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ザツダン「社会保険料」の【書き起こし版】

年金保険料が上がる?

営業 ニュースで見たけど、何かが上がるんでしょ?
人事 何か?
営業 何か。何か税金的なものがあがるんでしょ?
人事 ああ。厚生年金保険料のことですか?
営業 そんなやつ。
人事 ふわっとしてるね。
営業 これはあんまり良くないことなんだけど、意識しなくなる。
人事 そうね。日本は源泉徴収制ですからね。
営業 もちろん、ものすごく上がったら気づくよ。3、4万円とか。でも、ちょっと上がっただけじゃわかんなくない?
人事 でも、今回はひとによってはかなり上がるよね。ん?上がる?下がる?手取りでいえば下がるか。
営業 手取りは減るよね。
人事 そうね。手取りだけだと3千円くらい減るのかな。
営業 その保険料があがる対象になるひとは?
人事 そうそう。お?よくわかってますね。
営業 なんか、みんなじゃないんでしょ?
人事 みんなじゃないです。これは、厚生年金保険料だけじゃなくて、健康保険料もそうなんだけど。
営業 うん。
人事 決め方がややこしいんですよね。社会保険料の値段の決め方って知ってます?
営業 あれでしょ?途中の月の給与。
人事 途中?
営業 あの、4月5月6月?
人事 ああ、よく知ってるね。そうです、そうです。
営業 そうだよね。年収じゃないっていうのは何かで調べた。
人事 なんか、4月から6月は残業代抑えたほうがいいって聞いたことない?
営業 あるある。
人事 それですよ。
営業 抑えたほうが保険料もさがるよってこと?
人事 そうそう。あなたは毎月給与明細をちゃんと見て、保険料とかもチェックしてるでしょ?
営業 見てる。エクセルにしてる。
人事 それって、ほとんど変わらないでしょ?
営業 うん。一定。
人事 でしょ?厚生年金保険料と健康保険料。それと、ひとによっては介護保険料。これは月によって増減っていうのは、あまりしないんですよね。
営業 逆に増減することもあるの?
人事 あるよ。
営業 へえ。

標準報酬月額という概念

人事 で、なんでかっていうと、社会保険料っていうのは、標準報酬月額っていうので決めてるのね。
営業 うん。
人事 まあ、ややこしい謎の単語が出てきたけど。標準報酬月額っていうのは、その名のとおりなんだけど。報酬月額はいいよね。要するに給料の月額ですよ。
営業 はいはい。
人事 で、標準っていうのは、だいたいこんなもんって話なわけですよ。
営業 ほう。
人事 だから、このひとの給料は月額だいたいこんなもんっていうのを決めるわけです。
営業 うん。
人事 給料って100人いれば金額は100通りあるわけじゃん。
営業 うんうん。
人事 でも、100通りの保険料を計算して徴収なんてことは、社会保険料ではしないわけですよ。面倒臭いから。
営業 毎回計算してね。
人事 そうそう。なんでかって言ったら、主に厚生年金のせいなんだけど。健康保険はさておき、厚生年金保険料っていうのは、将来もらえる年金の額にダイレクトに直結するでしょ?
営業 うん。
人事 で、年金額っていうのはさっき言った標準報酬月額を元に決めるわけですよ。要するに毎月の保険料だね。で、毎月の保険料と保険期間を全部通算して、じゃあこのひとの年金額はいくらですって決めるわけですよ。
営業 はいはい。
人事 で、その計算の元となる保険料が毎月毎月変わったら、計算がスーパー面倒臭いわけ。
営業 うーん。
人事 でしょ?年金出すときに絶望的な計算をしなきゃいけない。
営業 まあ確かに。
人事 だから、毎月毎月の給料額に応じて保険料変えるなんて面倒臭いことはしない。
営業 はいはい。
人事 厚生年金保険料と健康保険料は、標準報酬月額っていうのを決めてしまって。で、標準報酬月額には等級表ってのがあるんですよね。
営業 なんか見たことある。
人事 見たことある?
営業 会社に保険便りみたいのが配られるから。
人事 あー。
営業 それに、改定されますとか、今年はこれですとか載ってる。
人事 あれちゃんと見てるの?
営業 見てない。あれなんであるのか不思議に思う。
人事 いやあの、さっき言ったとおり、標準報酬月額っていうのは将来もらえる年金額に直結するわけですよ。
営業 うん。
人事 だから、本当は全員に教えなさいって言われてます。
営業 ああ、ちゃんと確認してねって?
人事 そうそう。まあ逆にいえば、その等級表、月額表から逆算することができるけどね。
営業 ほう。
人事 もしくは、毎年ねんきん定期便が来るじゃない。あれに標準報酬月額って書いてあるんですよ。実は。
営業 あ、そうなんだ。見てなかった。
人事 見たことない?
営業 ネットにしてるから。ほぼログインしないからわからない。
人事 みると絶対書いてありますよ。
営業 へー。
人事 ただ、標準報酬月額って千円単位なんだよね。だから、30万円だとしたら300って書いてあるはず。
営業 へー。
人事 で、なんだっけ?
営業 標準報酬月額?
人事 そうそう。標準報酬月額を決めたらそれを元に保険料を決めるんだけど、一度標準報酬月額決めたら、むやみやたらには変えないわけ。
営業 うん。
人事 変えたくないんですよ。計算面倒くさくなるからね。
営業 そうだよねえ。
人事 で、あなたの大体の給料は31万5千円ですってなったときにその等級表をみるんですよ。すると、等級としては32万円のランクに入るねと。
営業 ほう。
人事 すると、あなたの実際の大体の月収は31万5千円だけど、保険料は32万円の等級を使って計算する。で、一度等級を決めたら、基本的には1年間ずっと同じ等級のままにする。
営業 それは、計算の対象にならない月がいくら跳ね上がったり下がったりしてもそうするわけね。
人事 それはまた後で話します。
営業 はい。

