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「街にアートとクリエイティブを」ストリート広告のスペシャリストが送るメッセージ。

今週のnoteは、意見を整理する形ではなく、、、

先週、とあるイギリスのCreative Agencyとの打ち合わせがありまして、素敵な会社だと思ったので、ここで紹介させて頂きたいと思います。

街をキャンバスにするスペシャリスト

今回紹介したい会社は「BUILD HOLLYWOOD」という会社でして、1990年代に創業された会社なのですが、ストリート広告のスペシャリスト。と名乗っています。

名前からしてなかなかインパクトの強い会社なのですが、、、

歴史を調べてみると、最初からCreative agencyとしてスタートしたわけではなく、アーティストを養成するための専門学校を作ったり、映画会社をやったりしていたそうなのですが、失敗続きで会社が苦しいときに、とあるコメディ映画の宣伝用ポスターを作ったらそれが好評で、仕事が増えていき、ビジネスが広がっていったようです。

会社のコンセプトは、、、、

We place creativity in the heart of or cities.
We bring art and cuture to our street.

という事を言っていて、街とクリエイティブを結びつける集団となっています。

アンビエント/ゲリラが広告の中心

BUILD HOLLYWOODは、Diabolical、JACK、JACK ARTという3つのブランドに分けられており、ざっくり分類すると、Diabolicalは音楽関係のPRを、JACKARTは街のデザインなどを行っていて、主に広告主からの依頼を元にした、広告キャンペーンを取り扱っているのが、JACKとなります。僕が話を聞いたのもJACKでした。

実際に彼らがここ1年で実現した事例をいくつか紹介します。

まず、つい最近話題になったのが、ダイナマイト(マーマイト)というイギリスで有名な食品のキャンペーンで、ダイナマイトの容器のフタが飛んで行ってしまった事を表現する、インパクトのある広告になっています。

ストリートアートを標榜する集団なので、主戦場はこうしたアンビエント広告となっており、メッセージ性の強いクリエイティブが多いのが特徴です。

次の事例は、「thank you」という、シャンプーやせっけんなどの消費財を自社で作り、生まれた利益を全て貧困問題の解決に寄付する。という慈善団体のものなのですが、、、

ユニリーバやP&Gなど世界的企業に対して、「君たちも参加しないか?(利益ばかり追いかけていないで)」というメッセージを、透明なアドトラックを活用して発信しています。

https://thankyou.co/

JACKは規制を恐れないゲリラ的な展開も特徴で、過去に例がないような企画を実現しています。

コスメティックブランドのCiaté’sは、世界絵文字デーである7月17日に、スマイルマークを使った自社製品の告知を目的として、プロジェクションマッピングを展開します。

これを演出したのがJACKなのですが、プロジェクションマッピングの投影先がウエストミンスター宮殿という世界遺産だったのです。

もちろん、この場所は日頃からプロジェクションマッピングを行う場所ではなく、一企業の告知として許可が出るはずもないので、ゲリラ的に実施して、写真を撮って去る。というようことで実現しているようなのですが、Webニュースなどで大きな話題となりました。

こうしたギリギリの展開で話題化させることで、彼らは評価を高めています。

事例は本当にたくさんあるので、興味ある方は以下のURLを参照ください!

稼ぎの軸となるのは自社媒体

尖ったアイディアを実現してしまうクリエイティブ集団の「BUILD HOLLYWOOD」ですが、他のクリエティブエージェンシーと異なるのが、自社で管理する媒体を持っているという事です。

彼らの持っている媒体枠は、ポスター媒体なのですが単純にポスターを貼り付けるだけでなく、周辺を草木で囲んだり、ポスターのビジュアルを水たまりに映して写真を撮って拡散したり、広告を枠から飛び出させてみたりと、様々な仕掛けを行っています。

クリエティブアイディアだけを出すのではなく、自社媒体とアイディアをセットで販売することで、収益を確保しているのだと思います。

アーティスト支援に枠を使う

「BUILD HOLLYWOOD」は、自社媒体を収益化にだけ使うのではなく、アーティスト育成の場としても活用をしています。先ほども言いましたが、もともと学校をやろうか。と考えていた人たちだからでしょう。

Your Space Or Mineと呼ばれているこの活動は、イギリス人だけでなく、様々な国籍・文化的背景を持つアーティストに表現の場を提供し、その様子を動画にまとめるなどして、アーティストのポートフォリオになるようにもしています。

この「Your Space Or Mine」を通じて、黒人差別問題やコロナなど、社会的な問題や、媒体の設置されている地域に寄り沿ったメッセージなど、テーマを持って描かれるデザインが多く登場しています。

ストリートにクリエイティブとアート、そして文化を持ち込む。彼らの主張と取り組みは一貫していて、会社としてとても魅力的です。

世の中に良い影響を与えるOOH広告

ということで、、、

本日は「BUILD HOLLYWOOD」という会社を紹介してきましたが、OOH広告は街(公共空間)に存在しているので、街と共生しより良い社会を作っていくことに貢献すべきだと思っています。

お金を稼ぎながらも、人と社会を笑顔にしたり、あっと驚かせたり、時には議論を生ませる企画を作れるAgencyは価値が高いと思いますし、人を育てる。という所まで気が回っているのは「BUILD HOLLYWOOD」の素晴らしい点だなと思っています。

メディア業務をしてしまうと媒体を売ることに気を取られて忘れてしまいがちなんですが、今回ミーティングをしていて、OOH業界で働くからには、「その街にどのようなメッセージを発信したいのか?」という視点についても、意識高く持っていないとなー。。。と改めて思うきっかけになりましたので、紹介しました!

最後に、「BUILD HOLLYWOOD」が取り組むような、公共空間と広告については、青木さん・平井さんのnoteが、日本の取り組みなどについてまとめられていてわかりやすいので、以下にて共有させて頂きつつ、終わりたいと思います!


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