見出し画像

小学校教員と大学教員の違い④「人事」

今回は小学校教員と大学教員の人事についてお話ししたいと思います。

小学校教員の人事

小学校教員の人事は国公立と私立によって変わります。
私立の小学校でお勤めの先生方は、「会社員」という位置付けになるため、その会社(学校)を退職しない限り、基本的に他校に異動することはありません。(会社員とはいえ、小学校教員は「みなし公務員」という立場となります。)

母体となる法人が複数校運営している場合は、その法人内での異動があるかもしれません。

一方、国公立の教員は必ず異動があります。皆さんも新聞などで異動の様子を見たことがあるかもしれません。
国公立の学校で、誰一人として異動がないということはありえません。
小学校教員ですと、自治体にもよりますが、最初の異動が3年〜5年、次以降の異動は7年程度で異動があります。

そのため、毎年学校の職員組織が必ず変わるということになります。

大学教員の人事

大学教員に関しては、国公立、私立に限らず、自ら退職の意思を示さない限り、基本的に異動はありません。

そのため、毎年教員組織が変わる小学校教員とは違い、数年教員組織が変わらないということもあり得ます。

強いて言うのであれば、期限付き採用(テニュアトラック)という制度があるため、その期限が満了となり、更新されない場合は退職することとなります。
それに伴い、教員組織が変わることはあります。 

ただ、定年退職を迎える方がいない限り、基本的に教員組織が変わらないというのが大学の人事といえます。

異動があることのメリット、デメリット

小学校のように、定期的に異動がある場合のメリットととして、組織的改善が比較的容易ということが挙げられます。

当たり前のことですが、大学組織からしてみると、当たり前ではありません。

毎年人事異動が起こるため、人員配置の調整がしやすくなります。そのため、組織的改善が比較的容易になり、これまでの古い体制を変えるきっかけにすることができます。

また、人事異動が毎年起こるということは、年齢のバランスもとりやすくなるため、小学校という組織はバランスがとれている、または若い方の多い組織である印象が強いです。

大学においては、この人事異動が毎年行われるわけではないため、古い組織体制がそのまま継続されていることが多々あります。最近は少しずつ改善されてきましたが、若手の採用がまだまだ少なく、年配の方が中心とした素子的であることは間違いありません。
実務家教員などは、他の職場経験者である必要があるため、大学における採用年齢が高くなってしまうのは致し方ないのですが、50代以上しかいない学科なども全く珍しくはないため、年齢のバランスをとるのは非常に難しいです。

異動が起こることのデメリットとしては、十分な引継ぎが難しく、年によって運営力に差が出てしまうことが挙げられます。
小学校の人事は各学校の運営に支障をきたさないように人員配置していることはわかっているのですが、それでも、校務分掌などに力を発揮していた先生が一度に異動してしまうと、次の年の運営力が落ちてしまうことがあります。
また、これまで引き継がれてきた慣習や伝統といったものも継承しにくくなります。
まあ、それでも回るのが学校という場所ではあるのですが、年によって問題行動が増えてしまったり、環境整備が上手くいかなかったりする年が出てきたりするのは事実です。

その点、先ほど挙げた大学組織では、いつからあるのかわからないというほど昔の慣習が残っていたりします。
毎年議論にはなるものの、はっきりとした解決策が出ずに次年度へと入ってしまい、それが今の今まで繰り返されているということも珍しくはありません。
問題があれば改善が必要となるのですが、現状維持を選択いやすい環境にあり、異議を唱える人も現れにくいため、現状の体制が変わりづらいというデメリットはあります。

ここまで、人事異動に関するメリット、デメリットを考えてみましたが、結局のところ、配属された場所で全力を尽くすしかありません。
そのため、その時々における最善を選択していくことで、自分はもちろんのこと、環境も変えていくきっかけとなるのかもしれません。

この記事が役に立った、面白かった、という方は、ぜひ下の「サポート」欄からご支援をいただけたら幸いです。がめつい投稿主ですが、今後ともご贔屓にしていただけたら嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?