4〜6月に残業が多いと社会保険料が上がる理由

人事 で、基本的には1年に1回しかやらないっていのが、さっき言った4月5月6月ね。つまり、この3ヶ月分の給料を集計して、その金額をもとに、その年10月の給料で引く保険料から改定する。
営業 ふんふん。
人事 で、何もなければ1年間ずっと同じ保険料を来年の9月まで払って、でまたその年の4月5月6月の給料をもとに改定をして、10月に引く分から保険料を変える。
営業 ほう。
人事 まあ変わらなかったら変わらないでいいんだけど。要するに1年に1回定期的に見直しますっていうサイクルになってるわけです。
営業 はいはい。
人事 で、今回厚生年金保険料が上がるっていうのは、その等級表の上限をいっこ増やすってことなんだよね。
営業 ほうほう。
人事 今までは上限が62万円だったのね。で、これを65万円にしますっていうのが今回の改定です。
営業 はいはい。
人事 上限超えちゃえば全部同じだから。例えば、月収が200万だろうが500万だろうが、厚生年金保険料の計算の上では、月収62万ってことにしてたの。
営業 62万超えちゃえば62万とおなじですよと。
人事 そうそう。で、その62万を65万に変えるの。
営業 はあ。なるほどね。
人事 だから今回影響があるのは、まあめちゃくちゃもらってるひとですよ。
営業 そうね。月で62万だと年収にすると結構な額だよね。
人事 800万とかそんなもんですかね。
営業 800いっちゃうかもね。
人事 でもこれ、給料だけで800だから。
営業 ボーナスは関係ないでしょ?
人事 ボーナスは関係ない。さっき言った通り4月5月6月の給料の平均だから。
営業 ああそっか。じゃあ多分1000万は余裕で超えてるひとたちだね。
人事 そう、だね。

そもそも年金保険料の上限がある理由

営業 たいていはね。かわいそうだね、1000万のひとは。
人事 んー。どうなんですかね?どうですかね。あげないほうがいいすか?
営業 うーん。まあ自分が対象者じゃないからいえるけど、もっと払えばって思う。62じゃなくて、べつに100くらいまであげ続ければいいんじゃない?
人事 いい質問ですね。
営業 だって年金足りなくなるでしょ?原資がね。
人事 これは、前に話さなかったかな?
営業 あれでしょ?年金保険料あげすぎちゃうと、後で払う年金額にかかわってくるから、保険料あげすぎちゃうと、財政的にまずい、みたいなことでしょ?
人事 そう。そうなんですよ。さっき言ったとおり、社会保険料っていうのは主に厚生年金保険料と健康保険料だけど、計算のしかたは同じなんですよね。
営業 うん。
人事 さっき言った標準報酬月額っていうのを出して、あなたの給料はこのランクです。だから保険料いくらです。っていうふうに決める。
営業 はいはい。
人事 で、基本的には1度決めたら1年は動かさない。っていう方法で健康保険料も厚生年金保険料も決めてるんだけど。いっこだけ違うところがあって、それが上限の金額なわけです。
営業 うん。
人事 で、厚生年金保険料は上限が62万だったのを65万にするんだけど。健康保険料は上限が139万なの。
営業 うーん。めちゃくちゃ高いね。
人事 そう。だから月収139万まで普通に保険料引き続けるんですよ。
営業 健康保険料は上がり続けるんでしょ?
人事 そうそう。なんでかっていったら、健康保険料は別にたくさんとったって、痛くも痒くもない。
営業 使わなきゃ意味ないもんね。掛け捨てでしょ?
人事 そう、掛け捨てだから。でも、厚生年金保険料はあげたらあげたで、あとで払う年金もあがるからね。
営業 なるほどね。
人事 だから、本当はあまりあげたくないんだよね。
営業 逆に今回あげたのは、国としても苦渋の判断なのかね?
人事 そうみたいですよ。これは新聞で見たんだけど、こんなときになったら上限を変えるっていうのは、一応決まってるんですよ。
営業 へえ。
人事 具体的にいうと平均賃金ね。
営業 うん。
人事 ふつうのひとの平均賃金の2倍を上限にするって決めてたんだって。
営業 へえ。そうなんだ。
人事 で、今まで何年もそれを上回ってたんだってさ。つまり平均賃金の2倍はずっと62万円以上だったの。
営業 ほう。
人事 でも、いやいやいや、いやいやいやっていってあげなかったらしいんだけど。でも、それを何回もやりすぎたから、流石にちょっとあげないとまずいかって話になったみたい。
営業 へえ。
人事 5年くらい粘ったみたいだね。
営業 国としてもあげたくないんだね。払うから。
人事 うん。あげたくないんだと思うよ。あげたくないし、まあ嫌がるからね。
営業 ああ、払うほうも?
人事 そう。手取り減るしね。
営業 いっちゃ悪いけど、保険料払ったひと、みんながみんな年金もらうわけじゃないからね。
人事 うん?
営業 別に全員が年金もらえるまで生きるわけじゃないじゃん。
人事 ああ、そうね。
営業 あとは、65超えても現役バリバリで、年収が2000万とかあったら、そもそも年金もらえないわけでしょ?
人事 そうね。厚生年金はね。
営業 そういうのもあるから、払うほうは抵抗あるよね。今払うわけだからさ。なんだよ、上がるの?みたいにね。
人事 そうだね。そういうのもあるからね。
営業 なるほど。
人事 でも、流石に無視できなくなったから上限をあげるみたいだけど。でも、幸いにして私は月収65万ももらってないから。
営業 私も関係ないし。65はすごいよねー。
人事 でも、けっこう多いんですよ。65万以上もらってるひとっていうのは。
営業 これって全部入るんでしょ?手当ても。
人事 ああ、全部入りますよ。

交通費(通勤手当)は保険料の計算に入る?

