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台湾の日本酒マーケット市場調査レポート(2019年2月現在)

台湾の日本酒のマーケット、市場について現地レポートを書きたいと思います。今回、台湾の日本酒市場開拓のために4泊5日で商談と視察に行って参りました。今回は商談がメインでしたので、あまり市場は回れませんでしたが、日本酒という観点からは初めての台湾でしたので、気づいたこと、面白かったことなどを書いていきたいと思います。

日本酒は台湾でほとんど知られていない

今回行って分かったことは、日本酒は台湾ではほとんど知られていないということです。もちろん日本酒自体を知らないということではありません。日本酒は飲んだことがあるし、知っていますが、知識や銘柄は知られていないということです。

日本酒を扱ったことがある業者でも純米と本醸造の違いすら分かっていない状態でしたので、認知度としてはほとんどないに等しいと感じました。現地では獺祭は有名でしたが、他は白鶴や月桂冠などの大手ブランド以外全く認知度がありませんでした。

レストランで日本酒を見ることはほとんどない

今回たくさんのレストランに行きましたが、日本酒はほとんど置いていませんでした。基本はビール、そしてもう少し飲みたい場合はワインかウイスキー、紹興酒です。日本酒を飲んでいる人は見ませんでした。置いていないので当たり前ですね。

台湾は男性に関しては特にウイスキーが好きな人が多いように感じます。地元の有名なウイスキーもあってか、置いてある店も多いですし、飲んでいる人も見かけました。後は圧倒的にビールです。日本のようにサワーはありませんので、アルコール度数が少ない飲み物はビールのみでした。


圧倒的なシェアを誇る日本酒が台湾にはある

台湾には日本酒の圧倒的シェアを誇るブランドがあります。それが台湾産の日本酒、玉泉です。台湾の人にとっては日本酒イコールこのブランドのイメージが強いように感じます。スーパーなどで必ず置いてありますし、とにかく値段が安いのが特徴です。


現地の日本酒は美味しくない??

個人の意見ですので、何とも言えませんが、台湾人の人の意見では現地で売られている有名な日本酒は美味しくないと言われていました。この辺はお米も違いますし、メインが本醸造ですので、味が違うのかなと思います。ただ、現地生産ですので、圧倒的に値段が安いです。とにかく、まだまだ入り込む隙間はたくさんあるように感じました。

日本酒の税率は40%、ワインの税率は10%

なぜ日本酒が台湾で普及しないのかの理由に高い関税があります。これは地元の農家を守る政策と言われているようで、日本酒が異常に高い関税をかけられています。その証拠にほとんど同じアルコール度数のワインの税率は10%です。この差は大きいです。

日本酒の小売金額はだいたい日本の小売価格の3倍から3.5倍

日本酒の店舗での販売金額は日本で売られている値段のだいたい3倍から3.5倍でした。香港ではだいたい2倍以上でしたので、さらに高い値段となります。香港が関税ゼロ円に対して、台湾は40%です。3000円や5000円の日本酒を日本で買うかと言われると厳しいものを感じます。また他のお酒に比べて利益率が非常に低い日本酒はこういった意味でも、仲介業者、現地のバイヤー、小売業者は難しい戦いを迫られます


台湾はグラス、香港はワイングラスで日本酒

面白かったのは、台湾は日本酒を飲む習慣がほとんどないので、飲む容器が基本はありません。ですので、ビールグラスか紹興酒のグラスでした。香港はワインをたくさん飲む習慣がありますし、日本酒はたくさん良い銘柄ありますので、日本酒はワイングラスで飲む習慣がある程度浸透しているように感じました。このグラスひとつとっても浸透度の違いが感じられました。


飲酒運転の罰則が厳しい

日本と飲酒運転の罰則が厳しいので基本的には、日中はお酒類を飲みません。基本は夜になります。また車で来られた場合には、飲みませんし、この辺は昨今の日本の状態と同じです。

香港と台湾の違い

香港は基本的には電車、タクシー文化です。好きな人は車を持っていますが、道路が狭く、停める場所があまりないので、移動が大変だからです。逆に台湾はここに車が入って来ます。土地代も香港のように高くありませんし、道も広く、移動もスムーズで、駐車場もあります。ですので、基本車に乗る人が多く、事前に飲むことを伝えておかないと飲めない場合が出て来ます。


女性はあまりお酒を飲まない??

