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監査法人に就職して生き抜くことと、エスケープした方が良い人について

公認会計士を目指すぞ、という人が読むには少し早い(多分ピンとこない)が、論文式合格したぞというくらいの人にちょうど良い(それでも多分ピンとこないが知っておくべき)、筆者が重要だと思うテーマについて書いたのでシェアしておく。

監査法人の決め方

まずは中小監査法人と大手監査法人のどちらが良いかというところだが、これは筆者の考えとしては大手監査法人が良いと思う。

監査をする上で非常に大切なポイントとして、監査の品質管理の問題がある。監査の品質を保つためには法令や基準などの色々な改正などに対応しなければならず、数千人が所属している大手監査法人だからこそ、それが十分にできる。

大手監査法人で「あるべき論」を十分に学び、シニアスタッフやマネジャまで勤め上げ、一人前になったら中小監査法人でリードする立場で仕事をする方がスムースだろう。

では、大手ならどこが良いか。

これは、正直「どこも変わらない」と考えている。

まず、雰囲気についてだが、どの法人にも色々な人がいる。トーマツだから体育会系だとか、新日本だから真面目メガネだとか、あずさだからルーズというわけではない。行った先の法人のどこかの事業部のどこかのチームにたまたまそこにいた人の性格次第で自分が所属する集団の雰囲気は決まる。

また、仕事内容についても同じようなものだし、監査品質についても同じようなものだ。

ただし、強いて言えば昇進のスピードは法人や同じ法人でも事業部によって結構違うようだ。転職するにしても在籍を続けるにしても昇進は間違いなく早い方が良いので、そこを聞き込んで決めるのも手だ。


日常的な会計の勉強はマスト

監査法人に入ると数年間は単純作業の割合が多く、難易度の高い会計論点については現場の主査(インチャージ)以上が対峙することが多い。そのため、年次が低いうちは会計ができなくても仕事が捌けてしまう。

また、数年にわたる受験生活疲れで遊びたい盛りがやってくる上に、補習所という男女混合の出会いの場があるので、あっという間に猿になってしまい、勉強をしなくなってしまう者も少なくない。

もちろん、若いうちの遊びは若いうちしかできないので、それはそれで大切なことだ。実際にそういった経験が少なく、年々職位だけ上がってプライドばっかり高いムッツリスケベおじさんが頻発する業界でもあるので、そこはそうならないように注意しよう。歪むから。

ただ、遊びながらも必ず勉強は続けるべきだ。例えば経営財務だけでも絶対に毎週読むとか、常に会計知識をアップデートすることは続けよう。なぜなら、君は会計・監査の専門家だからだ。資格を取れば専門家なのではない。そこから先も常に勉強し続けなければ、あっという間にポンコツになる。

仕事で会計的な判断ができないという専門家として情けない事態を招く事になるし、補習所の単位が取れないとか修了考査に落ちるとか、もはやその場にいてはいけないレベルの最下層に転落するリスクもある。

もちろん、勉強だけできれば良いわけではない。社内での先輩やパートナーとの関係性を良好に保つ努力や、クライアントから信頼を得るなど色々と気を遣ったりもしなければならない。

ただ、絶対にやめた方が良いのは、先輩に媚びることだ。

媚びたからといってアサインで有利な扱いを受けたり、人事考課で報いるかといえばNOだ。

先輩は職務上の判断でアサインするし、考課もそういう決まり方はしない。媚びた方はその結果を見て媚びた分損した気分になるだろう。

そんな時間があるならば勉強をしたり遊んだりした方がよっぽど良い。ノリの良さそうな先輩であっても、同じ職場にいる限りは所詮はカネで繋がれている上司と部下であることを忘れてはいけない。友達なら外で探すと良い。


ポンコツは茹で上がって浮いてくる

監査法人の良いところは、出来が悪くてもある程度までは残れるというところだ。

一方で、ポンコツが生き残れなくなる分岐点が遅い段階で訪れるというところが怖いところだ。

一般的に、マネジャ前後から大きな会社の主査を担う事になる。主査とは現場監督のようなものだ。この辺りから、会計・監査の能力やマネジメントの能力がはっきりと周囲の全員に可視化される。

それまでは常に物陰に隠れていてもどうとでもなるので、どんなにポンコツでもヌクヌクと生きていけるが、大きな会社の主査ともなるとごまかしは効かない。たった一つのミスでも重大であればクライアントにも上司にもボコボコに怒られてしまうし、ミスだらけの人はあっという間に仕事を取り上げられてしまう。その難局を乗り切るのはどんな人でも大変なことだ。

それなりにちゃんとやってきた人でも会計知識のアップデートなど日常的な努力が疎かだった人の中には、この辺りで揺さぶられて振り落とされ始める人も出てくる。

一方で、そこにも至らないポンコツは大した仕事が与えられないことにすら疑問を感じずに残り続ける。そして、そこから数年かけて人事で徐々に知らされる事になってゆく。


ところで、監査法人の業務は400mトラックを定年までグルグル回るような仕事なので、結局はみんな順位にしか目が行かない。

そしてその結果は上司も部下も皆がある程度知ることになるため、上司のもならず部下からさえも、この人の価値はこのくらいなのだと認識される

同期と競り合って、先輩と競り合って、勝ち上がるのが生きる道だ。勝ち上がらなければいずれ居心地も悪くなる。


そして会社の自分に対する扱いに不満を持ち、やっと外の世界に目を向けるが、想像と異なる可能性の狭さに落胆するだろう。

選べる幅は年々減ってゆく。この点について、会計士の人は資格があるからなんとでもなると思い込んでいる人が多いが、なんとでもはならない。

また、監査法人から外の世界に出るのであれば、高齢で「監査しかやったことがない」というだけで道は狭まるが、更に監査法人でルーズに過ごしていた人のスキルセットは著しく陳腐で低質なので、需要は限定的となるだろう。

茹で上がって浮いてきた頃には、もう煮ても焼いても食えないのだ。

筆者はこのレイヤーに属する人が一番ヤバいと思っている。結局外にも出れず、中でも評価されず、苦しんで健康を害していたり、過度に老化している人を何人も見てきたので、本当に気をつけてほしい。

ちゃんと年次の低い頃からしっかり仕事に取り組み、勉強を続けてくればそんな事にはならないと考えられるが、もし事後的にその過程で何かをやらかしてしまったり、必要な努力が足りてなかったことに気づいたら、別の道に移れるうちに潔く移った方が良い

自分ヤバいかもと思った人は、今すぐ転職とは思っていなかったとしても、エージェントには会っておいた方が良いだろう。


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