営業 交通費は別?
人事 交通費も入ります。
営業 ああ、入るんだ。じゃあ按分するの?
人事 按分?
営業 たとえば、4月5月6月じゃなくて、違う月に半年分もらったとき。
人事 ああ。はい、按分します。
営業 えー、めんどくさ。
人事 あれでしょ?あなたの会社は6ヶ月に1回しか払わないんだよね?
営業 そう。6ヶ月分もらう。
人事 あのねえ、そういう会社はけっこうあるんだけど、給料を計算する側からすると、まあ面倒臭いわけですよ。
営業 じゃあこれちゃんとやってるわけだ。会社のひとが計算して?
人事 やってるはずです。
営業 えー。まじ本当かな?
人事 やってるはずですよ。やってないと違反だし。
営業 でも確かに明細にのるしなあ。
人事 私も昔勘違いしてたけど、通勤手当は入らないんでしょって思うじゃん。
営業 なんか非課税って聞くよね?
人事 そうそう。非課税だから、社会保険料の算定のもととかには入らないって気がするじゃん。
営業 私もそう思ってた。
人事 例えば、通勤手当は残業代を計算するもとには入らないよね?
営業 ああ、はいはい。
人事 まあ、そりゃそうだよね。だって交通費だしってことだから。
営業 うん。
人事 でも、それとこれとは話が全く別なの。
営業 はあ。
人事 要するに、税法上の課税非課税と、社会保険料の算定の対象になるかどうかは全く関係がない。
営業 じゃあ、すごく遠くから通ってるひとは不利だね。
人事 でもその分お金もらってるからね。
営業 実質的にはもらえなくない?じゃあ例えば、あり得ないけど、毎日東京から鹿児島に行ってますと。
人事 うん。え?飛行機で?
営業 そう。月50万ですと。それ全部入ってくるの?
人事 あの、いろいろ問題あるけど。ていうかまず会社はやらないと思うけど。
営業 そうだけどさ。すごい大切なひとで、会社はそれでもやるってとき。
人事 入ると思いますよ。
営業 まじで?でも、そのひとにとってはその50万は交通費以外につかえないじゃん。
人事 うん。入るし、通勤手当も非課税枠は上限があるから。
営業 ああ、15万だっけ?
人事 そう、確か15万。それを超えた分に関しては課税になるからね?
営業 やば。
人事 だから35万円とかは課税収入になるわけですよ。その分は税金もかかってくるわけだから、ふつうはやらないよ。
営業 ああそうか。じゃあ通勤手当が非課税の上限15万だとしたらさ、15万円分テーブルがあがるわけじゃん。さっきの月額の。
人事 そうだね。上がる。
営業 その分当然、健康保険と厚生年金払うと。
人事 そういうことになりますね。
営業 じゃあそういうひとは、手取りが変わらないのに保険料だけ大きくなるっていう。
人事 そうだね。
営業 じゃあ遠いところは不利だね。

交通費が引っ越しで大幅に変わるとどうなる?

人事 というのは、標準報酬月額の対象になるのは、これをベースに生活してるよねってものを入れるわけですよ。
営業 あー。
人事 で、通勤手当って会社は別に払っても払わなくてもいいわけですよ。
営業 なるほど。法律的にもね。
人事 そうそう。例えば、ほら、今は払われるようになったけど、派遣さんとかは通勤手当払われないっていうんで、結構問題になってたじゃない。
営業 会社によっては全部込みで払ってたもんね。
人事 そうそう。それは別に構わないわけですよ。通勤手当払わなくても。
営業 ほー。
人事 だから、通勤手当払う払わないは会社の勝手だし。通勤費払うっていうんだったら、労働者が払うべき費用を会社が払ってあげてるってだけだから、それも報酬に入れるべきでしょって理屈なわけです。
営業 ああそっか。嫌だったら近場に住めばってことになるもんね。
人事 そうそう。
営業 確かに。
人事 だからややこしいんですよ。
営業 ややこしいよね。
人事 入らないもんだと思ってたら実は入ってたというやつです。
営業 余談だけどさ、うちの会社で新幹線通勤いるのよ。
人事 ああ、入れてると思いますよ。
営業 結構かかってるね。
人事 てか、うちの会社にも新幹線通勤いるけど、もちろん入れてますよ。
営業 まじか。
人事 これは私の実体験なんだけど。
営業 うん。
人事 私、昔は千葉の実家から通ってたのね?
営業 はいはい。
人事 千葉の実家から通ってたんだけど、スーパー都会に引っ越したわけですよ。
営業 うん。
人事 で、その前までは通勤手当3万円とかもらってたのかな?それが引越し後は6千円とかになったのよ。
営業 安。
人事 そうそう。で、さっき標準報酬月額って1度決めたら基本的には1年変えないっていったじゃん。
営業 うん。
人事 でも、変える場合があるんですよ。
営業 はあ。

昇格や転職で4〜6月以外で大きく給料が変わった場合

人事 ていうのは、給料が大きく変動したら変えたほうがいいじゃん。
営業 そうね。変だもんね。
人事 例えばさ、月収30万だったひとが、昇進して月収50万になりましたと。
営業 うんうん。
人事 で例えば、昇進が9月。9月に月収30万から50万になりましたってとき。
営業 はいはい。
人事 でも4月5月6月の給料を基準に決めるとなると、社会保険料が変わるのは1年くらい先になるわけですよ。
営業 そうね。
人事 それはおかしいじゃない。
営業 実体をともなってないよね。
人事 そうそう。だから固定的賃金に変動があって、等級が2等級以上、上下したら、年に1回じゃなくて、そのときに変更しますっていうのがあるんだね。
営業 ほー。
人事 それは随時改定っていうんだけど。
営業 うん。
人事 で、私、この随時改定に引っかかるんじゃないかと思ったのね。
営業 ああ、通勤手当の関係で?
人事 そうそう。通勤手当が3万円から6千円になったわけだよ。だからマイナス2万4千円とかだったのよ。
営業 下がるね。テーブルが。
人事 そうなのよ。だから、2等級以上テーブルが下がれば、社会保険料下がったんですよ。
営業 はいはい。
人事 でも下がらなかった。ギリギリ。
営業  1等級で済んだわけね。
人事 そう。1等級しか下がらなかったから。その時、うちの会社の顧問の、おじいちゃん社労士先生に計算のしかた教えてもらってさ。
営業 なるほどね。
人事 で、残念!って言われた。
営業 だめだねと。
人事 そうそう。だめだね。惜しかったね。って言われたんだけど。
営業 じゃあ国はちゃんと給料を見てるんだね。
人事 ちゃんと見てますよ。
営業 経理がちゃんと計算してデータ出してるわけだからね。
人事 ただ、ちょっとややこしいのは、さっき固定的賃金に変動があるっていったじゃん。
営業 うん。
人事 毎月毎月固定的に払ってるものが変わって、かつ等級が2等級以上変われば変えるわけ。
営業 うん。
人事 だから、残業代がいくら変動しても変えないんですよ。
営業 あー。固定じゃないからか。
人事 そう。固定じゃなくて変動だから。だから変わるとしたら月額で決めてる、例えば通勤手当が変わるとか、あとは基本給が変わったとか、時給が上がったとか、そういう時だけだね。
営業 ふんふん。
人事 だから、季節によって残業多い少ないはあるかもしれないけど、それは随時改定の対象にはなりませんよって話。
営業 なるほど。
人事 ややこしいよね。

