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特別な日々は要らない

元からそこまで刺激的な人生を送っていた訳では無いのだが、このコロナ騒動のせいで代わり映えのない日々を送っていた。


毎日同じ時間に起きて、バナナヨーグルトを食べて、学校のオンライン授業を受ける。夜は課題をやるかテレビを見るかYouTubeを見る。


何とも味気のない生活だ。


これを機に何か新しく始めたりすれば良かったのに。

まあ、今の私には日々の生活をこなす事だけで精一杯だったということだろう。


そんなこんなで休校が始まってから2ヶ月以上経ち、緊急事態宣言も解除され、いよいよ来月から学校が始まろうとしている。

友達に会えるのは嬉しい半面、また息つく間もない、あの忙しない日常が戻ってくると思うと少し億劫な気もする。(大変な人が沢山いるのに生意気だな…。)

ただ、私が生産性のない生活を送っていた中、危険と隣り合わせの現場で人のために闘って下さったエッセンシャルワーカーの方々には感謝をしてもしきれない。人のために働くって、並大抵の覚悟では出来ないし、本当に尊くて素晴らしい仕事だと思う。



と、ここまで長々と前置きを書いてきたが、本題に入ろうと思う。


最近、「水曜日が消えた」という小説を読んだ。


幼い頃の事故をきっかけに、主人公のひとつの身体の中で"7人の僕"が曜日ごとに入れ替わるというもの。

小説は1番退屈でつまらないとされる"火曜日"の視点で進む。毎日毎日、朝目覚めると火曜日。まさに代わり映えのない日々。

そんな火曜日がある日目を覚ますと、見慣れない光景が。

そこは水曜日だった。"水曜日が消えた"のだ。

詳しいストーリーは下のリンクにて。
http://wednesday-movie.jp/

中村倫也さん主演の映画が5月に公開予定だったが、残念ながら新型コロナウイルス感染予防のため延期となった。


楽しみにしていた映画の公開が延期されたので、本を買うことにしたのだが…。


なんか、深い。


語彙力が無いので上手く言葉に出来ないのだが、自分の人生観を見つめ直すきっかけになった気がする。(高校生が偉そうなこと言うな!)


(課題終わってないのに…という背徳感を抱えながら)ページをめくる手が止まらず、2時間程で一気に全部読み切ってしまった。

ただのミステリー小説でしょ?と思っていた自分にデコピンを一発お見舞いしてやりたい。

ネタバレしないように話そうとするとペラッペラの感想になりそうなのだが、一つ言えるのは、自分が毎日の生活でどれだけ沢山のものを見落としていたのだろうということ。


代わり映えしないと思っている日常でも視点を変えれば沢山の発見があったんじゃないのか。

刺激的な事が何も無い日だって、それはそれでかけがえのない、素敵で立派な一日だ。

そんな簡単なことに、今までなんで気づけなかったんだろう。

当たり前すぎて、近くにありすぎて、そのありがたみを忘れていたのかもしれない。


…と。

私は本を読む時深読みしてしまうタイプなので、思ったことを忘れないように書き留めてみた。


最後に、この小説を読むにあたってオススメの読み方がある。

それは、映画の主題歌である須田景凪さんの『Alba』を聴き込んでから読むことだ。

聴いていないのと聴いているのでは、このストーリーの捉え方がだいぶ違ってくると思う。多分。

『Alba』の何が素晴らしいって、そりゃもう全部なのだけど、特に歌詞。

 特別な日々は要らない
在り来りでいいと静かに笑ってみせた


泣ける。


こんな事言える大人になりたいな。

在り来りでいい。特別じゃなくていい。

普通の日々が1番幸せだって言えるように。

今こんな状況だから余計に刺さるなぁ…。

早く世界中の全ての人が在り来りな日々を過ごせるようになりますように。

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