今回、行って分かったことが、香港もそうですが、台湾の女性もあまりお酒を飲まない印象でした。他のテーブルを見ても飲んでいる人は見ませんでしたし、今までもあまり飲んでいる印象はありません。逆に男性は本当にお酒が好きで、よく飲みます。この辺でバランスを取っているのでしょうか。

日本酒専門店の存在

今回、時間がなく行けなかったのですが、現地の有名な日本酒の専門店が数カ所あるようでした。専門店ではどのような売り方がされているのか、客層は?など色々聞いてみたかったのですが、是非行った際は立ち寄ってみてください。また、この専門店がおそらく色々なところへ日本でも人気のある日本酒を卸しているのではないかと推測します。

台湾の最新ショップでは、衝撃。製造日から1年以上のお酒が大量の現実

今回、行ってすごく衝撃だったことが、製造日から1年以上も過ぎた日本酒がたくさん陳列されていたことでした。もちろんちゃんと管理されている方が大切だとは思いますが、短くて1年、2、3年前の日本酒が普通に日本の3倍近くの値段で売られており、これは少しショックでした。

もちろん輸出入ですから、タイムラグが発生することはしょうがありません。しかし、ほぼ全部のお酒がそのような状態でしたから、店舗では改めて売れてない、回転していないのだと感じました。同じく、レストランと店舗の両方出している店に聞いてみると月100本ぐらいは回っているということでしたが、ほとんどがレストランで消費されており、店舗ではあまり売れていないようでした。

戦略としては直接飲食店に持っていくルートの方が新鮮なお酒を生産者の思いも込めて届けられるのではないかと香港に続き、台湾でも感じました。香港や中国でも埃を被った日本酒をよく見かけました。やっぱり飲まれてこその日本酒なのかなと思います。

政治の影響も考慮。中国本土からの観光客が激減

行って分かったのですが、東南アジア系の旅行客や欧米系のお客さんが多かったように思います。日本人はあまり見かけませんでした。何より、中国本土のお客さんはほとんど見ませんでした。というのも現在、政治で中国との関係が悪化している影響もあり、観光客が激減しているというお話でした。こういった政治の状況も売上げに大きく影響する要因ですので、ひとつ頭に入れておかなければならないと感じました。

台湾は本当に洗練されてきている。ほぼ日本。

今回行って感じたことは、本当に台湾はお金持ちが増えたなと感じたことです。街中は本当に年々綺麗になっていますし、ゴミもあまり見かけません。歩いていてとても心地よいです。また、お店もほとんどデザインが東京そのまま。ここは日本かと思うぐらい綺麗ですし、お店も日本のお店がたくさんあります。サービスも日本風、お店も日本、街中も綺麗になった、人も親切、とても日本と親和性の高い国であることを改めて感じることができました。


台湾人の方に聞いたお金の状況

台湾の方に話を聞いて若い人もそうですし、年配の方もおっしゃっていたこととして、若い人はお金を持っておらず、年配の人がたくさんお金を持っているという話がありました。これは、日本も全く同じ状況かなと感じました。インターネットが普及し、グローバルに世界の市場がなってしまったために、仕事はどんどん人件費の安い国に移行し、自国での仕事がなくなる、もしくは他国の安い賃金諸国との仕事の取り合いで給料が上がりにくい現象です。逆にマクロを見ると会社や経済は拡大していっているので、金融商品や資産を持っている人たちのお金が膨らんでいくという状況です。もうどこの国だから景気が良い悪いというのはなくて、世界中どこも同じ現象が起きていると感じました。


最後に

台湾での日本酒の状況ははっきりいってまだまだです。逆に言うと可能性はありますが、逆の逆を言うとマーケティングコストが非常にかかる状況です。開拓が必須です。またなんといっても税金の問題が一番大きいです。ここが変化すると大きい市場にはなると思います。また、ほとんど育っていない状況なので、今参入すれば先行者利益はあると思います。いつか台湾の人にも日本酒が身近な存在になればと思っています。


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