この制度はそもそも持つのか?

営業 いろいろルール決めたんだね。当時。まあ、変わってるんだろうけど。
人事 変わってないんじゃないかなあ?
営業 だとしたらよく持ってるね。このシステム。
人事 んー。でも、私はあんまりこのシステムを変える必要性は感じないね。
営業 まあ、破たんしなければなんでもいいよ。税金も保険料も。
人事 あー。
営業 だってこういう方法でやってて、それで年金が危ないって言われてもね。じゃあこのテーブルなんなのって思うもの。ここをいじりなよって。
人事 まあやるとしたら上限いじるとかそういうのだろうね。
営業 じゃあこうしたら?上限いじって年金額に戻さない。だって月収200万とか300万とかあるひとは老後困んないよ。
人事 まあだからあげてないんだよね。
営業 だから、保険料あげても年金額に反映させないようにするのよ。
人事 うんまあ、そういう調整は税金でやればいんじゃないかな?
営業 ああそっか。年金でやってる以上、払った額に応じて年金あげるっていってるわけだからね。
人事 そうなんですよ。厚生年金は報酬比例だからね。保険料が上がれば年金額も上がるよっていうのがスーパー大前提だから。
営業 そこ変えちゃうとおかしくなるか。
人事 そうね。だからそういう不均衡をなくすには税金の仕組みを使ったほうがいいだろうね。
営業 そうね。一定以上のひとが負担すると。
人事 だからそれはある意味では既にできてるんじゃない?高所得者のひとたちは所得税めっちゃ取られるわけだから。
営業 そうね。
人事 所得税は国の財源に行くわけだから。で、国はその税金を使って、厚生年金の年金給付の財源にあてたりしてるわけだから。だから、調整はできてると言えばできてるよ。
営業 そういうもんか。そうだね、所得税は税率変わるもんね。
人事 この辺は難しい話なんすよね。
営業 そのへん、国はちゃんと計算してるんだよね?所得税率がこうでこうなるから年金はオッケーだみたいな。人口とか見ながらやってるわけだよね?
人事 えーっと。
営業 やれなくない?こんなの。
人事 一応やってますよ。年金は5年に1回計算することになってるんですよ。
営業 ほう。
人事 5年に1回、その先の100年間。えっと、年金っていうのはひとの一生にまたがる制度だから、人の一生をものすごく大まかに100年ってとらえるのね?
営業 うん。
人事 で、5年に1回、その先100年間、年金制度がもつかっていう検証を行うんですよ。財政検証っていうんですけど。
営業 へえ。
人事 で、割と最近その発表があったんだけど、覚えてない?
営業 全然覚えてない。
人事 たしか去年かな?2019年の秋くらいに発表されてるんだけど、その時の検証では「まあ大丈夫じゃない?」って話になったんだよね。
営業 じゃあ安心していいの?
人事 ただ、100年先の年金の見通しってものすごく難しくて。
営業 そりゃそうだね。
人事 具体的には物価とか賃金の上昇率にものすごく左右されるんですよ。
営業 うん。
人事 詳しい話は忘れたけど、2%とかで順調に経済が成長すれば余裕。マイナス成長だとなくなるって話だった。
営業 なくなる?
人事 なくなるっていうか、積立金はなくなるって話だった。
営業 あーはいはい。
人事 どちらにしろ5年に1回やってて、次は2024年とか2025年とかに見るはず。
営業 すごいね。計算できるのがすごいし、100年後?って思うけどな。
人事 うーん。まあ、人口の動静とか、一般的なひとの所得とかの予想から計算するんだよね。
営業 100年後って日本の人口6000万人とかでしょ?それでいけるんだね。
人事 年金世代も減るからね。
営業 ああそっか。高齢化もましになってるかもね。100年後っていったら私たちも死んでるけど、高齢者もどんどん無くなっていって、人口ピラミッドはいい感じになるのかも。
人事 どうなんだろうね。これはもうわかんない。
営業 そうだね。
人事 ただ制度としてはどういう基準で計算してるかっていうと、平均的な現役世代の半分くらいは年金として払えるようにしようということになってる。
営業 へえ。
人事 で、計算する時のモデルとなる、標準的な家庭みたいのがあるんだけど、旦那さんが働いてて奥さんは専業主婦っていう家計をモデルケースにしてる。ものすごく古い典型なんだけどね。
営業 ああ、こどもが二人いて、みたいな?
人事 うーん、老後の話だから、こどもはあんまり関係ないんだけど。
営業 あー、なるほどね。
人事 で、このふたりをひとつの家計として、現役世代の家計の半分くらいの収入がいくように制度を設計してる。
営業 なるほど。
人事 もう少し具体的にいうと、フルタイムで働いているひとの平均月収って30万円くらいだから。その半分くらい、つまり月15万円くらいの年金がひとつの家計、旦那さんと奥さんの家計にいくようにしようって。
営業 へー。
人事 で、それを上回ってる分には別にいい。でもそれを下回ってるんだったら早急に対策を打とうってことになってて。
営業 うん。
人事 前回の検証ではその所得代替率は50%を上回ってたから、まあ大丈夫でしょって話になったの。
営業 はー。
人事 ややこしいよね?
営業 ややこしい。まあいまいち信用しにくいよね。
人事 うーん。そうねえ。あのねえ、複雑化しすぎてるんだよね。
営業 うーん。

