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ニルヴァーナの新作が出るらしい。もちろんAIが作ったものだ。カートの声質を分析して、いかにもニルヴァーナっぽいメロディをAIが作り出したらしい。

喜んでいいのか悪いのか、自分でもよくわからない。正直、混乱もしている。聴きたい気持ちもあるが、聴いた後に自分がどんな感情を抱くのか想像がどうにもつかない。

中学2年生からこれまで雨の日も風の日もニルヴァーナを聴き続けてきた。生粋のファンであり、コレクターズアイテムも漏れなく集め、嫁からも呆れられている。

はじめて聴いた時にはもうカートは死んでいたし、ニルヴァーナの新作がこれから聴けることがあると、自分の中で想像したことなんてなかった。好きなバンドがリアルタイムで新作を発表する。

AIによるニルヴァーナが本物かそうじゃないかは置いておいて、正直ちょっと新鮮な感覚を覚えて驚いている。ずっとニルヴァーナばっかり聴いてきて、流行りのバンドになんて目もくれなかった。みんなこんなワクワクする感情を味わっていたのか。

これからAIが進化すれば、ずっと好きなアーティストやバンドの新曲が聴けるわけだ。だけど、その曲は果たして本当に新曲なのか?ゼロから創り出したものではない。だけど、自分も含めてそれでも良いと思っている。

まるで、人間はこれから死にません、と言われているかのような気がした。人は死ぬからこそ、人生に価値があったのではないか?なんか大切なものを見落としているような気がするけれど、モヤモヤしていてうまく言葉に言い表わせない。こんな憂鬱な気分はニルヴァーナを爆音で聴いて晴らすしかないのに。

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