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賃貸の「原状回復工事」ってなにするの?

建築工事には様々な工事の種類がありますが、時として不動産会社から「原状回復工事」という工事名で依頼が来ることもあると思います。あまり聞きなれない言葉かも知れませんが、不動産会社と良好な関係を持ち続けるためには知っておくべき用語です。
そこで、ここでは原状回復工事にスポットを当てて、工事の概要やポイントなどを解説します。

原状回復工事とは

物を借りた時には貸主に返さなければなりません。当然ながら、借りた時の状態で返さなければならないのですが、場合によっては破損する事態もあり得ます。その場合には修繕するなどして、元の状態に戻して返さなければなりません。

これと同じことが賃貸不動産にも言えます。不動産であっても借りた物は借りた時の状態に戻して返さなければならないのです。これが「原状回復」です。
さて、不動産の場合は賃借している期間が長いため、摩耗や破損が付き物。例えば、カーペットや壁紙などの色褪せ、畳の擦り切れなど。そこで必要となるのが原状回復工事です。
賃貸不動産は退去の時に物件を元に戻さなければなりませんが、この時に原状回復工事が必用となるのです。


原状回復工事の内容

では、原状回復工事の内容は具体的にはどの様な工事のイメージになるのでしょうか。

基本的には「元に戻す」工事

先にも挙げた通り、原状回復とは「元に戻す」というイメージです。

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基本的には破損した部分や摩耗した部分の回復工事となり、それ以外の部分の回復工事は対象外です。
例えば、子供がイタズラで襖を傷付けてしまったり、畳にタバコを落してしまって、焼けコゲを作ってしまった場合があります。
その場合の修繕としては、襖や畳は部屋分一式の交換を思い浮かべるかも知れませんが、原状回復の場合は、あくまでも「破損した部分」であるため、破損した部分以外は工事対象から外れます。襖や畳の場合は全体では無く、1枚単位で交換されることになるのです。

通常の劣化への対応

さて、襖や畳の場合、破損や焼けコゲの他にも破損のパターンはあります。良い例が日焼けです。襖にしろ畳にしろ日光を浴びていれば表面が劣化してしまい、色が変わって来る物です。
ところで、日焼けの場合には前述のイタズラによる破損や焼けコゲとは性質が少し違います。イタズラによる破損や焼けコゲは「故意、あるいは重大な過失が元となる不具合」であり、日焼けは「通常使用によって起こる不具合」であるからです。
では、この違いによって何が違うのでしょうか。…この違いによって工事費用を誰が負担するかが違うのです。
原状回復工事には敷金が充てられますが、敷金がカバーする部分は、あくまでも「故意、あるいは重大な過失が元となる不具合まで」。つまり入居者の負担は通常の劣化は外れます。
通常使用による不具合は家賃の中に費用が含まれるとされています。日焼けなどの回復の負担はオーナーとなるのです。

原状回復工事のポイント

では、原状回復工事のポイントはどの様な点でしょうか。
代表的な物を挙げてみましょう。

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費用対効果を考える

原状回復工事は工事する範囲が限られるので、あまり大きな工事にはならないとも考えられます。しかし、基本的には敷金が充てられるため、予算が厳しい場合が少なくありません。
そのため、費用対効果と予算管理が非常に大切となります。
例えば、仮に畳やカーペットを交換するにしても、敷金を大きくオーバーしてしまうのは良くありません。可能な限り予算内に納められるべきなのです。
その一方で工事の質が悪くなってしまったら、今度はオーナーの評価が悪くなってしまいます。費用対効果と予算管理は非常に大切なのです。


不動産会社と良く相談する

原状回復工事が不動産会社から依頼があった時には、不動産会社と良く相談しなければなりません。状況によっては別の付帯工事が発生する可能性もあるからです。
と言うのも、賃貸不動産のオーナーは、物件の入居率を上げなければならず、そのためには物件の魅力を維持しなければなりません。そのため、原状回復工事に併せてリフォーム工事を「オーナー負担でも良い」のを把握した上で依頼して来ることもあるのです。
当然ながら、その場合には工事を請け負う側としても、工事の内容を変えなければなりません。その対応をスムーズにするためには、やはり不動産会社と良く相談をしなければならないのです。
尚、原状回復に関しては、国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が出ています。工事の範囲などが掲載されているので、ぜひとも勉強しておきましょう。

まとめ

原状回復工事について取り上げました。原状回復の意味から工事の範囲まで、イメージの付いたことかと思います。また、費用負担まで把握できたことでしょう。
ただし、原状回復に関してはトラブルが発生する場合も、やはりあります。そのため、不動産会社とは連携を密にしておかなければなりません。不動産会社との関係に気を付ける様にしましょう。

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