消費税増税による社会保険料増減問題

人事 私は人事だから新しく会社入ってきたひとに給料とかの説明をするんだけどさ。
営業 うん。
人事 この標準報酬月額について質問して、つまり社会保険料の決め方って知ってますか?って聞いた時に、100点の回答を聞いたことは一度もないよ。
営業 まず教わらないしね。
人事 まあね。
営業 自分で調べなきゃいけないし、調べたとしても、言い回しが特殊だったりするじゃない。
人事 調べても絶望するだけかもね。
営業 絶望する。何言ってるんだ、これ?みたいな。
人事 標準報酬月額ってなんだ?みたいなね。
営業 そうそう。それ書けばいいのね。給与明細にね。
人事 標準報酬月額?
営業 給料はこれ。で、あなたの標準報酬月額はこれですって。
人事 書いてある会社もあるかもしれないね。
営業 そうね。親切な会社はひょっとしたらね。で、こんだけ下がったり上がったりしたら、随時改定されますよ、みたいな。
人事 うーん。でも、その随時改定っていうのもまた面倒くさいんですよ。そもそもさっき言ったとおり、固定的賃金に変動がないかぎりはやらないじゃない?
営業 うん。
人事 だから残業が大きく変わったとしてもやらないんだけど。逆にいえば、固定的賃金に少しでも変動があればやるわけですよ。
営業 ほう。
人事 で、これはある意味ネタなんだけど。消費増税あったじゃん?
営業 あったね。
人事 消費増税は確か10月だったかな?で、通勤費もかわったんですよ。
営業 うん。
人事 要するに消費増税によって8%から10%に上がったから、通勤手当も変わった。で、うちの会社は定期代に応じて毎月毎月通勤手当を払ってるから、10月に全員分の通勤手当を変えたわけですよ。
営業 はいはい。
人事 全員に金額を聞いてね。スーパー面倒くさかったですけど。
営業 うん。
人事 でもそれって消費増税分、8%が10%になっただけだから、ひとにもよるけど、数百円とかの変動なんだよね。でも、固定的賃金の変動にはなるじゃない。
営業 なる。
人事 だから、その10月の通勤手当の変更がトリガーになって。
営業 ええ?
人事 社会保険料が変わったひとがたくさんいたよ。
営業 そっか。テーブルの上限とか下限のギリギリのひとはそうなっちゃうのか。
人事 あと、うちはタイミングが悪かった。
営業 タイミング?
人事 ていうのはうちは年末忙しいんですよ。だから10月11月12月ってけっこう残業代が出るんですよ。
営業 なるほど。
人事 で、10月に固定的賃金の変動があったことになっちゃった。これは毎年毎年の定時決定のときもそうだけど、社会保険料って3ヶ月分の給料を見るんですよ。
営業 うん。
人事 それは随時改定の時も同じで、固定的賃金に変動があった月から3ヶ月分の給料を見てから改めて標準報酬月額表をみるのね。
営業 へえ。
人事 だから、10月に通勤手当が上がったら固定的賃金に変動があったということになるので、10月11月12月の給料をトータルして、等級が2等級上がれば、社会保険料を変えるって話になるわけ。
営業 うん。
人事 だから、本来であれば、その増税がなければ何も起こらなかったはずなんだよ。
営業 じゃあもう本当に増税なんだよって思ったわけだ。
人事 そうですよ。
営業 こんなことで手間増やすんじゃないよみたいな。
人事 そう。そうなんですよ。でさ、コロナショックで消費税また下げるみたいな。そういう議論があるじゃん。
営業 ああ、聞くね。
人事 私からすればもう考えられない。もう一回あの面倒臭いことをやるのかと。
営業 大変だなあ。
人事 だって消費税下がれば、私たちはまた通勤手当変えないといけないわけですよ。
営業 まあねえ。
人事 で、通勤手当変えると、また固定的賃金に変動があったっていって、ひとによっては社会保険料変えないといけなかったりするわけですよ。
営業 なんかそれ聞いたら「通勤手当やめたら?」って思っちゃうわ。
人事 まあ通勤手当やめるのもありだよね。
営業 だって引っ越したら通勤手当変わるじゃない。
人事 変わるね。
営業 大企業で何万人とか従業員がいたら、毎月何十人とか通勤手当変えるわけでしょ?
人事 そうなんですよ。
営業 それはちょっと萎えるよね。
人事 通勤手当の修正ってめちゃくちゃ面倒くさいんですよね。毎月ひとりとかふたりとか通勤手当変わるひとがいるし、みんながみんな一日とかキリのいい日に引っ越してくれるわけじゃないからね。みんながみんな締め日に引っ越してくれればいいんだけど。
営業 それはないわ。
人事 ないでしょ?そうなると日割で按分とかしなきゃいけないわけですよね。毎月ひとりふたりはいるよ?
営業 そりゃそうだよね。
人事 毎月毎月計算してますよ。
営業 大変だね。
人事 大変です。
営業 じゃあ、考えるわ。通勤する場所も。
人事 いや、それは好きにすればいいよ。あまりにも通勤手当の金額が大きければ、通勤手当も社会保険料の算定の対象に含まれるから、その分社会保険料増えるけど。でもまあ、健康保険料は掛け捨てだから取られ損だけど、厚生年金に関しては。
営業 戻ってくる。戻ってくるっていうか増えるわけだもんね。
人事 そうだね。だから何ともいえないかなって気はする。でもまあ、やっぱりマイナスのほうが大きいかな。健康保険料のことを考えればね。
営業 ほう。
人事 あとは給料のレンジが十分に高いひとからすれば、少ないほうがいいよ。
営業 そうだね。
人事 要するに厚生年金保険料が上限いっちゃってるってひとは、それ以上給料上がっても厚生年金保険料は上がらないし、将来もらえる年金の額も増えないわけだから。だからあんまり上がってもしょうがないっていうのがあるよね。
営業 そうだね。上がってもメリットないよね。

年収1000万円は"つくられた目安”?

