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急速にデジタル化するイギリスのOOHマーケットの景色とは~その1~

先日、世界各国のOOH市場におけるデジタルOOH比率をtwitterに投稿しました。

(※ソースは上記記事からご確認ください。)

こちらのグラフを見ると、イギリスはデジタルOOH(DOOH)の売り上げ比率が、ノルウェーに続いて世界第2位の53%となっています。イギリスはOOH広告市場の規模も大きいことからDOOH先進国と呼ばれています。

今回のnoteではイギリスのDOOH市場が成長した2つのきっかけと、販売を加速させるOOH広告の取引指標について、書いていきたいと思います。

(※本当は1つのnoteにまとめる予定だったのですが、書いていく中で想定よりも長くなってしまったので、3つに分けることにしました)

前編の今回は、イギリスのDOOH市場が成長した2つのきっかけについて書いていきます。

10年で5倍以上になったDOOH市場

イギリスのDOOHの売り上げは、2011年に約180億円だったものの、2019年には約970億円まで成長をしています。

画像1(グラフで見るとわかりやすく成長しています)

OOH広告市場全体の伸びが、この10年で約590億円に対して、DOOHの伸びが約790億円になるので、OOH市場において、DOOH以外は伸びていない。といえる状況にあります。

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(イギリスのOOH市場の規模は10年で約1.5倍になっています)


DOOH市場が急成長した2つのきっかけ

この10年でここまでにイギリスDOOH市場が成長したきっかけは何だったのでしょう。

僕がイギリスに来たのも1年半前で、過去の経緯を深く知っているわけではないので、Googleの期間指定検索を使いながら情報を漁ってみることにしました。

ちなみに検索したワードは、

”DOOH UK”

”Billboard London" 

 " OOH Digital"

といったもので、2011年くらいから主要な記事を読みました。

上記を踏まえ、個人的な結論としては、以下の2つのきっかけがあったのではないかと思っています。

その2つとは、

・2012年のロンドン五輪

・2014年のカンヌライオンズでのグランプリ受賞

です。

ロンドン五輪後に高まった期待感

オリンピックをきっかけに成長。というと、オリンピックに向けた街や駅の整備で媒体のデジタル化が進んで。。。という所を想像するかと思いますが、ロンドン五輪期間中の様子を見ると、DOOH展開よりも、ポスターやシートを活用した展開が目立つことがわかります。

もちろん、DOOHを活用した展開がなかったわけではありませんが、まだまだ面数も少なく、オリンピック期間中のDOOH展開は限定的だったように感じます。

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(ロンドン五輪期間中は、主要なスポンサーを中心にデジタルサイネージではないOOHキャンペーンが多い)

読者の皆さんならご存知だと思いますが、オリンピック期間は街に人が溢れ国民の期待感も高まるので大会期間中だけでなく、前後も含め数多くのOOHキャンペーンが多数実施されます。

一方でオリンピック特需の影響で盛り上がった2012年の翌年の2013年は反動からOOH需要が落ち込むのではないか。と見込まれていました。

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(2013年はOOHの売り上げがマイナス2.1%と予想されています)

しかし、結果として2013年はロンドン五輪があった2012年よりも売り上げが伸びることとなります。

その成長を支えたのが、DOOHの拡大だったのです。

モバイル広告の拡大に伴い、広告費がデジタルへ舵を切られる中で、DOOHへの注目も一気に高まることとなりました。

2013年に明確に数字としてDOOHの可能性が可視化されたことで、これを機会と見たOOH媒体社がデジタルサイネージへの投資を活性化させ、数年で一気に媒体の面数が増え、2013年以降一気にDOOH市場が拡大していく事となります。

(これからはサイネージだ!と、当時の様子が書かれているWeb記事です)

ここで1つ紹介したいのが、DOOH投資におけるイギリスの考え方です。

イギリスではデジタルサイネージを設置する際、売れている場所をサイネージ化する。ということです。

先ほどオリンピックの事例で紹介した以下の媒体は、ポスター媒体としても売れていた場所の、デジタル化を行っています。

売れている場所をサイネージ化し、単価を上げると共に掲出作業のコストを抑えることで、利益を創出しています。

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イギリスのDOOHが世界に注目を浴びる

DOOH市場成長のもう一つのきっかけは、DOOHのクリエイティブ表現に注目が集まったことです。

DOOHは、ポスター媒体と異なり、表現の幅を広げられることが強みの1つとなっていますが、2014年にカンヌのOutdoor部門にてDOOHを活用した事例がグランプリを受賞したことで、一気にDOOHの価値が世界へと伝わっていきます。

受賞したのはイギリスの航空会社BritishAirwaysが実施した以下のDOOHキャンペーンなのですが、こちらは非常に有名なキャンペーンなのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

この展開は、BritishAirwaysの飛行機のフライト情報(離発着地域、フライトナンバー)と、位置/高度をリアルタイムに取得し、デジタルサイネージの上を通過するタイミングに合わせ、座っていた子供が立ち上がり、通過する飛行機を指で刺すとともにフライト情報を表示する。という展開です。

これは、デジタルサイネージの持つクリエイティブのリアルタイム性・データとの連動・制限のないパターン数といった強みを一目で表現できる事例と言えます。

この事例は当時日本で働いていた僕自身も、動画を見た際に非常に感動・興奮したことを鮮明に覚えていて、当時は入社2年目でしたが、これからDOOHの時代が到来するのか!と大きな期待感を感じることができました。

そして2015年以降、2013年以降に投資を開始したDOOHが次々と市場に投入され、売り上げが拡大していくと共に、2017年にテニスコートよりも大きい超巨大スクリーンであるPiccadilly LightsがDOOH先進国の象徴として登場することになります。

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前編はここまでで、後編ではイギリスには、どのようなデジタルサイネージがあるのか、その特徴や販売方法などから、DOOH市場が成長している理由について、考えていきたいと思います!





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