料理を教えるときのような丁寧さ。ここまで手取り足取り指導していることに、驚きを隠せませんでした。
指導する新入社員は多く、水野さんは効率よく指導できるよう、工夫を凝らしているといいます。
「家で料理をする人だったら、『包丁を持って帰っていいから、野菜を同じ大きさで切れるように練習してみて』と提案することもありますね。
また、工程の8割程度を理解できるような動画を作成し、事前に覚えてきてもらってから、指導するようにしています」
と話す水野さん。
直接指導する際は、包丁捌きの感覚を掴んでもらったり、動画ではわからない部分を解消したりする時間に当てているといいます。
指導の一貫で、新入社員が包丁を扱う姿を、動画で撮影することもあるのだとか。
「『ここが違う』といっても、本人はできていると思っていることはよくあります。動画はどこが違っているのか本人が理解しやすく、その後の改善が早いんです」
動画と対面指導の両方を活用することで、できる限りスピーディーに指導を進めている様子が垣間見えました。
水野さんが管理するセントラルキッチンには、外国籍の社員が大勢働いています。言語が異なる社員を指導する場面では、難しく感じる部分もあるそうです。
「相手が説明を理解できているか、確認しながら話すスピードを調整したり、簡単な言葉を選んで伝えるよう意識しています。また、理解しやすいよう言葉だけでなく、やり方を見せながら指導することも多いですね」
そう語る水野さんの声はゆっくりと聞き取りやすく、新入社員に優しく指導している姿が目に浮かびました。
指導する際、「別の外国籍社員にサポートしてもらうこともある」と水野さんはいいます。同じ母国語を話す相手だと、微妙なニュアンスを言葉でうまく伝えることができ、かえって効率が良いときがあるのだそうです。
さらに、外国籍の社員にサポートしてもらうメリットは、それだけではありません。
「『できる』と『教える』はまったく違うので、教えるなかで指導者自身が改めて学ぶことがたくさんあります。『こういう風に捌けばきちんとした製品になる』と人に教えることで、技術への理解が深まり、その人自身のさらなる成長にも繋がるんですよ」
新入社員の指導を自分一人で完結せず、社員同士で教え合う環境を作ることで、相乗効果を生み出していました。
全国の先輩社員のサポートで、誰でも上達できる
1ヶ月ですべてのふぐ料理をマスターする、玄品のキャリアプラン。どのくらい指導を受ければお店で料理が提供できるようになるのか、具体例を教えていただきました。
「刺身の作り方は15時間、ふぐの捌き方は30時間指導できれば、お客様へ提供できるレベルまで到達できます」
素人目には信じがたい言葉の裏には、確かな自信が感じられました。
ここまで短期間で社員を育成できるのは、「調理マニュアルが整っているから」という理由だけではありません。水野さんのように丁寧に指導する先輩社員が、全国の店舗に存在するからです。
「私が入社したときは、野菜を切る・洗い物をするなど、自分の担当業務が終わってから包丁の練習をしていました。昔は職人気質の先輩社員も多く、私自身はここまで丁寧に教わったことはありません。
しかし、時代は変わり、社員教育の考え方も変わりました。自分が指導する立場になってはじめて、『しっかり教えてあげれば、誰でも上達できる』ことを実感しています」
丁寧な育成体制で、新入社員の成長を後押し
玄品の企業理念に、「主体性ある進化する個人を育てる」という言葉があります。「社員を一から育てる」という考えが根付いている玄品だからこそ、包丁を握ったことのない人でも、丁寧に育成する体制が整っているのです。
日本料理界特有の「下積み」という概念は、玄品にはありません。挑戦者の背中を後押しする、「まずやらせてみる」という社風が根付いているからこそ、圧倒的なスピードで成長できる環境が揃っているのです。
会社の真の力は、働いている従業員一人ひとり。会社を、個人を成長させるために、これからも玄品は一から人を育て続けます。
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