人事 そうなんだよ。だから個人的な考えとしては、年収1000万円以上とかになったら、サラリーマンで稼ぐのはあんまり旨味がないね。
営業 そうね。だったら自営業で所得をいじるなりなんなりしたほうが夢がありそう。
人事 そうなんだよね。年収1000万円以上くらいになったら厚生年金保険料は上がらないから年金額も増えないし、増えるのは健康保険料だけだから。健康保険料増えたところでどうせ掛け捨てだしね。だからこの辺を超えちゃったら、あんまりサラリーマンとして働く旨みを感じなくなっちゃうね。
営業 そうだね。だとすると年収1000万っていうところにひとつの目安を置いているところに、何かの意図を感じるよね。
人事 1000万?
営業 そう。年収1000万円って目安にされがちじゃん。
人事 そうね。
営業 それって作為があるんだなって思った。国がそれを積極的に言ってるんじゃない?
人事 どういうこと?
営業 めいっぱい厚生年金保険料払ってねってこと。
人事 1000万円以上稼げってこと?
営業 そうそう。
人事 でも1000万円以上稼ぐと、今度は奥さんの扶養入れにくくなったりするからね。
営業 そう。だから、1000万円目指せって言っておいて、いざ1000万円になったら不利になるように仕組んでるんじゃない?
人事 1000万円以上稼ぐなって言ってるんじゃないの?
営業 ひでえな、それは。
人事 制度的にはそうじゃん。1000万円以上稼ぐとマイナスのことのほうが大きいよね。
営業 じゃあ突き抜けろってことなんじゃない?
人事 逆に?
営業 1000万超えたら、もう2000とか3000になれと。1000はやめとけと。
人事 2000超えるともう全部同じだね。ほら、確定申告も自分でやらなきゃいけなくなるし。
営業 そうそう。そうだよね。
人事 って、保険料の話じゃなかったのか。
営業 いや、大事ですよ、こういうのは。結局は年収の話だから。
人事 そうね。でも、この社会保険料の算定の方法はもう少しなんとかならないかなって気がする。
営業 もっと単純にできないかなって思っちゃうよね。

年金と健康保険以外の「社会保険料」について

人事 あ、でも社会保険料って、今まで健康保険料と厚生年金保険料の話しかしなかったけど、なんか他にもあるよね?
営業 あれでしょ?雇用保険。
人事 そうそう、雇用保険料。
営業 雇用保険料は毎月変わるじゃん。
人事 おお。さすがよくみてるね。
営業 毎回エクセルに転記してて思う。また変わってるわって。
人事 雇用保険料って社会保険料じゃないんすよ。
営業 あ、そうなの?
人事 ていうのは、社会保険っていうのは、広い意味での社会保険と、狭い意味での社会保険っていうのがありまして。
営業 はあ。
人事 狭い意味での社会保険は、さっき言った医療保険と年金。だから、健康保険と厚生年金、もしくは国民年金ね。あとは介護保険もこの中に入るけど。
営業 うん。
人事 で、この3つは同じ計算の方法をしてるわけ。さっき言った標準報酬月額っていうのをもとに、等級表に当てはめて社会保険料出してる。それは介護保険も同じだし、厚生年金と健康保険で違うのは上限が違うくらいだね。
営業 ふんふん。
人事 で、それは狭い意味での社会保険だけど、広い意味での社会保険には雇用保険と、あと労災も含まれる。
営業 へえ。
人事 ただ、雇用保険と労災っていうのは、正確にいえば労働保険っていうんですよね。社会保険じゃなくて。でもまあ、雇用保険も労災も社会保険の一種でしょって言えるから。
営業 うん。
人事 で、労災と雇用保険は計算の方法が一緒なの。逆にいえば、健康保険とか厚生年金とかとは全然違う。
営業 はいはい。
人事 で、労災は労働者は負担しないからね。
営業 そうだよね。何も引かれてないもん。
人事 もし給料から労災保険料引かれてたらめちゃめちゃやばい会社ですよ。
営業 もうすぐ相談したほうがいい。
人事 ソッコーで会社辞めたほうがいい。
営業 なるほどね。
人事 それはまあいいや。まあ労災は引かれないけど、労災とか雇用保険料っていうのは、純粋にそのとき払った金額の何%とかっていう話なの。だから毎月変動するわけですよ。
営業 なるほど。
人事 残業代も反映するし、通勤手当が変わればその分も反映する。
営業 なるほどねー。でもそのへんはわからない。何をもとにどうなってるのか全然わからない。
人事 で、これなんで違うと思います?
営業 え?管轄が違ったんじゃない?
人事 まあ、そうなんすよ。
営業 ありがちだね。
人事 今は厚生労働省って言ってるけど、大昔は厚生省と労働省だったじゃん。
営業 その時代は知らないけど、そうみたいね。
人事 私も知らないけど。でも大昔はそうだったんですよ。で、厚生省の管轄が社会保険料で、労働省の管轄が労働保険料だったですよ。
営業 ふんふん。
人事 労働省って比較的新しいんですよね。ていっても戦後なんだけど。労災とか雇用保険の労働保険って、戦後にできた制度なんですよ。でも、社会保険、健康保険とか年金制度っていうのは戦前からあったから。だから戦後GHQがいろいろやってたときに、厚生省と労働省は分かれちゃったと思うんだけど。
営業 うん。
人事 でも今は厚生労働省にひとつになっちゃったし、どっちもまあ社会保険でしょとは言えるけど、でも違いはこうして残ってるわけです。
営業 なるほどね。それが今でも続いてるってすごいな。
人事 そうだね。でも逆にいえば、労働保険料は計算がものすごく雑だよ。
営業 へー。

雇用保険の計算方法

人事 あれ、1年に1回しか計算しないんですよ。
営業 そうなんだ。
人事 1年に1回、しかもその会社全体でしか計算しない。1年間にその会社が払った給料をもとに労働保険料だして、なんだったら1発ドカンと1回で保険料納めろって言ってくる。
営業 えー。
人事 いやいやこんな大金払えないですよって言ったら、「じゃあ3回に分けて払ってもいいよ」ってなる。
営業 ああ、分割してもいいのね。
人事 でも、金額が小さいと一括で払えって言ってくるよ。
営業 そうなんだ。全然知らなかった。
人事 そういう制度になってるから、どう頑張っても雇用保険料に関してはみなしになっちゃうわけですよ。
営業 そうだよね。
人事 だから、払ったら払った分だけ、労働者負担分ってことで給料から引いちゃえばいいじゃんってことになる。
営業 なるほど。
人事 でもさあ、雇用保険料って微々たる金額じゃん。
営業 そうだね。4桁っていうか数千円とかだね。
人事 そうそう。あれは支払った金額の0.3%とかだから。
営業 あ、そんなに低いんだ。
人事 そうなんですよ。今は1000分の3だから0.3%だね。昔はもうちょっと高かったんだけどね。
営業 へえ。
人事 景気がいいのか。
営業 なるほどね。給付受けるひとが減ってるのか。
人事 そうなんですよ。
営業 でも今回で増えちゃうかもね。
人事 そうかもね。でもどうかな?雇用保険は結構お金積んでたらしいから。
営業 あ、そうなんだ。
人事 そうなんすよ。で、使い道なかったんですよね。ちょっと昔にニュースか何かで、これちょっと積みすぎじゃない?っていう意見を見るくらい積んでたから。だからしばらくは大丈夫なんじゃない?わかんないけど。コロナショックでどれくらい出ていくかによる。

社会保険料はわかるようでわからない

営業 なるほどね。いや、社会保険はなんとなくわかってきたよ。なんとなく。
人事 ややこしいよね。
営業 ややこしい。
人事 9月分から厚生年金保険料上がるっていうのもさ、あれだけ聞くと全員上がるのかって思っちゃうじゃん。
営業 思う。
人事 ね。ツイッターなんかをみてると、勘違いして理解してるなーっていうのをたくさん見かけたよ。
営業 メディアの伝え方っていうか、新聞の見出しが悪いっていうのもあるよね。
人事 どうなんだろうね。制度が悪いんじゃない?
営業 結局?確かに。制度は悪い。悪いっていうか変な気はする。
人事 んー。
営業 計算もさ、ああいうテーブルを作ってるのは、毎回計算できないからっていうのがあるわけじゃん。
人事 そうだね。
営業 それ、今の技術とかでなんとかなるんじゃないのって思うけど。
人事 今はできるかもしれないね。
営業 そうだよね。国が頑張ってさシステム作って、フォーム作るから入力してね、みたいにすれば。
人事 そうねえ。でも、これは個人的な意見になるけど、日本は制度に公平性を追求しすぎてる気がする。
営業 ほうほう。
人事 公平性を追求すると事務コストは上がるわけですよ。
営業 ほう。
人事 まあ何が言いたいかっていうと、働いた全期間の報酬とか保険料を見て、年金額決めようっていうのは公正じゃん。
営業 うん。そうね。
人事 厚生年金は報酬比例で年金を決めよう。そしてそれをなるべく公正に決めよう。ってすれば、まあ今のような形になるよね。
営業 うん。
人事 でも、そんなに公正じゃなくて良くない?って思ったら、もっと簡単にできるよ。
営業 そうだよね。
人事 具体的にいうと、たとえば退職した時の賃金だけを基準に決めよう、とかね。
営業 あー、はいはい。
人事 なんか、ドイツはそういうふうにやってるみたいなんだよね。
営業 へー。
人事 今はわかんないけど。昔、ドイツ人のひとがそう言ってたんだけど。何歳かは忘れたけど、何歳かの時点での賃金で年金決めちゃうんだって。
営業 へえ。すごいね、それ。
人事 それはそれで雑じゃん。
営業 雑だね。計算は楽そうだけど。
人事 そうそう。計算は楽だし、事務コストもかからない。でも、日本人の感覚からすれば、いやそれは雑すぎるでしょと。公平じゃないじゃん!ってならない?
営業 なる。
人事 だから、日本だと、公平になるように努力でなんとかなるんであれば努力でなんとかしちゃうんだよね。
営業 あー、なるほどね。じゃあ国民性もあるのかな。
人事 でもその分複雑だから、なんだかよくわからなくなって、不透明になってるよね。
営業 あえて不透明にしてる気もするけどね。
人事 うーん。
営業 分かるひとだけ分かればいいよみたいな。逆にいえば、分かるやつだけわかってりゃいいんだよって思ってるひともいるし。
人事 それは、多いよね。
営業 多いっていうか、それが標準的かもね。実際会社入ってさ、社会保険料うんぬんって、仕事以外じゃ誰も考えないもの。
人事 考えないねえ。
営業 話がかぶるけど、貯金しようとしたときに考えるかもしれないけどさ。そういえば、これ高いけどなんだろ?とかさ。
人事 そうだね。
営業 普段はあんまり意識しないかな。
人事 あとは結局将来もらえる年金額がいくらだかわからんっていうのがあるよね。
営業 そうだね。わかんない。一応平均値みたいのがあるじゃん。この感じでいくとこうです、みたいな。
人事 うん。
営業 でも、あれもわかんないよね。将来増えたり減ったりするわけだからさ。
人事 そうなんですよ。報酬比例で決めようとすると、将来そのひとがどれくらい稼ぐかなんてわからないからね。
営業 うん。
人事 さっきのドイツの例みたいに、たとえばじゃあ55歳の時の賃金で決めようってなると、55歳周辺になればもうだいたいわかるじゃん。
営業 そうね。
人事 だし、なんか結構操作するらしいんだけど。その周辺で多めになるように。
営業 なるほど。
人事 でも日本の場合は積み上げ式だから。全期間を通して決めるから、働いてない期間があれば失われるし。要するにややこしいわけだよね。結局いくらになるかっていうのは、リタイアしてみないとわからないわけだから。
営業 うんうん。
人事 まあ流石に60歳くらいになればなんとなくわかってくるけど。そこまでくるともうあんまり変動はしないからね。でも、厚生年金は60歳からでもまだ積むことができるからね。
営業 うーん。
人事 だから何ともいえない。公平かもしれないけど、複雑で分かりにくいし、不透明だし。
営業 だめじゃん。
人事 でもさあ、だからといって、じゃあベーシックインカムみたいに、全員に一律で10万円払おうっていうのがいいかっていえば何ともいえなくない?
営業 そうね。結局使っちゃうひとがいるからね。年金がそもそも自分で貯められないから国がやってるんじゃないの?
人事 あー。まあそういう面はあるね。
営業 だって、大半のひとが自分で備えられるんだったら、厚生年金は引かなくていいじゃない。
人事 うーん、そうねえ。
営業 でもそうじゃないという分析を国はしてるわけでしょ?あとは、今払ってる保険料は今の高齢者にいってるっていうのもあるけど。自分に直接返ってくるわけじゃないでしょ。

そもそも年金の意義とは

人事 んー、公的年金の意義っていうのはいろいろあるんだけど。
営業 うん。
人事 一番大きいのは、それが終身年金であることだと思うね。
営業 あー、なるほどね。いくら払うか読めないものね。
人事 そうそう。例えば5000万円貯めて、これだけあれば大丈夫だなと思ってたら120歳まで生きましたと。
営業 まあなくはないよね。人によってはね。
人事 そう。なくはないじゃん。でも、それは私たちにはわからないじゃない。何歳まで生きるかどうかは。
営業 うん。
人事 でも、終身年金であればそれはカバーできるじゃん。
営業 そうだね。
人事 でも逆にいえば、いや私長生きだし。うちの家系は全員長生きだからって言ってたひとが、65歳で死ぬかもしれないけどね。
営業 なるほどね。難しいね。
人事 でもまあ、もうちょっと簡単になるんじゃないのとは思うけどね。でも、ここまで複雑化してしまったので、もうこのままいくしかないんじゃないか?
営業 そうね。ここで変更しちゃったら、それこそ公平じゃなくなるもんね。
人事 そうなんですよね。
営業 難しいジレンマだ。
人事 仕事もそうだけどさ、一度複雑化してしまうと、なかなか簡単にはできないよね。
営業 うん。まあ、よくないけどね、本当は。
人事 そうね。
営業 あらゆることは簡単なほうが絶対にいいじゃん。
人事 そうね。
営業 誰が見ても分かるほうが絶対にいいじゃん。
人事 そうね。むつかしいよね。
営業 難しい。難しさが深まりました。
人事 そうだね。まあ、社会保険料はあんまり変わらないよってことと、4月5月6月は残業代抑えたほうがいいんだってことと、固定的賃金に変動があったら変わるかもしれないっていうことは覚えておいたほうがいいかな。
営業 おっけー。あと通勤手当も入ると。
人事 もちろんです。

コロナで通勤手当を無くし代わりの手当になった会社の場合

営業 でも通勤手当はちょっとあれかもね。通勤手当の代わりに違う手当てになったらさ。
人事 へ?
営業 確か富士通がさ、通勤手当やめて、一律の在宅勤務手当にしたんだよね。
人事 うん。
営業 それこそ固定費の変動だからさ。
人事 あー。
営業 また変わるんだろうね。
人事 変わるだろうね。
営業 経理はかわいそうだね。
人事 そうね、全員変わるね。ただまあ2等級以上変動がなければ変わらないから。
営業 ああ、そうね。でも、富士通みたいな大企業だったら何千人といるんじゃない?
人事 でも、固定的賃金に変動があっても、こういう時期だし在宅メインだからあんまり残業させてないと思うんだよね。
営業 あー、はいはい。
人事 だから、今までの普通に残業してた時の賃金と比べると、むしろ下がってるひとのほうが多いと思うんだよね。2等級くらいは。
営業 じゃあ、まあいいんじゃないか?経理が死んじゃうのは同じだけど。
人事 対象者は結構多いとは思う。
営業 なるほど。
人事 でも、通勤手当をやめて在宅勤務手当にしようって話は最近よく聞くけど、それ、たぶん非課税から課税になるよね。
営業 うん。
人事 だって通勤手当は非課税だけど在宅勤務手当はたぶん課税だよ。
営業 そうだよね。だって非課税にする根拠ないもん。
人事 ないない。だからそれはそれでけっこう面倒くさいわけですよ。
営業 確かに。
人事 手取り減るひともいるだろうね。
営業 なんか、世知辛いな。
人事 そうねえ。だから賃金の変更って結構面倒くさいわけですよ。
営業 うん。
人事 固定的賃金に変更があるんだったら社会保険料のこと考えないといけないし、課税非課税って話もあるしね。まあ、この辺にしておきましょ。
営業 わかりました。
人事 わかった?

わからないことがわかりました


人事 でもまあ社会保険料の算定の仕組みは100%理解しようとしなくていいと思うよ。
営業 そうだね。どういうことが行われているかだけ分かればいいや。何を見てるのかとかね。
人事 そうね。毎月毎月変動するんじゃなくて、大まかに決めて、それはあまり変えないんだなと。そういうような雰囲気でわかっていただければいいかなという気がします。
営業 そうね。了解です。
人事 あ、あと上限ね。
営業 あ、そうね。上限ね。今回上がるのは上限だと。
人事 そうそう。厚生年金保険料には上限がある。ある程度いけば、頭打ちしてそれ以上取られることはないっていうのは、知っておいていいかもしれない。
営業 わかりました。
人事 はい。じゃあ、以上。

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